ささやかな反抗4
サンドール王国 ミュルンヘルハン街道
「公爵、やりましたね。」臣下のアウグストは決して勝てないと考えていた帝国から勝星を上げたことに少し浮かれている。
「ああ、王都に入ってしまえば地の利も活かせる。それに加え敵の長距離攻撃の優位性も半減する。さあ、もうひと頑張りだ!」ツェザール公爵は自らが王位を奪い、解放の英雄と称えられることを想像してほくそ笑むのだった。
サンドール王国駐留軍司令部
「もう一回言ってみろ!」きらびやかな部屋に似つかわしくない怒号が響く。
「反乱の鎮圧に向かわせた陸戦部隊が壊滅しました。敵は尚も王都へ向け進軍しています。」基地司令は頭を抱え込む。
「仕方がない。艦隊司令へ命令。艦隊出撃、敵が射程距離内に入り次第敵を建物ごと粉砕せよ!」
「宜しいのですか?敵が王都へ侵入してこないと射程距離には入りませんよ?」いくら衛星国の蛮族とはいえ、貴重な労働力であり資源である。手前勝手に殺していいわけではない。
「かまわん。元はと言えば奴等が自分達で巻いた種だ。責任を取らせてやれ。王政府に連絡ぐらいはくれてやってもいいがな。」
「了解しました。」
サンドール王国 王城
「王都を攻撃!そんなこと認められるか!」女王ローザは美しい顔をしわくちゃにし、激昂する。
「これは報告です。貴女の許可など必要としておりません。まぁ、間に合うかどうか知りませんが、王都北東部の住民は避難させた方がよろしいかと。」アンゴラス帝国の大使は言う。
「そんなこと分かっている!このことに対してどう責任を取るつもりだ!」ローザは手元のワイングラスを地面に叩きつける。
「責任?元はと言えば貴女への求心力の低下が招いた結果でしょう?」大使は馬鹿にするように言う。
近衛騎士のカルリーノが何か言いかけようとするがローザは手で制する。
「そうとは限らんぞ?お前達がどのようにプロパガンダを展開しようと、出撃の度に減っていく帝国艦隊を見て、戦況の察しはついているだろう。それに貴族クラスは他の衛星国の駐留軍がニホンとかいう国に壊滅させられたのも知っている。私ではなく、帝国が連戦連敗していることが原因かもしれんな?」
「何だと!無礼な!謝罪しろ!」
「人は事実を指摘されると怒るというからな。すまなかった。事実を指摘して。」ローザは先程のお返しとばかり嫌みたらしく言う。
「生憎私は、貴女達のように暇ではありませんのでこれで失礼します。先程の言葉は司令にしっかりと伝えておきますので、そのつもりで。」大使は舌打ちをすると踵を返してドアから出ていった。




