020
「毛皮はどうする?」
「あの熊の毛皮は捨て値であの助祭に売れば?」
「ああ、それもありか」
狩りで二頭ほど熊を狩っている。村長には伝えていない。オーダーは猪、鹿、そして兎だ。熊肉は野宿中の僕たちが食うために必要だったと主張するだけだ。何せ回収に来た大人は僕たちの分の肉まで持って行ったからね! ちゃんとソフィが主張したのに無視されたら仕方がないね。土地持ち農民の娘の主張となればクレセクはこちらの肩を持つ。大量の肉の一件で村長に押し込まれているみたいだし、ここは熊の毛皮を逆転の一手にしたいはずだ。
「お父さんが言っていたけど、熊の毛皮って偉い人のステータスとか言うのに重要なんでしょう?」
「熊の毛皮で絨毯を作れば見栄は良いと思うよ」
熊の毛皮はモールスヴィルに無い。村長が50年以上前に手に入れたぼろいのがあるって噂で聞いたことがある。クレセクが来た時に見せびらかすのを躊躇ったのなら無いのか見せられないほど劣化しているのか。二人が政治闘争で忙しくなるのは歓迎だ。そうしたら僕とレイにかまける暇が無くなる。
「なら今夜は狩人小屋で一泊して、明日は村?」
「だね。あっちの都合で二泊するかも」
湖一周と言うここ最近は誰も成していない事をやり終え、僕とソフィは狩人小屋で休むことにした。その晩、僕はソフィに内緒でカードキューブを使う。
「これをどうするか。ゴブリンに湖の反対側に回すのが最善かな?」
あちら側には誰もいないのは確認済みだ。人間が過去に居た形跡すら発見できなかった。
「まずは回すか! 最初は九個……あれ? 七個以上入らない? まあ良いか!」
僕は深く考えずカードを取り出す。
ゴブリン100/100、投げナイフ、熊、ファイター、水樽、落とし穴、カードキューブ。
「おお! 白のファイターのオーバーレイじゃないか!」
強くは無いけど前衛の基本的な加護だ。武器を握って戦う勇気があれば食うに困らない加護として有名だ。レイの父親は「城壁の後ろに隠れている臆病者にしかなれない」と結構見下していたのを覚えている。僕が使う事は無いけど、誰か良さそうな人が居たらオーバーレイしてあげよう。それと新しいカードキューブが来てくれたのは助かる。予備があればこのカードキューブに何かあっても大丈夫だ。
「やっぱソフィか」
それと同時にソフィがここを離れていた影響でカードが以前の種類に戻っている気がする。湖の反対側で滞在したのは獲物以外ではソフィの影響力を削ぐ目的があった。何とかレイだけの側に置いて種類に変化があるか確認したいけど、それは来年かな。四月に成れば畑仕事が本格化して僕とレイに自由は無くなる。
「良し、次の魔石を……」
カードキューブへ次の魔石を押し付けたらズボっと僕の腕がカードキューブへ突き刺さる。
「え!?」
そして僕の見ている前でカードキューブは灰になって崩れ落ちた。
「まさか50枚で崩れる?」
ヤバい! 予備と思っていたカードキューブのカードが万馬券にクラスチェンジした! 最後のカードは確実にカードキューブのカードなのか? そうでない場合、僕は残り50枚のカードしか得られない事になる。白で数を優先する作戦を見直さないといけない。
「カァ! カァ! カァ!」
「どうしたクーちゃん?」
ダイアクロウが灰の山にくちばしを突き刺す。そして一枚のメダリオンを取り出す。
「見せて」
良く分からない文字で書かれている。材質は不明……じゃない。これ知っている。形見の剣の剣身に使われている奴と同じだ。なんでカードキューブの残骸からこれが出てくるんだ? また謎だけが増えた気分だ。とにかくこのメダリオンは僕が貰っておこう。
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