第14話 ゲームと言えないゲームは続く
魔理亜は目を覚ます。
『おはよう。元気は出たかい?』
少年の声が部屋に響く。
「そうね」
魔理亜は身体を起こす。身体中についた切り傷からは血が滲んでいる。
『じゃあ、続きを始めようか。正面の扉から次の部屋に行ってね』
「アンタは何がしたいのよ・・・・・・」
魔理亜は愚痴を漏らしつつ扉を通る。
『あっ。余談なんだけど、次の部屋に繋がる通路にはトラップが張り巡らされているよ。元々は侵入者撃退用だったらしいから』
「『らしいから』って、ここはアンタのじゃないのかい」
『そうだよ。言ってなかったっけ?』
「言ってないし知りたくも無かった」
『そ。じゃ、頑張ってね』
魔理亜は注意深く通路を進む。張ってある糸や地雷など、目に見える危険な仕掛けは回避していく。
「これくらいなら、大丈夫ね」
しかし魔理亜は巧妙に隠された極小のスイッチには気付く事が出来なかった。
カチッと音が鳴り、背後でガチャガチャと何が動く音がする。
魔理亜は振り向くと、ゲームでしか見たことないようなレーザーネットが近づいて来ている。
「ウッソ・・・・・・!」
魔理亜は駆け出す。勿論、トラップに注意しながら。
あちこち傷だらけな魔理亜では満足に走る事が出来ない。時々立ち止まってしまう。その間にもじりじりとレーザーネットは近づいて来る。
「クソが!」
魔理亜は悪態を漏らしつつ、走り続ける。血液が少なくなってきていた魔理亜は段々と注意力が散漫になっていく。それでも目に見えるトラップは避けていく。
可視できない紫外線センサーには気付くことは流石に出来なかったが。
「あぁッ!」
赤外線センサーに引っかかった魔理亜に矢が刺さる。
「チィッ!」
魔理亜は舌打ちして、走る速度を上げる。可視出来るトラップは避け、矢は無視して。
「うぅッ! あぁッ!」
魔理亜にどんどんと矢が刺さる。それに構うことなく走り続ける。程なくして扉に到着して、
「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」
何とか次の部屋にたどり着いた。
「うぐッ! あぁッ!」
魔理亜は自身に刺さった矢を強引に引き抜く。
抜いた所からドクドクと血が溢れる。
『流石だね。僕の知ってるマリアのようだね。取り敢えず腕輪を外してあげるよ』
魔理亜の腕輪が外された。すると、魔理亜の傷が見る見るうちに癒えていく。
『さて、もう大丈夫かな?』
魔理亜は肩が上がっている。
『大丈夫そうだね』
「何処がそう見えんのよ・・・・・・」
傷が癒えようとも、ダメージは消え去る訳ではない。何とか意識を保っているだけで、意識の潰える直前である。
『さて次だ。君には、この先の迷路を攻略してもらうよ。迷路自体は簡単だし、大丈夫だと思うよ。ただ、迷路には、さっきの通路と同様の仕掛けが所々に配置されてて、僕の実験動物も何体かいるよ。頑張ってね。まぁ、能力が解放された君なら問題ないね』
「殺す気かよ・・・・・・」
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