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第20話

 ビエンド様と会った翌日、朝一で、メッセージカードと可愛らしいオレンジ色の花が入った花束が私に届きました。


 メッセージカードには、照れちゃうような事と嬉しい事が書いてありました。


「セレナの手料理が美味しかった。その後に味わったセレナの唇も、とても美味しかったよ。セレナの作った料理と共に、また味わいたいな。

 追伸。覗いていた無粋な人達には、その夫達から厳重注意とお仕置きをしてもらう事になったから、大丈夫。次からは覗かれないと安心している。またハグとキスをしよう。」ですって!


 きゃー!ビエンド様の気遣いと愛情表現が嬉しいわー!覗き見されるのは、次からはもう、全力でご遠慮したいですわ!覗きだなんて、どこの出刃亀よ!軽犯罪者ですわよ!


 ママや王妃様も、パパや陛下から放して貰えない程の愛情表現をされればいいんだわ!そうしたら、私達の覗き見をする余裕もなくなるし、興味も持たないでしょうに!


 と、思っておりました。ええ。


 ビエンド様のメッセージカードと私の八つ当たりの声の通りに、「ママは、私から覗き見をしないように叱っておいたから。」とリリパパから言われました。


 今日の朝食の席には、リリママが不在でしたので、叱られて、拗ねて、出てこなかったのでしょう。

 それでも、私とリリパパしかいなかった朝食では、リリパパの機嫌がとても良かったので、リリママの心配はしませんでした。はい。


 私が午後のお茶の時間になった頃、リリママから、私へのお詫びの伝言がありました。


『私の可愛い娘のセレナへ。

 昨日はごめんなさいね。娘の恋愛相談をされたのが嬉しくて、調子に乗り過ぎました。


 パパから余計な事をするなと叱られました。


 自分の立場だったらと考えたら、自分の行動が恥ずべき事で会ったと反省をしましたわ。

 淑女としても、あるまじき行為をしてしまって、2人の邪魔になったのをも、再度、自覚しました。

 本当にごめんなさい。王妃様も陛下から叱られている筈です。


 でも、相談したい事があったら、遠慮せずにしてちょうだいな。 ママより。』


 パパからのお仕置きで昼までリリママが起き上がれなかったと、ママ付きの侍女から聞かされて、色々と察しました。前世、おばちゃんだったので、察しました…。


 リリママったら、やっちまったなぁー!と思っていたけれど、私自身が知らない風を装い、顔に出さないようにも気をつけ、そ知らぬふりを続けましたとも。今世では、成人したばかりの乙女ですもの。


 リリママは、まだ30代半ば過ぎだから、リリーの妹か弟が生まれてもオカシクはないんだし、リリママとリリパパの仲が良いのは、大歓迎です。


 リリーに弟が生まれても、リリーが公爵位を継ぐのが決まっているし、その弟が公爵を継ぐのに相応しくなるかは成人するまで分からない。


 だから、もし、男児が生まれても、リリパパが持つ公爵位以外の爵位を渡す予定なのだと、リリパパからも聞かされていますんで、安心。安心。


 私は嫁に出るんで、問題なし。


 その日から何日間は、何も予定が入っていなかったので、刺繍と貝ビーズの刺繍、レース編みの3拍子で余暇を過ごしました。


 ビエンド様だって、宰相補佐と言う大事なお仕事があるのです。

 私ばかりに構っていられないでしょうし、私だって、リリパパと立ち上げた商会の仕事も、その商会の下で作ったカフェもあるのですわ。


 そのカフェの新作のデザートや飲み物を考える仕事も私にはありましたから、あっと言う間に、ビエンド様とは会えないのに、2週間ほど過ぎてしまいました。


 その間の貴族のお仕事であるお茶会も夜会も、リリパパやリリママから出ないようにと厳命されていたので、私の方では、苦手で参加したくない茶会や夜会へ行かなくていいイコール余分な仕事をしないでいいと言う喜びと一緒に、すっかり余暇を満喫しておりました。


 王子との婚約を発表された余波で、余分なちょっかいをかけてくる相手をリリパパとリリママの方で、見極めていてくれたようですわ。


 その上で、どこの茶会と夜会に私が参加すればいいのかを2人で探っていてくれたのだそうです。


 うん、養親の方が実親よりも親らしいのは置いておいて、私が王子様と結婚するのだと言う事実は、色々と影響を及ぼしていたのでした。


 リリパパと作った商会では、各種色々な香りがするシャンプーやリンス、石鹸が更に売れていましたし、同じ香りのシリーズで作ったハンドクリームや香水も売れ行きが上がっていたそうです。


 カフェも同様に、珍しさとメニューの豊富さで行列が出来る程、人気店だったのが、すぐ近くで支店を作るほどの人気店になったそうです。


 一応、片方は、ケーキ屋さんでイートイン出来る感じで、もう一店の方では、カフェをメインでするような差別化を図りました。


 それと、店ごとのオリジナルのデザートと飲み物を提供し、店ごとに、出向く楽しみを作りましたわ。


 商会の方も、期間限定の香りシリーズを発売する事で、期間限定で終わっても、人気があればどこかで再販し、今一ならば、季節限定ですっぱりと終わらせるという新製品の販売方法で、購買層への刺激を続けていますから。


 ただし、私や私の結婚相手を想定して作った一つの香りのシリーズだけは、私が未だに自分で作っているし、製品の香りやその配合を教えていないので、販売不可で、購入出来ないようにしていますけど。


 今は王領、でも、将来はビエンド様が継ぐ領地でとれる花とハーブで配合し、私がオリジナルとして作ったシャンプー、リンス、ハンドクリーム、香水なんですよ。


 毎朝、ビエンド様から届く花束のお礼として、それらを贈り物としましたの。


 その贈った翌日、いつもは小さな可愛らしい花束が、大きな花束とペンダントになってましたけど。


 ペンダントは、ペンダントトップにはビエンド様の瞳の色と同じ宝石で出来ているし、ペンダントの鎖は金色で、これまた、ビエンド様の髪色と同じなんですけどね、私が身に着けると、ビエンド様の執着が見て取れるものでした。


 ペンダントだって、君に首ったけと言う意味ですから。照れますわ。


 ビエンド様のメッセージカードには、「早く君と同じ匂いをまとって一緒に眠れる仲になりたい。」ですって!きゃあ!情熱的ですわ!


 私が使うモノと同じモノ、男女で多少、使う花とハーブを変えていても香りのベースとなる物が同じモノだったんですけど、ビエンド様に髪の毛を洗うモノと身にまとうモノを贈ったから、情熱的な言葉が返って来たのですわ。


「貴方の香りに包まれる日を楽しみにしていますわ。」って私からもカードに書いて、贈ったんですわ。


 きゃー!恥ずかし!


 さぞかし、ビエンド様も赤くなったでしょうね。ふふふ。際どい所をついて、贈り物をしてみましたわ。


 さぁ!前世の知識で初心な青少年を私が手玉にとれるかしら?それとも、私がビエンド様の手のひらで転がされるのかしら?


 その辺を楽しみにして、贈ったんですもの。もちろん、王太子様なんぞ、眼中にない程、ビエンド様に夢中だって意思表示も多大に含まれていますわよ!牽制しておかなくちゃ!


 リリパパやリリママには、贈る物を事前に見せて、了解を取ってありますわ。万が一に備えてですけれど。


 明日は久々に、ビエンド様が公爵家へいらしてくれるって約束してくれた日ですもの。頑張らなくちゃ!

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