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海斗の日常
日課のように俺は今日も千鶴を迎えに行く。
高校生になった千鶴はとても綺麗になったと思う。
俺は千鶴のことが好きだ。
しかし、千鶴が鈍いのか俺の努力不足なのか、千鶴が俺に気がある気配はない。
「俺って意識されてないのかなー」
そんなことを考えていると千鶴の家に着く。
「ちーづーるー」
呼び慣れた名前なのに、呼ぶ度に鼓動が早くなるのを感じる。
「あ、海斗おはよう」
千鶴に名前を呼ばれるだけでドキドキしてしまう。
俺は乙女なのか?と自分で思う。
この感情は愛おしいというものに当てはまるのだろうか。
そんなことを考えながら今日も隣を歩く。
千鶴は昔の約束を覚えているのか。
今更あの約束の話をするのは恥ずかしいから黙っておくが、覚えてくれているといい。
俺はあの約束を叶えるためにいるのだから。