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海斗の答え
「私は海斗が好きだよ。忘れないでね」
千鶴が去った後も俺は公園から出ることはできなかった。
千鶴が俺のことを好き。
しかしその後「忘れないでね」と言った。
つまり、俺達に一緒にいる未来はない、ということだろう。
「忘れないでね」か。
忘れるわけがない。
ずっと恋をしていた千鶴のこと。
幼い頃から守り続けてきた千鶴のことを。
俺は千鶴からの呪いを受けることにした。
絶対忘れない。
俺が一生で1番好きだった人。
その人が別の人と一緒になることを選んだこと。
今の俺の気持ち。
「忘れないよ」
俺は空に向かって呟く。
誰にも聞こえていない、もちろん千鶴にも。
それでも俺は前を向いて歩くしかない。
千鶴のことも幼い頃の約束も全部、全部忘れない。
いつかまた再開した時は、友達として笑っていよう。
俺はそう決めて歩き始めた。




