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18日目<???その4>

ピィィィィィィィィィィィィッ!


ジョニーたちが吹いた笛とは違う音が別の場所から聞こえる。


「あれだよ!あれがネズミを呼ぶんだ!なのにパパたちは僕らのいう事なんて」

「わかった、俺が信じるよ」


チェックは取り乱しかけた、リッグの息子を声でなだめる。そして続けてひとまず親御さんのところに帰るようにと続けた。


確かにひとまず接触は果たせた。子供たちが言うように怖いネズミとやらが来るのだとすれば

子供たちが見当たらなかったらそれこそパニックになる。

最悪はジョニーたちが誘拐犯扱いになりかねない。


そして子供たちも聞くやいなや飛び出すように自分たちの家に戻っていった。


「…ジョニー…今の話どう思う?」

「怖いネズミ…ねえ…」

チェックに聞かれてもジョニーも唸るしかできなかった。

それもそのはず。ジョニーはゾンビのプロフェッショナルは自称できても

ネズミの駆除は専門外だからだ。


「ただまあ・・・ゾンビでもなく、大きいでもなく、怖いって表現はちと気になるところだぁな」


子供は最も印象深いところから話す体がある。


その上で一番印象深いところが〚怖い〛というところが少し気にかかった。


村を覆う枝の柵、村の外にすでに掘られた落とし穴、そして捕まえたジョニーたちを殺さず地下牢に閉じ込める…ここから導き出せるのは…


「まさかとは思うが…」

「ジョニー!地面だ!」


チェックの悲鳴に近いような叫び声にはっと我に返るジョニーの目の前には、なんの変哲もないネズミ…




が、地面を覆うほどの量でこちらに迫ってくる姿だった。




『うおおおおおおおおおっ!!!!!?』


おっさん2人の野太い雄たけびが、牢屋中にこだまする。

叫ぶと同時に2人は地面から飛び出し、牢屋の上の部分にしがみつく。


気づけば牢屋はネズミで地面を埋め尽くされていた。


「こ、ここ、これが…!?」

「怖いネズミか!」


うじゃうじゃと地面を埋め尽くすネズミの無数の目が牢屋にしがみつく2人に向けられる。

幸いな事にネズミたちは牢屋の柵までは登っては来ずに地面にたむろしてた。


「ようやく…わかった!牢屋に俺たちが放り入れられてる理由に!

 生贄だ…!おそらくは他のやつらが安全な場所に逃げるまでの!」


先ほど聞こえた笛の音はネズミが枝の柵を破ってきた事で、見張りがネズミの襲来に気づき

皆に知らせるための警報だったわけだ。


そしてネズミたちはおそらくこの地下室が一番村の中で、外周に当たるんだろう。

この場所に『餌』の匂いにつられて密集する。


この場合はジョニーたちだ。


「くそっ!あのスカしたカウボーイハット野郎いい趣味してやがるぜ!とんだ厄日だくそったれ!」

カウボーイハット野郎…おそらくはリッグの事だろうに対して悪態をつくチェック。


ジョニーも悪態こそつかないまでも気持ちは同じだ。


そしてネズミたちは降りてこないジョニーたちを諦めるように静かに散っていった。


ネズミ一匹見えなくなってからも腕がしびれて限界が来るまで降りる気にならなかった2人だが

降りた後、しばらくたってからまた少年たちが来たことでようやく一息がつけた。


「おじさんたちよく無事だったね」

リッグの息子はしゃあしゃあと言ってのけるが彼らに悪意はない。

むしろ教えてもらっていなければ、今頃ジョニーたちはネズミの糞になってたに違いない。


「悪運だけは強くてね…他の人も無事なのかい?」

うん慣れてるからね、と少年は頷いた。


話を聞くと、月に数回はああいったネズミの襲来があるらしい。

子供たちがいうには決まって笛を吹いた時。

なにか危険が迫ってる場合、鳴らすその笛が逆にネズミをおびき寄せているんだという。


「最初は付近に人がいたら、それをみんなに伝えるための笛だったんだ。

でもその時は、外にいた人が犠牲になって食べられちゃった。

あのネズミは人しか食べないモンスターネズミなんだ!」


リッグの子供はまくし立てて、自分が気づいたんだ!と力説して見せる。


それは自分の言う事を聞いてくれない父親に対しての不満の表れでもあるのだろう。


もしリッグが息子の言うことを聞いていれば今もなお笛を使っているのはおかしい。

おそらく忙しさにかまけてまともに少年の話も聞いていないのだろう。


それらの不満。生贄にされる人々の理不尽さ。それらがリッグの息子がわざわざジョニーたちに会いに来た本当の理由なのかもしれない。


「おじさん。もし僕に協力してくれるなら牢屋から出してあげる」


自分の正しさを信じて疑わない無垢な少年の姿がそこにあった。


「俺に断る理由はないさ」

そういってジョニーとリッグの息子は牢屋の出窓越しに小指で握手をして見せた。


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