18日目<???その8>
「それで…一体どうする気だ」
「なあに、リッグたちの予定通りにしてやろうと思ってね」
前を走るジョニーに一歩遅れてついてくるチェックにそう軽口を叩くジョニー。
だが、なんだかんだいくらかのトラブルを乗り越えてきたのだ。
ジョニーが本気なのは疑いようがなかった。
そうしてたどり着いた場所は、さっきまで閉じ込められていた地下の檻だ。
「ここにもう一度入る」
「本当に正気か?」
ジョニーが本気なのはわかるが、あまりにもあまりの回答にそう聞かざる得ないといった風にチェックは呆れ顔でそう言った。
まあ気持ちはわかる。
そもそもジョニーたちがこの地下の檻に閉じ込められていたのはネズミへの生贄のはずだった。
つまりこの檻はネズミに対してまったくの無力だと言うことだ。
隙間だらけのその檻では、ゾンビは防げてもネズミは防げないのは明白だった。
「もちろんさっきとは状況が違う。入るのは俺だけさ。こいつを持ってな」
と、こちらもいつの間にか拝借してきたであろう何らかの液体が入ったタンクのようなものだった。
「ガソリンか」
「ご明察。ゾンビにはやっぱりこれがよく効く」
そういって下卑た笑みを浮かべる。
姫騎士のいた城でもやったが、結局ゾンビってやつには火攻めが一番だ。
こうして時間のないときには特に。
「元はネズミに誘い出すためだから、隙間は多くあるが、人が抜け出せるほどじゃない。
ならゾンビもそうだということだ」
「ゾンビを檻に誘いこむ生贄に自分がなるってことか…檻の出窓だけ抜け出せるようにあけといて」
「そういうこった、好都合にも斧もあるしな」
そういってちらりとチェックの手斧を見る。
元々木製の檻だ。道具があればそのぐらいの加工はできる。
チェックはこちらの指示の前から出窓の加工に取り掛かる。
できる男だ。
「ゾンビはそれでいいとしてネズミはどうする?」
そこでこれの出番さとさっきは吹かず終いの笛を指差す。
「チェックは家のできるだけ高い場所に避難してくれ。俺が大声を上げたらその笛を吹いてほしい」
「…わかった、あんたがやるというなら止めはしないさ」
もう諦めの境地といった趣で、やれやれといった体で肩をすくめる。
そんな状態でながらもきっちり出窓の檻を切り落とす加工は終わらせている。
ジョニーはその折の切れっ端を拾いながら口笛を吹く。
その間にもチェックは移動を開始した。
時間が勝負なのだ。
その頃、高台に避難していたリッグたちは妻子で固まり、抱き合って身をすくめていた。
そばにいるデリルとリッグはお互い視線を村の北西遠方に滑らせながら汗をかいている。
「あれは一体なんだ…?」
恐ろしい地響きを立てながらやってくるゾンビ…その正体ともいえるそれは
数十メートルを超える超大型巨人…
ジョニーが武装バンを犠牲にしてようやく倒したあのゾンビと同様のモンスター…
それがゆっくりと村に迫ってくる姿だった………




