Vol 6 漆黒は動く
漆黒は動く
「乗ってみる?」
クレアの一言が清次の薄れていた意識を
ハッキリとさせた
「ちょっと待て、まだ俺がパイロットだって決まってないだろ」
清次は慌ててクレアの提案を否定した
しかしクレアは止まらない
「DOLLには一般人が見て混乱しないようにIAって言うステルスシステムがあるの」
IAシステム
桐生もそんなことを言っていたと
清次は思いながら疑問を抱いていた
(それがどうしたんだよ・・・・・・あれ?俺見えたような)
「お前は俺のが見えたからコイツ動かせるつってんだよ!とっとと乗れ!!」
桐生は清次の首を掴んだ
その声はヘルメットを被っているにもかかわらず
桐生が苛立っていることが解るほどだった
クレアは横で通信機をポケットから取り出し
DOLLを管理している人物と連絡を取った
「No-001ガルバレン、コクピットオープンお願いしま〜す♪」
『了解』
返事は早かった
そして2秒後
NO-001ガルバレンのコクピットは開いた
「ウラァ!!」
桐生は清次を全力でコクピットに向けて投げた
清次の体重は57キロ
男でも簡単に投げられる体重ではないハズだ
「おぅわ!!」
清次はそのまま勢い良く
コクピットに飛び込んだ
「痛っ!!」
清次がシートに座ると
コクピットが自動で閉まった
そして清次が前に目を向けると
[This is permitted to be moved because you are a pilot of this
airframe. ]
メインモニターの少し下にある
ターゲットモニターに文字が映し出されていた
しかし清次は
「悪いな、俺英語読めないから」
と言ってターゲットモニターに映し出された文字を無視した
そして清次はとりあえず
左右に1つずつあったレバーを握った
「動くかな〜?」
清次がそう言ったと同時に
「・・・・・まさか!!」
桐生とクレアは走り出した
勿論嫌な予感がしたから
キイイイィィィィィィィィィ
耳障りなエンジン音が格納庫に響きだした
そして次の瞬間
漆黒のガルバレンは
一瞬のうちに外に出た
「・・・・・・・・!!」
クレアも桐生も言葉を発することができなかった
そしてやっとクレアが動き出した
「早く止めに行って!やつらが来るわ!!」
「!!」
桐生は『やつら』と言う単語にすばやく反応し
自分のDOLLの下へと走った
そしてヘルメットに内蔵されている
スピーカーに向けてその声を発した
「No-002 VAIN コクピットオープン」
そして先に立っている
長腕深紅の機体
ヴァイン
桐生はヴァインのコクピットに飛び入った
『桐生君、少々手荒になってもいいから極力速く連れ戻して』
サブモニターにクレアの顔が映し出された
その顔に余裕は無かった
「少々手荒でも・・・・後悔すんなよ!?」
桐生はレバーを強く握り締め
格納庫のドアをブチ破って外に出た
ほぼ同時刻・上空2000m
「何か武器とかないかな〜」
清次はモニターの横にあったキーボードを引っ張り出し
ガルバレンのシステムを閲覧していた
そして適当に弄っていると
[装備情報]がモニターに映し出された
「お!これこれ」
清次は[装備情報]の項目を開いた
そこに書いていたものは多くの武装名だった
「・・・・・・・?」
しかし書いていることが難しすぎて
清次はすぐに画面を閉じた
そして適当に武装で遊んでみようと思った瞬間
ガッ!!
巨大な手にコクピットを鷲掴みにされた
それはガルバレンの手の3倍はあった
「即行で帰れ、でなきゃ死ぬぞ?」
桐生の横暴な言い方に腹が立った清次は
ヴァインの手を振り払おうとした
が
悲しいまでの性能差
ガルバレンも弱くはないのだが
ヴァインは近接戦闘に特化しているようだ
「死にたいなら殺してやる」
桐生のその言葉とともに
一方的な殺し合いが始まった