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18日目<???その11>

またこの男の悪い癖が出た…そういった顔をしながらチェックは大きく息を吸い直し、改めて言葉を絞り出した。


「俺たちもリッグたちと一緒に逃げるんだよな?」

「ああ、もちろんそのつもりさ」


悪びれることもなく…というかいつもどおりなのだが。ジョニーはチェックの問いにそう答えた。


超大型ゾンビを指差しながらジョニーは続けてこう言った。


「超大型ゾンビ…?だと思われるあいつはどういったわけかネズミの好物らしい。だがしかしそもそも

ネズミは笛に吸い寄せられてきたはずだ。しかしこちらには来ず超大型ゾンビに食いついている」

「もったいぶらずに要点をいってくれ」


若干遠回しな言い方にリッグは言葉を切るように続きを促す。


「笛の音には可聴域もあるが可聴距離もあるということさ」


早く避難したいリッグたちには申し訳ないが、この作戦は全員が把握しておく必要がある。

リッグは地面に大きな円を書き出した。


「一般的に人間が聞き取れる音の範囲より高いものを超音波、低いものを低周波とか低周波騒音とか呼ばれるんだが…

この音の高い低いで音が届く距離が変わってくるんだ」


リッグの子供も興味があるのか、こちらに視線を向けながら危険も忘れてジョニーに問いかける。

「犬や猫が人間にも聞こえない音が聞こえるのは知ってたけど、距離なんて初めて聞いたよ」

とまるで授業でも聞いているかのような感想を述べる。


それにニヤッと笑いかけながらジョニーは続く。


「問題はネズミが吸い寄せられる範囲が狭いんじゃないかってことさ。もし低周波で吸い寄せられてるんだったら低周波は距離が長く減衰しにくい。

ネズミはこのぐらいの距離ならまっすぐ俺たちに向かってきたはずだ。しかしそうはなってない」

「つまりネズミが引き寄せられてるのは超音波で、途中で笛の音を見失ったってことか?」


チェックが補足するようにいう問にビンゴ!とウインクを投げかける。


「笛の音に釣られたものの、途中でドシンドシン揺らす超大型ゾンビの振動で笛の音を見失ったのさ。

だが、例えば二手に分かれて片方が笛をそばで吹けばどうなる?」

「笛を近くで吹けばネズミはそちらに食いつく…からもう片方は無事に逃げられる…そう言いたいわけか」

今度はリッグが納得したというように生唾を飲み込んだ。


「そういうこったな」


逃げ出すにあたって問題点として、ネズミがどこかに潜んでる可能性が捨てきれないことがあった。

今ジョニーが語ったように可聴距離まで関係してくるとなれば超大型ゾンビの反対方向に逃げ出したとたん

他のネズミに襲われる…なんてことも十分にありえるのだ。


となれば超大型ゾンビに襲われない距離を保ちつつ、かつ囮にネズミたちが襲われているうちに

逃げ出すのが今現状での最善であろう。


だが…リッグはある程度、ジョニーとの面識があるからいいもののデリル他村人たちにはありありとした警戒心が顔に出ていた。


自分たちが今まで生贄を差し出していたことも考えると、罪悪感もあったのかもしれない。

まあ村人全員がそれを知っていたかはさだかではないが。


そんなざわつく村人たちにリッグが声をかける。


「このままここにいてもネズミかあのでかい怪物に襲われるのが関の山だ。

彼…ジョニーは俺も面識がある、今話していた内容も「先生」が言っていたネズミにはなにかに誘引されている傾向がある…と分析していたことにも一致する。

今は生き残る事を考えよう」


そういったリッグの「先生」という単語に一瞬反応したジョニーだったが、すぐ気を取り直して

チェックと一緒に乗ってきたモトクロスに乗り込む。


「その先生とやらの話は生き残ったら聞かせてもらうからな」


ジョニーには確信があった。この場にはいないものの、思い当たる人間は一人しかいない。

その意図まではつかめないものの無言で頷いてみせたリッグは、即座に村人たちを避難させるべく

納屋に隠してあった2台の車に乗り込ませる。


「さて…損な役回りですまねえな」

そう申し訳無さのかけらもないジョニーの台詞に肩でやれやれといった仕草をして見せてチェックはこういった。

「そろそろ慣れたさ」


そういって2人は超大型ゾンビに向けてモトクロスを発進させた。


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