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ヒルメラーゼ共和国 大統領府

黒煙をあげる工場で埋め尽くされる中、ぽつんとある高層ビル。現在、デモ隊に完全包囲されているヒルメラーゼ共和国大統領府である。

「まさか、アンゴラス相手に旗艦を残し全滅するとは。情けないことだ。怠慢が過ぎるのでは?」内務相デレスターレが言う。

「構造上、ミサイル巡洋艦は近距離戦闘には向きません。大統領にもっと早くに攻撃許可を出して頂けていたなら無駄な犠牲を払わずにすんだのです。」大統領を睨みながら軍務相オズワルドが言う。

「帝国にはどのような報復を行うつもりですか?」外務相ノエルが問う。

「国境侵犯をしたのはこちら側だ。報復を行うつもりはない。言ったはずだ。」大統領は言う。

「しかし、4000人以上が行方不明なのですよ!国勢調査の結果、国民も報復を望んでいます。断固とした対応をとるべきです。」とデレスターレ。

「もしものことを考慮して、艦船の増強をお願いしたいです。」とオズワルト。

「300年の平和は少し、長すぎたのかもしれんな。」大統領は感慨深く言う。

「どういうことでしょうか?」

「平和は当たり前だと誰もが考える。しかし、それは違う。平和は守り通さねばならない。ここで紛争を拡大させる訳にはいかん。」

「しかし!何かしらの対応をしないと半年後の、議会選挙に響きます。」ノエルが言う。

「選挙のために戦争をするなどありえん。」

「戦争しろとは言っておりません。貿易制裁でも、為替制裁でもいいのです。」

「必要ない。国民も馬鹿ではない。分かってくれる。」静かになった部屋に、デモ隊の声はよく響いた。


ヒルメラーゼ共和国 大統領府前広場

広場には、数万の群衆が集まり、じわじわと前方に構える警官隊ににじみよっていた。

「大統領は辞任しろー!」

「殺人者どもに制裁を!」

「大統領は同胞の命を何だと思っているんだ!」

「止まりなさい!デモの申請が行われていない以上、貴方達のしていることは違法です。直ちに立ち退きなさい。」メガホンを持った警官が言う。

「ふざけるなぁ!」

「アンゴラス人には注意も何もしないくせに、何で俺たちはここに入っただけで注意するんだ!」

「こんなとこ突っ立ってないでとっととアンゴラス人を逮捕しやがれこの税金泥棒!」デモ隊の一人の男が、火炎瓶を取り出し警官隊に投げつける。それは見事に一人の警官に当たる。

「ぐぁーー!」

「なにやってる!確保!確保しろー!」鎮静を保っていた警官隊は警棒を構え、前に走り出す。

「警察が暴力を振るうのか!」

「暴力反対!」

警官が、火炎瓶を投げた男を取り押さえようとするが、ほかの参加者に肩を掴まれる。

「公務執行妨害で逮捕だ!」警官は肩を掴んだ女の身柄を抑えようとするが、それは叶わなかった。前から、後ろから殴られバランスを崩し倒れてしまう。ある者は、脇腹に蹴りを入れ、ある者は頭をヘルメットの上から蹴りつける。数分後、銃を持った機動隊が応援に駆けつけデモ隊は散り散りになった。すぐに救急車が呼ばれ倒れた警官が運ばれたが、警官10名死亡、重傷者38名というニュースは世間に衝撃を与えた。




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