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宝石店でのこと

機嫌良くて、はやめに投稿しちゃう

 ケーキを食べ終えて店を出る。

 冒険者たちも満足気だ。

 では僕は魔宝石を探すとしよう。

 僕の中の少ない魔力を使い、魔法を発動させる。

 そう簡単には見つからないけど。


「今日はありがとうございました。ニファンさん」


 魔法使いっぽい冒険者が僕に頭を下げてくる。

 リーダーと女性も頭を下げてきた。


「こちらこそありがとう。じゃあ、また会うことがあったら、お手柔らかにね」


「え? あ、はい!」


 魔法で探索しながら歩き出す。

 冒険者たちはなかなか良い人たちだったな。

 怪盗サーチ対策部隊は、良い人たちばかりなのだろうか?

 いや、それはないか。

 なかには金目当ての野蛮なやつもいるだろう。


 それは置いておいて、ケルトが魔力を奪われた場所である、貴族の家の前にきた。

 魔法で魔力を探すが、やはり目的の魔宝石はない。

 実は戻ってきてるって線も追って、来てみたんだけど。

 まあないだろうとは思っていたからいいや。


 今度は近くの宝石店に来てみた。

 こんな近くで宝石を売ったとか考えられないけど、灯台下暗しでした、なんて後でわかったら嫌だし。

 ついでに僕の魔法石がないか探索中。

 僕に似た魔力を持つ魔法石があればラッキー。

 それでも似ているだけで、僕の魔法石とは限らない。

 それに、精霊の魔力が強すぎて、違う魔力なのに僕のでした、なんてのもあるかもしれない。

 それはケルトの魔宝石でも同じだが、古代魔法で強制的に契約させるのに、強い魔力を持っていて抵抗の強い精霊は使わないだろう。

 長年魔力を食らって魔力が強くなっていく可能性はあるから、僕の魔宝石が今どうなっているのか想像つかないのが残念だ。


 だからケルトの魔宝石はまだ、精霊の魔力ではなく、ケルトの魔力の波長を強く放っているだろう。

 そういう宝石を探しているけど、見つからないなぁ。

 宝石店のドアを開けて、中に入って宝石を見て回る。

 宝石店なので魔宝石だけではなく、ただの宝石もあるね。

 魔宝石は大きく、ネックレスや帽子につけられたりしていて、魔法道具の核となっているようだ。

 探索の魔法でわかったけど、店の奥に加工されていない魔宝石も置いてあるようだし。


「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」


 店の人が声をかけてきた。

 言葉はとても丁寧だけど、顔が引きつっている。

 僕の今の服装は、ボロい白衣とそこらでよく売られているようなワイシャツとズボンだから、冷やかしに来た貧乏人に見えるんだろう。

 よくあることだから気にしないが。


「探しものがあるんだ」


「誰かにプレゼントですか?」


「そういうわけじゃない」


 じゃあいつも通りに行きますか。

 僕はポケットの中から袋を取り出す。

 金がたんまり入っているので、結構重たい。

 こういう袋が異空間収納のなかに何個か入っているので、大きな買い物をするときは楽だ。


「この店の魔宝石を全部くれ」


 袋を店の人に渡していう。

 中身を覗いた彼は目を見開いて驚き、手のひらを返したように、手を揉みながら腰を低くした。


「いやぁ、お客様は欲張りですなぁ。ですが、すでに予約済みの魔宝石などもありますので、全てというのはちょっと……」


「では予約のものは触らせてくれるだけでいい」


「触るだけで?」


「ああ」


 店の人は怪訝そうにしていたが、金は払っているので素直に魔宝石を持ってきてくれた。

 買うものは全てポケットの中へ入れてしまい、触るものは今ここで確認を済ませてしまう。

 小声で契約破棄が出来るか試していくが、どれも僕の魔宝石ではなかった。

 あとはもうこの店が売ってしまった魔宝石か。

 僕の魔宝石はどんな形かわからないが、ケルトのは手がかりらしきものがあるし、聞いてみるか。


「涙型の赤い魔宝石って買い取ったり、売ったりしたか?」


「つい先週売りましたけど……」


 え?


「法王様が私の店の宝石を高く評価していただいておりまして、刻印の血涙という宝石を高額で売ってみせろと、試練をくださったのです。それがお求めでしたか? 残念でしたね。もう売れてしまいましたよ」


 ちょっと待て。

 え? 待て待て待て待て。

 法王がケルトの魔宝石である刻印の血涙を売れっていったの?

 なんで法王がその魔宝石持ってんの?

 おかしいだろ。

 貴族の執事かケルトの魔力を奪って、魔宝石を持って逃走。

 それからどうやって法王のところに魔宝石が?

 執事と法王ってグルなの?

 まさか古代魔法教えてんのも法王?

 魔法組織デジメーションと法王って関係してんの?

 はぁぁあ?

 じゃあ法王は、僕の魔力が奪われてんのしってて、お前に才能はないとか言ってたわけ?

 ミアナッシーク教の頂点である法王の腹ん中は真っ黒なんだな。

 例え違かったとしても、法王が関係していることは間違いないだろう。

 うん。一旦落ち着こう。

 とりあえずは魔宝石だ。


「その魔宝石って、誰に売ったんだ?」


「それは教えられませんよ」


 そりゃそうだ。

 僕も買った魔宝石をくれって交渉しに来た奴がいたら、面倒くさいし。

 でも今回ばかりはどうにかしてでも手に入れなければならない。


「その魔宝石を売った人とあなたは連絡が取れるか?」


「取れますが……」


「交渉したいから連絡とってくれ」


「いいですけど、無理だと思いますよ? 相手は貴族ですし」


 貴族か……。

 ミアナッシーク王国では少ないが、民を見下すような貴族だとキツイかな。

 そうでないことを祈りたいが、無理なら金にものを言わせるしかない。


「その貴族に伝えといてくれ。僕の名前はニファン・ヴィオラン・アスタール。どうしても刻印の血涙が欲しいから交渉したいんだと」


「ニファン・ヴィオラン・アスタール?」


 店の人は首を傾げる。

 なにかを思い出そうとしてるようだ。

 魔法に興味がないのなら僕の名前までは覚えていないだろうからな。

 五の魔法使いとか魔法王とか言われたほうが、一般の人には伝わりやすい。

 でも言わないほうがいいだろう。

 そのほうが相手は油断して、僕の正体を知り。動揺したところで畳み掛けるように魔宝石を要求すれば、売ってくれるはず。

 その前に会ってくれるかだが、会ってくれなそうなら五の魔法使いですって言えばいい。


「あんた、もし貴族に連絡取れて会えるとなったらいつくらいになる?」


 聞いてみたら店の人はカウンターのほうでなにやらごそごそとやってる。


「……手帳の予定では、来週の今日ならその貴族様が店に来ますので、交渉出来るのでは?」


「マジ? 何時くらいに来るとかわかる?」


「そこまではちょっと……」


「わかった。来週の朝早くにまた来る。ついでに魔宝石も用意してくれたら買うよ」


「……その魔宝石ってどんなに高級なものでも買いますか?」


「あんまり高いと物々交換になるけど、それでもいいなら」


「物々交換?」


「別の魔宝石とか魔法道具とか」


「わかりました。物々交換もこの店で売れるようなものであれば良いということで」


「うん。じゃあそれでよろしく。来週の朝くらいにまた来るよ。またね」


 僕は店の人に手を振ってから店を出る。

 来週までは、その貴族の家を突き止めたいな。

 交渉が失敗した時は押しかけるから。

 金もいつも以上に沢山持っていくことにしよう。

 あと魔法道具とかも貴族に売れるようにあったらいいかも?

 このまま順調にいけば、来週にはケルトの魔力を取り戻せる。

 頑張ろう。

 ケルトの魔力を探して街をぷらぷらする。

 この街にはいなさそうだから、別の街か別の国か。

 でもまたあの宝石店に行くってことは常連か何かだろうから、国外ってのは考えずらいかな。

 それとは別に魔力を奪った執事と関係してそうな法王のことも探らないと。

 法王には近づきたくなかったのにな。

 その辺はマジナーサとかディゼオとかに任せてもいいか。

 とりあえず報告しに家に戻ろう。

次話は4月25日投稿予定です。


10万字まで来たぜ!


読んでくださる方、ブックマークしてくださる方、評価してくださる方、ありがとうございます!

作者は書きたいように書きまくってるので、読んでくださる方は主人公にあまり感情移入出来ないのでは……と思っております。

今後のストーリーも寄り道が多めになりそうです。

きっと万人受けはしませんし、そもそも私は文章力や物語の構成、設定など、まだまだ未熟な点が多いので……。

それでも読んでくださる方がお一人でもいらっしゃるのなら、それはとても嬉しいです!

10万字超えたので、ちょっとした感謝の言葉を書かせていただきました。

これからも『怪盗サーチ』をよろしくお願いします。

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