3話 転換期は突然に
誤字脱字は投稿前に確認はしていますがもしあれば言っていただければ修正いたします。
俺とデュークはそれからというもの親友と言っていい仲になり、時にはバカをしつつ楽しんでいた。
最近では剣術勝負なんかもして遊んでいるくらいだ。
出会って1年経ったころにデュークの母親は亡くなってしまった……。
必要な薬が金貨5枚もするらしく、どれだけ働いても年齢的に1日平均銅貨20枚〜50枚じゃ到底足りない。
そこから生活費なども抜いたらほぼ残らないのだから。
その日のデュークは今でも忘れられない。
雨の中声を殺し泣く様を見ていると、どうも俺もやるせなかった。
それから元気を取り戻す2週間後くらいにデュークがある話をしてきた。
「なぁレオル。オレらこのままでいいのか?俺もお前もなんとか生きていけてるし、おやっさんも良くしてくれる。でもこのまま甘えててもいいのか?」
いつもと違い、遠くを眺めながらも厳しい眼差しを見るとこれはなかなか真剣な話みたいだな。にしても本当にこいつイケメンだな……腹立つ。
「まぁデュークの言いたいことはわかる。俺もおやっさんに恩を返したいし、男なら上を目指したいって気持ちもある。だが所詮俺らはまだ子供だしスラム育ちの根なし草だ」
するとデュークは厳つい顔で
「だがよ!!オレは母親ひとり助けられなかった。もうどうしようもないと全てを諦めかけた!でも母さんが良く言っていたんだ……人生は挑戦の連続だって……諦めちゃいけないって。」
「ったく……。話は最後まで聞けよ。俺は何も挑戦しないとは言ってないよ。おやっさんに聞いたことがあることなんだが、この世界にはダンジョン都市って言われる中立都市があるんだってよ」
ダンジョン都市と言われるこの世のものであって、この世のものではない。大規模な結界と広大な敷地を持つ場所であり、そこはどこの影響も受けない超国家でもある。
そこに行くためにはここからなら最寄りのデンタスの街に向かいそこから転移門で転移する。そこで審査を受けてやっと入国出来るとのこと。
中では見たこともないような建物や乗り物があり、大量のダンジョンがあるみたいだ。
ダンジョンではモンスターが蔓延っており、それを倒すことで金銭を稼ぐみたいだ。夢物語みたいだな。
ダンジョン都市では強さと金が全てらしく成り上がるには最適ではある。身分も何も関係ない。成り上がった者が最上である。それがダンジョン都市であった。
そんな夢のような世界をデュークに説明した。
「本当にそんな世界があるのかよ?それが本当ならオレらでも成り上がれるんじゃねぇか!?」
「そうだな。だがそんな簡単じゃないんだよ。おやっさんに聞いたが、そこに行くまでに旅費と転移門の費用、入国審査費用が全部で1人あたり金貨1枚は必要みたいなんだ」
「おいおい、オレはなんとか最近頑張って銀貨10枚ってとこだぞ?それもダンジョンというからには武力も必要なんだろ?訓練の時間も割けばそんな金到底貯まんねぇよ」
そうなのだ。金が圧倒的に足らない。
俺の貯金額が銀貨52枚となかなかに貯まっている。全ておやっさんのおかげなのだが、デュークと合わせて銀貨62枚……全く足りない。
「あと金貨1枚と銀貨38枚か……生活費も必要なわけだからな。行くとしてもあと1年は必死に働くか。あと訓練もこれまで以上にやるぞ」
「ははっ!人生変えれるなら何でもしてやるよ!お前と一緒なら怖いもんなんてねぇよ!」
俺たちは絶対に成り上がってやる。そこでなら孤児の俺たちでも上に行ける気がするんだ……。
「あっ!でもよー武器とか防具とかその他諸々にも金必要じゃねぇか??」
「……ほんといい雰囲気なのに、いつも水差しやがって……。普段バカなのにたまに鋭いんだよなほんと。あぁ金貯まるかな?」
余計不安が募るのだった……。
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