第12話 旧知の仲との不本意な再会
「やぁ。久しぶりだね」
少年は魔理亜に向けて言う。
「そうね」
魔理亜は冷たく返す。
「酷いなぁ。これでも昔は一緒に死線を超えてきたじゃんか」
「そうだったかしら。覚えて無いね」
「忘れられない筈だよ?」
「・・・・・・そうね」
「少し思い出話でもしようよ」
「嫌よ」
「つれないなぁ。いいじゃんか、こんな事何回も繰り返してるんだし、僕も気になるんだよ」
「アンタはなんで生きてんのよ?」
「さぁ。なんでだろうね?」
「惚けんな」
「教えないよ」
「あっそ」
「どうなんだい? 最近の調子は」
「教えないわよ」
「お友達とか出来たのかい?」
「アンタは私の何なのよ」
「知ってるでしょ?」
「・・・・・・認めたくはないけどね。そんな事より、上の施設にいた人は何処やったの?」
「知りたいかい?」
「ここまで来たのはその為よ。アンタに会いたくて来たんじゃない」
「何だ。そうだったのか。教えてあげてもいいよ」
「何処やったの?」
「そうだなぁ。教えてあげてもいいけど・・・・・・、普通に教えるのはつまらないし」
「何する気?」
「ゲームしようよ」
すると、何処からともなく輪っかが飛んできて、魔理亜の右腕に装着される。
「それはね、能力者の能力を使えなくするんだよ」
「へぇ。それで?」
「割と乗り気なんだね。それで、君には様々な仕掛けの施された部屋を攻略してもらうよ」
「へぇ」
「まぁ、君なら大丈夫だと思うけどね」
「それで?」
「幾つかの部屋を全部攻略出来たら、教えてあげるよ」
「ほぉ」
「準備は出来てるかい?」
「取り敢えずそのリュックサックは下ろしたほうが身のためだと思うよ?」
「アンタがそう言うって事はよっぽどなのね」
魔理亜はリュックサックを下ろす。
「さて、それじゃあ、行ってらっしゃい」
魔理亜の足元が開く。魔理亜はそのまま落ちていく。
「相変わらずこう言う所は強引なのね」
先程の空間から落ちた先、暗い部屋で魔理亜は先程の少年に愚痴を漏らす。
『さて、大丈夫? 生きてる?』
何処からか、少年の声が聞こえる。部屋に明かりがつく。
「生きてるよ」
『そっか。よかった』
「アンタは私の心配してんの? それとも、殺したいの?」
『殺したいだなんてとんでもない。殺さないよ。殺せないしね』
「そう。それで?私は何をしたらいいのかしら?」
『正面に扉が見えるでしょ? そこから始まるよ。好きなタイミングで入ってね』
「そう。じゃあ」
魔理亜は扉を潜る。
copyright©︎2020-猿あんs