Vol 4深紅の機体
深紅の機体
「清次・・・・?清次ー!?」
亜美は泣きながら清次を探していた
窓の外
廊下
教卓の下
隅から隅まで探した
だが清次はどこにも居なかった
「清次・・・・・行っちゃったのかよ・・・・」
その頃の清次
「ウワワワワアアアァァァァアアアア!!」
落ちていた
正確には嵌められた
「あの野郎ー!!」
清次はピールに言われた通りに道を歩いていた
そしてちょうど100歩目
「道無ぇーーーー!!」
清次は落ちながら強く思っていた
今度会ったら殺す、と
しかし今度は無いかもしれない
「死ぬって!死ぬって!これ死ぬって!ギャアァアァァ!!」
そうして叫んでいると
清次の体に何か小さな粒のような物が当たっていた
そしてやっと清次はここがどこか気付いた
「雲の・・・・中!?」
そしてそれとほぼ同時に雲を突き抜け
雲のはるか下、つまり地上が視界に入った
しかし清次にそんなことを考えている暇は無かった
「地面近いって!ヤバイって!!」
(第三回にして主人公死す?そんなのやーだー)
清次がそう言った(思った)瞬間
『ハロー、空中散歩は楽しかった?』
不意に聞こえてきた声
ただの声ではなく
スピーカーを通したような声だった
そして気がつくと清次は鉄の手の上に乗っていた
その鉄の手の全体像を見ると
清次は一言言った
「ガ・・ガ○ダム!?」
その目の先に映っていたのは
深紅の機体色
異様なまでの長腕
特殊な形をしているが
それは確実に人型の機械だった
『あ?テメェ見えてんのか?』
またもや声が聞こえてきた
声は女っぽいが口調からすると
どうやらこれに乗っているのは男のようだ
『クソッまたIA故障かよ、もうアイツ殺すか』
(IAって何だよ、てか話しかけ辛いな)
清次はそう思ったが口には出さなかった
『まぁいいや、ちゃんと掴まってろよ?』
その声が聞こえた瞬間
深紅の機体は移動を始めた
最初は風が気持ち良い位のスピードだった
しかし10秒ほどで清次は異変に気付いた
「何か・・速・・・くなっ・・・てる?」
喋るのも困難になるほどのスピードに達していた
あああああァァァァァアアぁァアァ━─--------
清次の悲鳴はエンジン音に掻き消されて
誰にも聞こえることは無かった
10分後
深紅の機体はどこかに降り立った
そして下腹部の辺りが開きパイロットが降りてきた
「チィーッス」