アマリーナ公国戦 (下)
アマリーナ公国 王都
軍服を着た集団が、王都を駆け抜ける。
「ゼェゼェ何人残った?」少佐は聞く。
「およそ700というところかと。」
「それだけか…。よし、20人ごとに分散して待ち伏せる。建物に一旦隠れ、やり過ごし奇襲をかける。」
「住民はどうしますか?」
「どうしても構わん。行け!」
アンゴラス帝国兵は、テキパキ動き出す。
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「とうとう日本が来てくれたか。」大公はバルコニーから後退した帝国兵を見下ろし言う。
「危ないところでした。」宰相ワルツが言う。
「しかし、あの白竜をいとも容易く打ち落とすとは…」廊下を走る音が聞こえたと思うや否や扉が開く。
「申し上げます!東棟より本館に火が延焼しています。避難を!」
「そうか。他にも燃えている棟はあるのか?」大公が問う。
「無事なのは温室くらいのものです。」
「ありがとう。では避難しよう。」小さい頃より過ごしてきた城を失った大公の表情は寂しげだった。
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この世界の人々にとっては異質な爆音を響かせ、10式戦車、96式輪装甲車は街道を進む。
「陸尉、目標は市街地に入りました。」
「不味いな。」
「どうしましょう?」
「市街地で大砲を使うわけにはいかんしな。降車しての戦闘になる。だが、その前に応援を頼む。数が足りん。」陸尉は第5護衛艦隊群旗艦こんごうへ連絡をいれるのだった。
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「おっ!いい酒があんしゃねぇか。野蛮人のくせして溜め込みやがって。」アンゴラス帝国兵は下品に笑う。部屋の中には、この家の持ち主だった者が転がっている。
「大尉殿、こんな時に何を!」
「お前もやるか?」大尉と呼ばれた男は、コップに酒を注ぐ。
「今は作戦中なのですよ。」部下は嗜めようとするが、大尉は耳を貸さない。
「んーーっ!うめぇーー!さぁ、もう一杯だ。」一気に酒を飲み干す。
「大尉殿!こんなことしてる場合じゃないですよ!」
「いや、これが最後の酒になるかも知れねぇって思うとな…。」大尉は途端に感慨深そうな目を向ける。
「あの、えっと、すみませんでした。」
「何でお前が謝るんだよ!」
「分かりません。雰囲気で。」
「まぁ、いいや。お前もやれ!」
「はい、ご相伴に与ります。」大尉は部下に酒を注ぐ。
「いい香りですね。」
「だろっ!」
「では、いただきま…」男が酒を口にしようとしたその時、窓の外を見張っていた兵が叫ぶ。
「敵の増援を確認!大型の鉄製ゴーレムと、小型のゴーレムです。数18!」
「とうとう動き出したか。窓から外を覗くな、怪しまれんようにする。全員ドアの前で待機しろ。」大尉は電源が入ったかのように命令を出す。
「あの、これは飲んでしまって構いませんか?」
「早く片付けろ。」
「了解!」部下は慌てて酒を飲む。確かに美味しかったが、もっと味わって飲みたかったと思うのだった。




