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千鶴の勇気
今日は卒業式。
私は友達と一緒の大学に進学することができた。
「ついに卒業だね・・・」
友達が泣きそうな瞳で見つめてくる。
「同じ大学行くんだから泣かなくていいでしょ笑」
そんなことを話しながらみんなで卒業アルバムを交換してコメントを書き込んでいく。
窓の外を覗くと、後輩と話している海斗の姿が見えた。
「海斗くん、気になるんだ?」
友達が声をかけてきた。
「そんなことない。」
「あれは告白かなー?」
悔しいが海斗はモテる。
今回も告白か制服のボタンを下さいとお願いされたのだろう。
「私も欲しかったな・・・」
私は誰にも聞こえないように呟いた。
「千鶴、もう帰れる?」
帰りの時間になると海斗はいつも通り迎えに来た。
「うん、帰ろっか。」
いつものように並んで歩く。
しかし今日で最後になる。
「海斗、私もボタン欲しかったな・・・」
私は勇気を振り絞って呟いた。