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海斗の混乱
何度も電話をかける。
切れてはかけ直すことを続けていると、繋がった。
「千鶴!?」
「海斗?そんなに慌ててどうしたの?」
俺はみっともないくらい慌てていただろう。
息を整えてから千鶴に質問していく。
「婚約者って・・・許嫁がいるって本当か?」
「うん。私も今日知ったばかりだけどね。彼、お父さんの親友の息子さんなんだって。」
「・・・そいつと結婚するのか?」
「わかんないよ。でも、両親は乗り気みたい。」
しばらく沈黙が続いた。
「ごめんね、海斗」
千鶴が呟く。
何がごめんだ。
俺はまだ何も伝えていないのに。
伝えたい。
俺の気持ちを知ってもらいたい。
このまま自分の気持ちに蓋をして生きていくなんて俺にはできない。
「俺はお前のことが好きだ。」




