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千鶴の混乱
両親の話を聞くと、この方は私の許嫁で、その方の父は私のお父さんと親友だという。
「待ってお母さん、私には海斗が・・・」
「海斗くん?あなたたち仲良かったものね。でも今は海斗君の話はなしよ」
お母さんは私の言葉を遮り、海斗の話題を出すことを止めた。
目の前に私の婚約者がいるのだから当然だろう。
しかし、今日会ったばかりの人と結婚なんて考えるられるはずがなかった。
そんな私を置いてきぼりにして両家の話は進んでいく。
いつ籍を入れるか、挙式はいつか・・・
私は彼を横目で見ると、彼は微笑みかけてくれた。
この人は悪い人ではないんだろうな。
私の直感がそういっている。
彼もただ親に言われるままにこの場にいるのかもしれない。
もしそうだとしたら、私はすごく失礼な態度をとっているのだろう。
「今日のところはお開きにしませんか。彼女も戸惑っているようですし」
彼の言葉は私を混乱から救い出してくれた。




