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海斗の困惑
夕食の時間になり、俺は自分の席に着く。
母が料理を運んできてくれ、父も揃ったところで食事を開始した。
しばらくして母が口を開く。
「そういえば、今日千鶴ちゃんは婚約者の方とお会いするんだって」
その言葉に思考回路が停止する。
・・・婚約者?
「母さん、それどういうこと?千鶴に婚約者がいるの?」
俺は早口で捲し立てるように言う。
「海斗には言ってなかったかしら?千鶴ちゃん許嫁がいて、高校卒業したらその方と会うことになっていたのよ」
千鶴に許嫁がいるなんて聞いたことがない。
俺は食事を中断し、千鶴に電話をかける。
しかし繋がらない。
千鶴は俺が幸せにすると決めていた。
それを今更出てきたヤツにそれを取られる?
冗談じゃない。




