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千鶴の心
私は帰宅してからも海斗からもらったボタンを見つめていた。
「まさか用意しておいてくれるなんて」
私は心が満たされているのを感じた。
これは恋心・・・?
私は海斗に恋をしているのだろうか。
今までのことを振り返る。
小さい頃の約束、毎日の送り迎え、第2ボタン・・・
「海斗の優しさに触れることができるのは私だけがいい」
そう呟いた自分に驚いた。
私、海斗のこと好きかもしれない。
1度そう思うと、もうこの気持ちが恋心以外の何物でもないように感じた。
しかし恋心と決めつけるのはまだ早い。
私は友達に電話をかける。
「ねぇ、私、海斗のことを好きかもしれない」
「え、今更?前からずっとそうだったんじゃないの?」
友達の返答に驚く。
私はついさっき海斗への気持ちを自覚したばかりなのだから当たり前だ。
「私以外の女の子に優しくしてる海斗を見たくないってわがままかな?」
私はこの感情が自分勝手なものなのではないか心配になった。
「好きな人なら当たり前じゃない?自覚できてよかったじゃん」
友達は嬉しそうに私に優しい言葉をかけてくれた。
そっか、私は海斗が好きなんだ。




