第9話 悪夢の始まり
登山をしたその夜。魔理亜はあんな事(前回参照)を生徒は愚か教師陣の前でした為、魔理亜のいる部屋は人でごったがえしていた。
「あー、えっとー、あれはね・・・・・・」
魔理亜はそんな有象無象に、丁寧に応答していく。数十分後、
「ぅあー! 疲れた!」
魔理亜はベッドに、力なく寝転がる。側に琴葉が座っている。
「疲れてるねー。あんなに丁寧に言わなくてもいいのに」
「テキトーな事言っちゃうと誤解を招きかねないじゃん?」
「これから肝試しだよ?」
「肝試しあんの?」
「書いてあったじゃん。しおりに」
「そうだったっけ?」
「ほら、起きて、もう行かないと」
「えぇー」
「『えぇー』じゃ無いよ。行こう。ほら」
魔理亜と琴葉は集合場所へと向かう。
「さて! 皆登山で疲れていると思うが、これから、肝試しに行ってもらうぞ!」
何故かやたらとテンションの高い先生が生徒に向けてそう言う。
「二人組のペアで、此処から、ハイキングコースをを通ってもらうだけだ! 折り返し地点に一人立ってもらっているからそれを目印にしてくれ! 順番やペアはこちらで決めさせてもらっている! 今から言うように並んでくれ!」
整列が完了し、順番にハイキングコースに入って行く。次のペアは、前のペアが帰って来たのを確認して、先生の指示でハイキングコースに進む。
魔理亜のペアの番が来る。ペアとなったのは、志那戯だった。
魔理亜は右手にライトを持って、志那戯は魔理亜の左腕にしがみついた状態で進んでいる。
「うぅ・・・・・・。あぁ・・・・・・」
「大丈夫だよしなぎー。ただただ人が脅かしに来るだけだから」
「もともと暗い所は嫌いなんですよ」
「まぁ、分からなくも無いし、森だとまた雰囲気も抜群だしね」
しばらく歩いて、志那戯は魔理亜の左腕から手を離す。
「あれ? 別にしがみついててもいいけど? どうかしたの?」
志那戯は、恐る恐る前方に指を指す志那戯の指した指の先には、うっすらと人の影が。
「ん? どうしたの?」
「あそこに誰かいませんか?」
「んん? いや、あれは脅かしに来る人でしょ」
すると人影は何やらゴソゴソと何かを出し、魔理亜達に向ける。
「え?」
魔理亜がそう言う時には魔理亜の頬を何かが掠める。次の瞬間、魔理亜の後ろで、ドサッと音がする。
「え?!」
魔理亜が振り返る。すると、志那戯が倒れている。
「志那戯君? 志那戯君?!」
魔理亜は志那戯の身体を揺さぶる。志那戯は答えない。
「アイツ・・・・・・!」
魔理亜は人影のいた方を見る。しかし、そこには人影はもう無い。
「アイツ・・・・・・。どこ行った?」
魔理亜は志那戯のいた方に視線を戻す。そこに志那戯の姿は無くなっていた。
「えっ?! はっ?! 何処に?!」
魔理亜は辺りを見渡す。志那戯の姿は愚か、人影一つ無い。気配も無い。
「取り敢えず、戻って先生に連絡を!」
魔理亜は急いで来た道を戻る。
戻ってみると、そこには誰も居なかった。
「はっ?! どう言う事?!」
宿泊施設の中に戻ってみる。受付や、所員の事務室にも、誰も居なかった。
「嘘でしょ・・・・・・。どうしよう・・・・・・」
魔理亜はその場に立ち尽くす。此処から、悪夢は続く。
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