第8話 林間合宿1日目、2日目の午前中
「うぅ〜。やっと着いた」
魔理亜達聖妖学園1年生を乗せたバスが林間合宿の舞台となる宿泊施設に到着する。
生徒はバスを降り、それぞれ自分の荷物を運び出す。写真撮影や入所式も終わり、部屋で荷物を片付け、活動着に着替え、ロビーに集合する。この日は、昼食として、外にある調理場でカレーを作る事になる。生徒達はワラワラと調理場に移動する。
各々調理を始める。皆話し合いをしつつゆるゆると作業をする。魔理亜の班は、
「えっと、これどうしたらいい?」
「えっと・・・・・・、分からない・・・・・・です」
「知らね。テキトーに切ったらいいじゃねぇの?」
そんな感じで、魔理亜を除く班員が訳も分からず始めようとするのを、
「私がやるよ。ちょっとのいてて」
魔理亜は、包丁を手に取り、目にも留まらぬ手捌きで野菜を切っていく。
「えっ、すごーい!」
「そんなに言われる事かな?」
「だって私とか全然やった事ないから全然分かんないよ?」
「小学校とかでもやんなかった?」
「人がしてるのを横で見た事しか無い」
「嘘・・・・・・」
「俺もやった事ねーな」
「えぇ・・・・・・、しなぎーは?」
「僕も・・・・・・、無い・・・・・・です」
「ありゃりゃ」
そうして、魔理亜の技量と、的確な指示により、魔理亜の班はいち早くカレーを作り終えた。
この日の活動は終了となり、明日へ向けての休息の時間となった。
翌日、この日は施設の側にある山への登山となる。全員、一列になり、等間隔で先生が見守る形で登山となる。
山は、急な道もあれば緩やかな道もある、比較的登りやすい山だった。登り終えて、山頂で昼食となった。弁当が配られ、各々友人同士で集まり食事を取る。皆食べ終え、それぞれに周辺を歩き回ったり、岩場に座り、話したりしている。そんな時、
「ん?何か聞こえる」
「どうしたの? マリィ」
魔理亜は何かを感じ取る。横にいる琴葉は何も分からない様子で魔理亜の方を見て言う。
「何か来る」
「えっ?」
メキメキと木を踏み倒す様な音が聞こえだす。その音は次第に近づいて来る。音の主は、次第に姿を表す。それは、魔理亜が学園で戦った怪物と同種類の様だ。
「ええっ!? 何あれ!?」
「何だあのデカイの!?」
「何か知らんがヤベェ奴出て来た!」
一斉に逃げ出す。魔理亜は、近くにいた先生に、
「先生! 皆を何処かに纏めておいて下さい!」
「神園! お前もだろ!」
「私はいいから早く他を纏めて下さい!」
魔理亜は前と同じ様に装備を展開させて、怪物に向かって走りだす。
「えっ!? ちょっ! おいっ! えっ?」
その様子に先生も困惑するも、言われた事を為そうとする。
魔理亜は怪物に向かって刀を振るも、ゴワゴワよ皮に覆われた身体には、傷一つつけられない。
「流石に硬いか、でも、ここで銃使っちゃうのはよく無いし」
すると、持っていた神器から、音声がなる。
『対象に有効な手段を発見しました』
魔理亜は神器を確認して、操作をする。魔理亜に装備されていたアーマーがパージされ、神器から出たオレンジと白のアーマーへと置き換わっていく。
新しく装備されたアーマーは、両腕が大きくなっており、右の掌の中央にはパイルバンカーが、左にはガトリングガンが内蔵されている。魔理亜は動きの確認をして、
「コイツも問題無さそうね」
怪物の左脚を目掛けて殴りかかる。殴られた怪物の左脚は綺麗に吹き飛ぶ。黒い液体が辺りに飛び散り、周辺の木や岩に降りかかる。
怪物は片脚を無くし、立てなくなる。
「コイツ出力ありすぎでしょ・・・・・・」
魔理亜は右腕の巨大なアーマーを見てぼやく。
「ガアァ! ゲガァ!」
「ま、取り敢えず」
ジタバタする怪物から魔核を取り出し、握り潰す。怪物は人の姿を取り戻す。
「はぁ、何で登山の時にでんのよ・・・・・・。疲れるじゃん」
魔理亜は装備を解除する。その後は問題無く下山した。この日の夜が、悪夢の始まりになる。
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