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Vol 17 大国の意思




「それ・・・どういう・・・・」

清次は混乱していた

モニターの前の男が何を言っているか解らなかった

『そう言うのも無理は無いな・・・・・一から説明しようか』

モニターの向こうの男、比嘉は一冊の本・・・と言うか書類を取り出した

その書類の1ページ目には「DOLL及びその関係者疎外計画」と描かれていた

「・・・・おい・・・・それ・・・・・!!!」

『悪かったね、君たちは最初からここで処分する計画だったんだよ』


!!!


言葉がでなかった

成り行きとはいえ今まで命がけで闘ってきたのに

いや、自分はまだいい

桐生や炎璽は成り行きだけではなかっただろう

それなのに今まで守っていた者に裏切られたのだ

なんとも言えない感情が清次の心を覆った


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「!?」

不意に爆発音と崩れていく音が聞こえた

『始まったようだね』

広間が崩れていき、落石がさらに落石を呼ぶ

「比嘉ぁ!!テメェ何しやがった!!」

『さっきも言っただろう、君たちにはここで死んでもらう』

比嘉は歪んだ笑みを顔に浮かべる

その表情は清次たちをあざ笑っているようにしか見えなかった

「あの量産型にも人が乗ってるんだろ、見捨てるのか!?」

清次はヴァインとグレイヴを捕らえている量産型DOLLを指さした

その瞬間、量産型DOLLに亀裂が走る

そして量産型DOLLは崩れ去った

「な・・・んで・・・・」

『あの量産型には少しの時間だけ爆発的なパワーを得る能力があってね・・・・もっともそれを使うと機体が崩壊するわけだが』

そう、量産型のDOLLはその能力を使ってヴァインとグレイヴを捕らえたのだ

しかし清次は納得できなかった

一度使って機体が崩壊するということは

一度の使用でパイロットが死に至るということだ

見たところパラシュートを使った様子も無い

恐らく量産型のパイロットは死んだだろう、この下らない計画のために

『少々お時間よろしいですか?総理』

クレアからの通信が入った

どうやら目を覚ましたようだ

『君は確かクレア・・・クレア・リジュンだったかな?』

『御覚えいただき光栄です、それよりも・・・・私達をここで破棄するというのは本当ですか?』

クレアはいつものニヤケ顔ではなく

本気の顔で比嘉に問いかける

『本当だ、君たちのDOLLは脅威にしかならない』

『貴方達はテンペスタと名乗ってDOLLを所有しているのに?』



!!!!!!



『・・・・・・・いつから・・・・気付いていた・・・・・?』

『ヴァイン達を見つけた時です、表情を見ればだいたい解りますよ』

クレアの言葉に比嘉は言葉をなくした

まさかここまで予測されていたとは

『君の様な優秀な部下を失うことになるとは・・・・・残念に他ならないな』

比嘉は心底残念そうな顔をする

しかしこの状況でクレアは笑った

『総理、私達がただこの状況に甘んじるとお思いですか?』

清次、桐生、炎璽、比嘉の表情が固まる

まさかこの状況を打開できる策があるとは思えない

だがそれと同時にクレアが根拠の無いことを言うとも思えなかっ

『君がこの状況をどうにかできるとでも?冗談はよしたまえ』

比嘉は虚勢を張った

額の冷や汗がそれを隠しきれていない

しかしクレアがこの状況をどうするかも解らなかった

『カラーコンタクトって赤や青だけじゃなくて黒のもあるんですよ、知ってました?』

クレアは自らの眼球に手を伸ばす

そして左目に接触し、コンタクトを外した

『貴様・・・・!その目は!!!』


黒のコンタクトを外したクレアの左目は銀色に輝いていた


これには清次も動揺を隠し切れなかった

桐生や炎璽も同様だ

「桐生・・・・・知ってたか?」

『知ってたらもっと早く使わせてるよ』

やはりクレアは誰にも知らせていなかった

こういう事態を想定して伏せておいたのだろう

さすが指揮官、切札の切り方が上手かった

「炎璽、大至急基地への回線を繋いで」

「・・・・・了解」

炎璽はコンソールパネルを素早く叩き、基地への通信回線を繋ぐ

『緊急通信!死にたくなければ第5シェルターに集合!大至急第5シェルターに行け!!』

クレアはそれだけ言って回線を切った

「第5シェルターに何かあるんですか?」

炎璽は横にいるクレアの顔を見た

「ええ、とっておきがね」


その頃基地では大混乱が巻き起こっていた

「今のは本当か!?」

「イタズラじゃないのか?」

「俺は行くぞ!?」

「そうだ、行きたくない奴は行くな!」

そうして多くの人数が第5シェルターに行こうとしたとき

敵の策略家が動いた

『敵に惑わされるな!』

突然基地内の全スピーカーから音声が飛んできた

「この声は・・・?」

「比嘉じゃないのか?総理の」

「でも何で比嘉が・・・・」

『コレは敵の罠だ!第5シェルターに行けば死んでしまうぞ!』

比嘉は基地内の人々を止めた

『だがそれでも行くというのなら構わん、行きたまえ!行った者は国家反逆罪として処刑する!!』

完全に足が止まった

先ほどまで第5シェルターに居た者も皆出て行ってしまった

しかしこの中でたった数人、第5シェルターに向かう者がいた

凍璽率いるクレアの直属部隊だ

「下らない」

凍璽はそう言って第5シェルターに入った

中には誰も居なかった

(そういえばここに入るのは初めてだったっけ・・・・)

凍璽はシェルターの中を歩き回る

そして気付く

明らかに狭い

シェルターと言えば食料などの物を確保するため、かなりのスペースが用意されているはずだったが

この第5シェルターは中学生の部屋ぐらいの大きさしかなかった



『これで第5シェルターに行く者は減ったと思うが・・・・・どうかね』

比嘉は汚い笑みを浮かべる

清次は歯軋りを止められなかった

「余計なことを・・・・・ッ!!」

しかし清次の仁王の様な表情に対して

クレアの表情はいつものニヤケ顔に戻っていた

『奥の手はこういうときに使うものでしょう?』

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