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第16話

遅れた分、もう1話投稿します。

 緊張と少しのドキドキと、何を言われるかの不安を持って、リリママと約束した時間に間に合うようにと、部屋を出たの。


 リリママの部屋に着いたので、部屋の前で私が来るのを待っていた侍女さんに声をかけて、リリママの部屋の中に案内をされました。


 リリママの部屋って言ってもね、リリママの使っている公爵夫人の部屋の隣の私的な応接間に呼ばれたの。


 リリーの話で呼ばれたり、リリママと話したりした時は、家族で使う応接間だったり、庭園だったりでね、リリママのお部屋に初めて入らせてもらうので、ちょっぴり緊張していました。


 リリママが嬉しそうに出迎えてくれたので、「ママ、ありがとう。」って言えたのよ。

 今まで心の中ではリリママ呼び出来ていたけど、声に出してママ呼び出来なかったのも、実の母親と決別したからか、すんなりと出来たわ。


 この人が私のお母さんだったらって、リリーを羨ましく思った事も過去に何度もあったけど、ない物ねだりだって分かっていたから、せめて、嫌われないようにって気を付けていたんだわと、私が過去に思いをはせている間に、お茶を淹れられて、お菓子まで用意されていましたわ。


 リリママの部屋の中には、私とリリママ以外は、口の堅い古参の侍女さん達だけしかいませんでした。


「うふふ。今日はセレナから、何の相談をされるのかしら?」


 私が相談する内容は、だいたい予想していたでしょうけれど、リリーは何も相談しなかったんですものね、私に期待する面があるのでしょうね。


「ママ、昨日はありがとうございました。パパにもお礼を言いたかったのに、王城へ早朝から行かれていたみたいで、朝食の席でもお会いしなかったですね。」


「昨日の後始末でね、どうしても朝一番に動きたかったみたいなの。だから、セレナは気にしなくていいわ。お仕事ですもの。」


 リリママはそう言って、優雅にお茶を飲んでいました。


「それでしたらいいのですが。ええとですね、昨日、ビートエンドラ様に慰めていただいた時に、ええと、泣き叫んでしまったんです。

 それを抱きしめてもらったら、安心したんですけど、その、あの、目が合って離せなくなっていたら、ええと、えっと、気付いたら、キ、キスしてたんです…。ドキドキして困ってしまいました。

 私、これから、どうしたらいいでしょう。」


「まっ!かわいらしい相談ね。リリーはこういう相談も一切なしで、婚約だったから、ママ、嬉しいわ!

 娘から相談される母っていいわぁ。


 そうね。まずは、ビートエンドラ様と一緒に過ごす時間を増やしていくといいわ。王妃様に根回ししておくから。王太子様に邪魔をされると、セレナが迷うし、困ってしまうだろうから。

 ママに任せてね。


 ビートエンドラ様の事も、先入観なしで、セレナが見た方がいいと思うのよ。だから、私からは言わないわ。」


 そっか。その方がいいのね。邪魔をされると困るし。


「お願いします。邪魔をされたら、私が誰を好ましいと思っているかの判別が自分でもしにくいと思いますので、助かります。

 今の気持ちがどう育っていくかも分からないんですから。だから、心を見つめる時間が欲しいんです。」


 私の素直な気持ちが伝えられたので、良かったわ。


「娘を持てた母の醍醐味ね!他には気になった事は無いかしら?」


 リリママがワクワクした笑顔で私に聞いてくるから、昨日と今朝で不安に思った事を頼もうと思ったの。


「そうですね、ドリー侯爵家が私を引き取りたいと思った理由に、追い出されるまでが計画と言っていたのが気になっていました。

 ドリー侯爵家の方で、私や兄の政略結婚する相手を決めていなかったかどうかと、結婚相手が侯爵家にとって有益な相手で、内々に私の話をしていて、嫁入り先が決まっていたのではないかと思ったのです。


 パパにその辺りを調べてもらえたらいいなと思っていました。」


 リリママは少しだけ眉間にシワを寄せてから、パッと普段の笑顔になって答えてくれました。


「セレナが気にするような可能性はあるわね。計画と言っていたのが私も気になっていたのよ。

 パパにはよーーーく伝えておくわ。


 アント殿はリリーの婿で、セレナのお兄様ですもの。2人が安心出来るなら、調べてくれるわよ。」


「良かったです。

 気になると、そっちの方に気がとられてしまうので、商会の商品開発に身が入らなくなりそうで、心配だったんです。」


「セレナは気を遣う子だから、仕方ないわね。パパに念押ししておくわ。


 それとね、リリーが明日から、領地巡りをアント殿とする予定なのよ。セレナが安心出来るように、護衛もアント殿の武器もたっぷり用意しておかなくてはね。」


「ママ、ありがとうございます。」


「王子妃候補のセレナにも護衛を増やすわよ。セレナの方も護身術の訓練を頑張ってね。」


 気が進まない護身術の訓練だけど、王子妃候補だったら増々、必要になるわよね。


「はい。自分の出来る範囲で頑張ってますから。

 領地巡りって、領主の仕事ですよね。リリーが後継ぎだからですか?」


「ええそうよ。結婚も婿殿も決まったんですもの、仕事を覚えてもらう一環ですって。パパも張り切って教えているわ。」

「ふふっ。リリーはウンザリしていそう。」

「ま!セレナってば、見ていないのに、見てきたように当てるのね。私がそうっと覗いたらね、セレナが言った通りに、リリーがウンザリした顔で話を聞いていたわ。ふふふふふふっ!笑いそうになったのは、パパにもリリーにも内緒よ。」


 リリママと私で、沢山笑って、沢山、色々な話をして、そのまま、夕食にも一緒に向かいました。


 夕食の席では、明日から領地巡りをするんだと、リリーが浮かれていました。リリパパとアント兄様は王城での仕事で、不在でした。


 リリーには、アント殿が侯爵家やエレイン様の家から狙われる可能性があるのと、アント兄様が家の駒として政略結婚先を内々で決められていた場合、リリーの身も安全ではない可能性がある事をリリママの方から話してくれました。


「アント様と一緒になるんですもの!誰にも譲らないわ!セレナの義姉の地位も譲らないけどね。」


 リリーが私へ向けて、ウインクしてくれました。


「リリーやアント兄様が無事ならいいの。見て回るって事は、長旅になるんでしょう?無茶したりしないで、身体に気を付けてね。」


「フフッ。姉妹仲がいいと母としても嬉しいわ。」


 和やかな夕食を終え、自室に戻った私が考えるのは、ビートエンドラ王子様が今、何をして、何を思っているのかでした。


 …私、本当に恋しちゃったのかな?


 ベッドの上で散々、ジタバタして体力を使い、呼吸がゼェーハァーするまでジタバタしてしまいましたので、その夜は疲れて眠りました。


 乙女思考な自分にジタバタしたんですけど、何か?


 魔法のホウキがあれば、王城のビートエンドラ王子様の所まで、一っ飛びなんでしょうね。会いたいなー。


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