i love you
サッカー部の竜太郎くんに恋をしているなつみ
i love you
蜜柑
気づいて、この想いに
あなたは、私の推しなの。
気づいて、この想いに
あなたは、私のことなんて眼中にないのでしょうね。
気づいて、この想いに
あなたへ、私はあなたのことを愛していて、とても淋しい日々を過ごしているの。
でもあなたの元気な姿を見れれば、それだけで十分。
なつみは、サッカーに一生懸命なあなたを、三階の教室から見つめていた。その瞳は、混じり気のない綺麗な瞳だった。
「なにみてんのっ?」
親友のかほが、声をかけてきた。
「いや、別に……。風が気持ちよかっただけ!」
「竜太郎くんでしょ?」
ごもっとも過ぎて、出てくる言葉がない。
「なっちゃんは、ほんと素直ね、かわいー」
「ちょっと、バカにしないで」
竜太郎は、顧問に叱られていた。竜太郎は、向上心を見失うことなく、顧問の言葉に耳を傾けていた。
目もギラついていた。
夏が、過ぎ行く。
猛暑の最中、闘いを繰り広げたサッカー部は、県予選のベスト8まで上り詰めた。上位の強豪校は、私立の中、公立高校で、その戦歴を掲げたのは、誇らしいことだった。
胸を張って欲しい、敗北に涙する竜太郎を見て、なつみは応援席から思った。
定期テストが、始まる。
「やっべー」
と誰も聞こえない声で、呟く竜太郎を、なつみは愛しく想った。
「じゃー、席につけよー」
担任の大声が、雑多な教室に、響いた。
朝の号令が始まる。
竜太郎くんは、今日、どんな顔を見せてくれるのだろう……。
放課後。
定期試験に向け、教室に残って勉強する。どうせ家だと、だらけてしまうからだ。
何人か、居たのだが、ポツリ、ポツリ、と姿を消し、教室には二人きりとなった。
もう一人が誰かは、わからないが、勉強に集中しよう!となつみは思った。
「なつみちゃーん!俺さ、英語苦手で良かったら、教えてくんない?この通り!」
手を合わせ、表情はクーンと鳴く子犬のような男の子。
竜太郎くん、だ!
咄嗟に、前髪を揃え
「うんっ、いいよっ」
と早口で、答えた。
「じゃあ、お言葉に甘えさせて貰って」
そう言って、横に座る。
ドキドキ。
問題は、、、という竜太郎くんの腕が少し触れる。竜太郎くんの匂い。好きだ。
ドキドキ。
「ありがとう」
と純粋無垢な笑顔の竜太郎くん。
好きだ。
「じゃ!」
そう言って、立ち去ろう、とする竜太郎くんの背に
「待って!」
なつみは、想いがこもっていたので、声は大きく、竜太郎くんは少し驚いていた。
「私竜太郎くんのことがずっと好きだった。いつもサッカー頑張ってるところとか、学校でみんなのことを気遣ってるところとか、可愛らしい一面とか……好きで、好きで、たまらないの!!!」
沈黙。
なつみはやってしまった、と思ったときだった。
「実はさ、俺もなっちゃんのことが好きだったんだったんだよね……。一生懸命、勉強頑張ってるところとかかっこいいなって思ってた。なっちゃんはみんなに優しいしね!なっちゃんが俺のことが好きだなんて知らなかったから、ちょー嬉しい」
と言って、両手を広げた。
全力疾走で、竜太郎くんの胸に飛び込むなつみ。
その後、甘い甘い口づけをしたのだった。
二人が帰った後、ふう、という溜息がした。
かほだ。かほは、竜太郎くんとなつみが二人きりになれるよう、細工していたのだった。
「手の掛かるお二人さんね」
そういうかほは満足そうであった。
あかん、自分で書いててキュンキュンしちゃう(笑)