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Vol 10 思い出

今回は更新が遅れて真にスイマセンでした

今回のちょこっとメモはこちら!(タイトルは毎回変わります)


『TE-0013』

・皆さん何のことか全く解らないでしょうが

 実はこれ『嵐』が乗っていた機体の形式番号です

・『HEAVEN』の皆さんは最近発見した敵機の残骸から 「パライド」と書かれていたのを見つけ、以後

  パライドと呼んでいます

My home only during a day



清次には腑に落ちないことがあった

それは先ほどのビームを発射した友軍機のことだ

この時代のビーム兵器がどれほど進んでいるのかはわからないが

あの攻撃はおそらくDOLLによるものだろう

そして先ほど通信によって聞こえてきた声は

『作業着の少年』のものだった

しかし『作業着の少年』の目の色は黒だった

DOLLの色が重複することはあるのだろうか

そんなことを考えていると

『お疲れ様、2人とも戻って来て』

クレアの声が清次を現実に引き戻した


結局あの後、八角形の物体は散々ビームを弾き

敵を全て破壊し基地へと飛んで行った

「なぁクレア、あれなんだ?」

清次は半分予想がついていたが

興味本位で一応クレアに聞いてみた

『ん〜・・・・・その話はこっちに戻ってからするわ』

クレアはそう告げるとすぐさま通信を切った


3分後


「・・・・・・・・・・」

清次は動けずにいた

クレアが小さな男の子を2人清次に突き出していたからだ

少年達は静かに清次を見上げている

その2人の顔は同じだった

ただ目の色のみが違った

「双子・・・・・・」

「これでいい?」

クレアは満面の笑みで言った

少年はなおも清次を見上げている

「紹介しとくわ、この子は『NO-003 GRAVE』のパイロット」

炎璽エンジです、どうぞ宜しくお願いします」

「この子がHEAVENが所有するDOLLの総合整備士そうごうせいびし

凍璽トウジです、どうぞ宜しくお願いします」

炎璽と凍璽は深々と頭を下げて、自分の名前を言った

「あぁ、宜しく。それとグレイヴを見せて欲しいんだけど・・・」

「DOLLの整備がありますので、失礼します」

凍璽は一言告げるとクレア達に背を向けて歩き出した

「少し疲れたので寮に戻ります」

炎璽はそう言うと凍璽とは逆方向に歩いて行った

清次は少し残念そうに肩をすくめ炎璽と同じ寮の方に歩いて行こうとした

するとクレアは清次の肩を『ポンポン』と軽くたたき、言った


「素直じゃないのよ、あの子」


数分後

「へぇ〜、スゲェなコレ」

清次は炎璽のDOLL『グレイヴ』を見上げていった

その色はみどりだった

そしてその機体の両肩にはあの八角形の物体が4つずつ装着されていた

「あぁ、コレだコレ、なぁ凍璽コレなんだ?」

凍璽は大量のコードがつながれたノートパソコンをいじりながら

「それは『ビームミラー』通称『BM』です」

と答えた


『ビームミラー』

それだけ聞けば大体の機能は解る

おそらくはビームを弾き、敵にビームを効率よく当てるためのものであろう

先ほどやってのけた様に


そこで清次の頭に疑問符が一つ浮かんだ

それはDOLLの動力だ

この時代では石油などの化石燃料はとっくに使い切ってしまっているはずだ

かといって水素であれほどのパワーや推進力を生み出せるとは思えない

「凍璽、DOLLの動力って何なんだ?」

その問いに答えるのに凍璽は数秒の時間を要した

「それは・・・・・まだ解ってないんです」

その答えで清次は少し驚いた

この時代の科学力でまだわからないことがあったのか、と

「今は『Dixコア』と言う動力で動いています」

「へぇ〜」

清次は少し聞くとすぐにグレイヴに向きなおした

「これは?」

「それはですね・・・・・・」



その後も二人は延々とDOLLについて話し合った


そして時間はいつの間にか夜


『2人とも何してるの・・・・・・・?』

パソコンのモニターにクレアが映し出された

その目はチャンバラをしている2人を見ていた

「いや、これはDOLLの戦闘時の関節構造についてですね・・・・・・」

『そんなのいいから、ちょっとこっち来て』

クレアはそういうとすぐさま通信を切った


5分後


「遅くなりました」

凍璽と清次が司令室に着くと

「ぉうわっ・・・・・」と声が出た

その理由は部屋にいた炎璽と桐生だった

ただ部屋にいただけではない

その顔は絶望に満ち溢れていた

「あ、来た?」

「来た?じゃねぇよ、何だこいつら」

それを言うとクレアの顔が少し曇り

「実は今日の戦闘の流れ弾で・・・・寮が無くなったって」

その一言で清次と凍璽は例によって凍りついた



愚痴タイム

桐生「マジありえねぇよ・・・雑誌とか服とか結構大事にしてたんだよ・・・・」

炎璽「僕だって最近給料とボーナス合わせて冷蔵庫買ったんですよ・・・」

凍璽「僕なんか貯金崩してプレステ14買ったんですよ?・・・・・・」

清次「俺なんてまだ一日しか住んでねぇよ、悲惨すぎる・・・・・・・・」


「ハイハイそんな皆さんにプレゼントターイム」

クレアはそういうと皆の腕を握り外に走り出した

そしてあっと言う間に外に出るとあらかじめ待機させておいた車の中に押し込んだ

クレアも運転席に乗り込み、思い切りアクセルを踏み込んだ

そして結構時間がたったが誰一人として口を開かなかった

それほど家を失ったショックが大きいのだろう


「と〜ちゃ〜く」


その声が聞こえると車のドアが開き、皆外に流れ出た

「痛っ・・・・・・・」

清次がゆっくりと上を向くとそこには一戸建てほどの建物があった

桐生や炎璽たちもそれに気付き始める

その建物に近づくと表札の文字に気付いた

「・・・天・・・国・・・・・・荘?」

桐生がゆっくりと表札に書かれておる文字を読み上げた

全員の心の中に『まさか』と言う文字が浮かび上がる

「その通り!!ここが皆さんの新居で〜す!」

クレアが声高らかに歌い上げる

まるで手品の種明かしをする奇術師マジシャンのように


また皆固まっている

ただしこんどは先ほどとは違い歓喜によって固まっている

「ハイハイ、上がって上がって」

クレアにつれられて『天国荘』に上がると皆一様に驚いた

そこは今までのように通路を挟んで各自の個室があるのではなく

一つ大きなリビングが設けられ、そこから各自の部屋がある

まるで本物の家族が住むような家だ

「この部屋俺のー!!」

「じゃぁ、僕はここで」

「ぼくここ」

「あっちょっセコイぞ!!」

清次も慌てて部屋を決める

その部屋は広すぎず狭すぎず、丁度いい

部屋の壁には本棚が並んでおり図鑑などが入っていた

「新居かぁ・・・・・」

清次は顔にこそあまり出さなかったが

心の中では歓喜に満ち溢れている

「晩御飯出来てるよ〜」

クレアの声が母親の声のように響き渡る

「飯!飯!メシャバババババババ」

桐生が妙な奇声を発し、階段から飛び降りてきた

炎璽と凍璽もそれに続いてリビングに集まってくる




「『【〔《いただきます!!》〕】』」




5人の声が重なり

箸がすごい勢いで皿に向かって伸びていく

テーブルを埋め尽くしていた料理は

ものの10分で皆の腹の中に納まった


そしてその後は5人でさっきまでの悪夢を忘れるかのように遊んだ

おそらく20代後半であろうクレアでさえもトランプではしゃいでいた

桐生も炎璽も凍璽も今日の戦闘がまるで嘘のように思えるほど皆笑っていた

その中で清次は考えていた

それは今まで自分が一人暮らしを続けていた理由についてだった

今まで清次は思い出を忘れるのが怖かったのだ

父との決して裕福ではなかったが充実した日々を

写真でしか顔を見たことのない自分を産んでくれた母への感謝を

祖父母と暮らしているとそんなこと忘れてしまいそうだったから

だから一人暮らしを続けてきた

他人との強い思い出を作らず、過去の思い出にひたっていられる

一人暮らしを


しかしこの『天国荘』では状況が違う

一戸建てのようなこの家では、もう一人暮らしのような暮らし方は出来ないだろう

それも一緒に住む顔ぶれも強かった

男のような性格の女

同じ顔の双子

やたら陽気な指揮官

このメンバーと一緒に住めば思い出はたくさん作られていくだろう

それも、とびっきり強烈な

だが清次はそれでも良いと思っていた

過去の思い出に浸るよりも新しい思い出に身を寄せようと思えた


(元の時代に戻れたら・・・・じぃちゃん達と一緒に住もうかな・・・・・)


清次はそんなことを考えながらソファーに腰をかけていた

一人暮らしをやめれば亜美が毎朝ドアを蹴り破って侵入してくることも無いだろう

「ハハッ」

残念な顔をする亜美を思い浮かべると思わず笑みがこぼれる

「なんだぁ、とうとうおかしくなったか?」

横で桐生が顔を真っ赤にしながら清次を茶化す

その手には透明な液体が入ったグラスが握られていた

「おい・・・・・それ酒か?」

清次が横を向くと炎璽と凍璽が倒れこんできた

「もう無理ですぅ・・・・もう飲めません・・・・・・げふっ」

「なぁに弱気なこと言ってんのよぉ、飲みなさいよ〜」

クレアが一升瓶いっしょうびんを片手に炎璽と凍璽をいじめている

相当酒癖が悪いようだ



「この未成年+ババアが・・・・・酒なんか飲んでんじゃねぇよ〜」



清次はいまさら気付いた、顔が熱い

それに何だか体がフワフワする

清次がさっきまで飲んでいたのも酒だった

「誰だよ・・・・酒入れたの〜」

清次の声は酔っ払いどもには届かなかった



こうして夜はけていく



今日は清次が少し成長した日





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