第2話 魔理亜、入学す
「ふわぁ〜」
魔理亜は起きる。目覚まし時計は午前5時を指している。魔理亜はパジャマ姿のまま階段を降りて、リビングに入る。
「おはよー」
「はい。おはよ。ちょっと魔理亜。アンタすごい寝癖よ。昨日ちゃんと髪乾かして寝た?」
「えっとー、昨日は〜、えっと〜、あー、多分乾かしてないまま寝たかも」
「やっぱり。もう、今日は入学式だからちゃんと髪整えてよね?」
「分かってるよ」
魔理亜は食パンを2枚、トースターに入れてひねりを回して、2分の所に合わせる。2分後、焼けた食パンを皿に出し、これでもかと苺ジャムを塗りたくる。
「魔理亜はホントにジャム沢山使うよね。消費量多くて困るのよね」
「良いじゃん。人それぞれって事で。つか、言うの遅く無い?」
「まぁそうだけど、休日は帰ってくるでしょ?」
「気が向いたら。」
「何それ」
魔理亜は綺麗に食パン2枚を平らげ、リビングを出て、階段の正面をまっすぐ進む。階段の右の廊下の手前のドアに入る。
そこは洗面所になっていた。
「うわっwヤバイことなってるw」
魔理亜の容姿は少し珍しかった。
目はパッチリとしていて、瞳は、右が黄色で左が紫のオッドアイ。綺麗な金色の髪はあっちこっちにはねてグチャグチャになっていた。
魔理亜はクシで寝癖を直していく。数十分後、綺麗に整った髪は首の中程ぐらいで切り揃えられている。
「うっし!つっぎはー」
階段を上り、自室に戻る。部屋にはピカピカの制服が掛かっている。魔理亜は制服に袖を通す。
「うわっ、スカートあんま履かないからスッゴイ違和感」
魔理亜の制服に対する感想。
魔理亜は階段を降り、リビングに入り、
「どう?」
「あぁ、似合ってる似合ってる」
「あぁパパ。起きたんだ」
「そりゃあね、有給消化の為に休んでるけどホントは仕事行くんだから、これくらいには起きるよ」
「そっか」
「で、着てみてどうなの?」
「スカートがヒラヒラしてて気持ち悪い」
「ははっ!魔理亜ならそう言うと思った」
「あんまり好きじゃないの」
「小さい頃からずっとそう言ってるよね」
「そうだね」
「......」
「......」
2人はしばらく黙り込む。
「どうしたの?」
「いや、あのさ、あのー......、えっとー、あのさ、ここまで来たんだなって」
「何言ってんの?まだまだ私はパパ達に苦労をかけるよ?」
「そうだね」
魔理亜は廊下に向かって、
「ママー?準備出来たー?」
すると廊下から、
「出来たー」
「あぁ、もう行くんだ」
「うん」
「僕も行きたい所だけど今日は色々任されちゃったしそれをやるよ」
「うん。行ってきます。しばらく帰って来ないけど」
「うん。休日には帰って来てね」
「うん。まぁたまに帰って来ないけど」
「そっか」
魔理亜と母は聖妖学園へと向かう。
聖妖学園へは、電車で二駅。それから徒歩五分。
学園に着き、受付を済ませる。
入学式は問題無く終わり、その後の説明と自己紹介のためのHRも終わり、寮の自室にて、
「あぁ〜。コレがイチバンしっくりくる〜」
魔理亜は「Iam human」とデカデカとプリントされた半袖のTシャツにスウェットというかなりラフな格好で床に大の字で寝転がっていた。
既にカバンや教科書、その他教材や、家から持ってきた普段着、ゲーム機やフィギュア等の物は部屋に運び込まれていた。ベッドやタンス、机やエアコンなどの大型家具は寮に完備してあった。
寮への持ち込み物は危険物で無ければ特に禁止はされておらず、魔理亜はこれでもかと家にあったフィギュア等を持ってきた。
「これから私の華の高校生活が始まるんだ〜!」
魔理亜は今後の高校生活に想いを馳せる。様々な事件に巻き込まれることも知らずに。
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