Vol 11 新型
更新遅くなってすみませんでした
中学3年になって受験生となってしまったので
これからも更新が遅くなってしまうかもしれません
どうか最後までお付き合いください
「おはよ〜」
クレアが寝ぼけ眼で居間にやってくる
清次はすでに朝食を終えて新聞を読んでいた
テーブルには4人分の食事と1人分の皿が置いてある
「美味しそ〜」
クレアはフォークを握りウィンナーを刺した
そして「パリッ」という音と共に肉汁があふれ出してきた
清次は半ば感激しているクレアを横目で見ると
台所に自分の皿を持って行った
「皿は自分で洗ってくださいね」
「おかわり」
「速っ!!」
クレアは清次に皿を突きつけている
「もうありませんよ」
「エエエエェェェ〜・・・・・」
「炎璽とか凍璽にもらえばいいでしょう・・・・」
清次はあえて桐生の名前を出さなかった
桐生が人に大事な朝食をあげるとは思えないからだ
すると階段から足音が聞こえてきた
「あっ!凍璽?炎璽?どっちでもいいや、朝ご飯ちょっと頂戴!!」
クレアが炎璽と凍璽の方を向いて大声で叫ぶ
「行儀の悪い・・・」
清次は自分の皿を洗って聞いていた
(でも・・・・こういうのも悪くないな・・・・・・)
清次はそんなことを考えながら皿を眺めた
その内に桐生や炎璽と凍璽も起きてきて朝食を貪っていた
「さぁ、そろそろ出勤だよ」
クレアはイスに引っ掛けていたHEAVENの制服を着ながら言った
それに続き桐生たちも制服を着ていく
「・・・・・・俺、浮いてねぇ?」
一人だけ学生服の自分を思い、何だか悲しい気分になる清次を見て
クレアは紙袋を差し出した
「ハイ、どうぞ♪」
「なにこれ」
その紙袋の中には凍璽や炎璽たちと色違いの制服が入っていた
「速く着替えてね、先行っとくから」
「お先で〜す」
「じゃあな」
「白状者っ!!」
清次は一人取り残されてしまった
外から車のエンジン音が聞こえる
しかしその音もスグに遠くに行ってしまった
「え?マジで?」
清次は急いで制服に着替え、外に飛び出した
しかしそこにクレアたちがいるはずもなく・・・・
「居ねぇ・・・・ん?」
清次はポストに張り付いている一枚の紙を見つけた
そこに書かれていたのは
制服が似合っているであろう清次君へ
先に行ってま〜す☆地図書いとくから速めにきてね
PS:道に迷うなヨ!
清次は地図の部分だけを残しビリビリと破り捨てた
「行こ」
一時間後
清次は完璧に道に迷っていた
「どこだよ・・・・ここ」
周りには木々が生い茂り、空からは鳥の鳴き声が聞こえる
清次は自分の位置を確認しようと地図を見た
しかし今いるところは地図から外れており、確認の使用が無かった
「どうよっかな〜・・・・」
清次は少し浮かれていた
それはこのシチュエーションのせいだ
(これは「謎の美少女と出会う」ってパターンだろ)
そんなことを考えながら清次は森の奥に進んでいった
さらに一時間後
「ヤバイ・・・・本気で帰れない」
清次は道なき道を進んでいく
すると少し広めの場所に出た
「お・・・・なんだここ?」
その中心には女性が座り込んでいた
長い髪の毛
細い腕
白い肌
穏やかな目
年は16程だろう
その子が腕を伸ばすとその先に小鳥が止まった
「可愛い・・・・・」
それは清次の率直な意見だった
そしてその声に反応して女の子がこちらを振り向いた
「・・・・・・・!!」
「あぁ、ごめん。俺道に迷っちゃって・・・・」
そう言い終わらないうちに女の子は走り去っていった
「・・・・何だ?」
清次が混乱していると上から鉄の塊が降りてきた
『やっぱり一人で行かせない方が良かったね』
それは周りの自然と同化する色だった
「炎璽か・・・・遅すぎるよ」
『速く乗って下さい、置いていきますよ』
「解った解った」
清次はグレイヴの手の上に乗り、HEAVENの基地に向かった
10分後
「遅いよ」
「遅いな」
「遅かったですね」
「全くもって遅いですね」
清次は桐生達に説教を食らっていた
「まず何で森に行くのかな〜」
「お前は鳩か」
「森の中に基地はありませんよ」
「同じく」
ネチネチと説教が飛んでくる
ネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ
ネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ
ネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ
ネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
清次がキレた
「まずあんな地図でここまでこれるわけないだろ!!」
逆ネチネチ
5分後
「はぁ、満足」
清次の説教が終わる頃にはクレアたちの目は死んでいた
ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!
唐突に敵機襲来を告げるサイレンが鳴り響いた
その音にクレアはすばやく反応した
「総員戦闘配備、望遠カメラで敵機を捕捉して」
と耳の小型音声送受信機に向かって言い、壁のモニターに目を向けた
桐生もそれに反応する
「敵の数は?」
「解り次第報告するわ、皆コクピットで待機しといて」
「了解」
清次は格納庫に向かい、ガルバレンのコクピットで待機していた
静かにヘルメットのバイザーに映る自分の顔を見つめている
クレアからの指示を待ち初めてすでに30分は経過している
勝手に出て行ってしまおうかと思っていたとき
「敵は新型が1機、嫌な予感がするけど頑張ってね」
その声が聞こえた瞬間3人の声がシンクロした
「No-002 ヴァイン、出る!!」
「No-004 グレイヴ、出る!!」
「No-001 ガルバレン、出る!!」
基地内に轟音が響き鉄の塊が飛んでいった
「敵機捕捉!ぶっ壊すぞ!!」
桐生は誰よりも速く敵機を発見し、攻撃に移った
炎璽はセオリー通り基地上空で待機している
すでにBMは散開させていた
ガルバレンのメインカメラも敵機を捕らえた
その形状に清次は不安を胸に抱いた
銀色に輝く機体色
両肩にマウントされている長方形の巨大な箱
背中には、ハの字のバックパックが
腰のサイドアーマーには円柱の物体が3つずつ接続されている
胸部中央にはスカイブルーに輝くレンズがあった
そして何より清次の目を惹きつけたのは
右手に握られていた大型のビームバズーカだった
「引けっ!桐生!!」
清次は自分の不安が的中しないことを祈り、桐生に言った
しかし時すでに遅し
ヴァインの渾身の一撃は華麗なバックジャンプによってかわされ
敵機のビームバズーカによって空中に叩き上げられてしまった
「なっ!?」
桐生は驚きつつも機体を立て直した
しかし尚も敵の攻撃は続く
ビームバズーカの打撃だけでなく、蹴りなどの攻撃も繰り出してくる
「クソッたれがぁ!!」
桐生が反撃しようと敵機に接近しようとした時
敵の両肩にマウントされていた膝の下まではあろうかと言うほどの大きさの箱の
外側の面が下にスライドしていった
そしてその中にあったのはぎっしりと敷き詰められた短い円柱の物体
それが何か気付いたときにはもう遅かった
円柱の物体はヴァインを破壊しようと唸りを上げて一斉に襲い掛かってきた
「ミサイル!?なんて数だ!!」
グレイヴは必死でミサイルを打ち落とそうとするが、数が多すぎた
300を超えるほどのミサイルを全て打ち落とすのは不可能だった
清次は不安が的中したことを呪っていた
「やっぱり・・・・あれは・・・・あいつは・・・・」
「DOLLなのか!!」
次の瞬間、桐生の駆るヴァインは炎に包まれた