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17日目

「おとぎ話のたぐいだと思っていた…」


城にたどり着き、藁の簡易的なベッドではあるがぐっすりと睡眠をとった一同は

翌朝食堂で朝食を済ませ。

折を見たタイミングで姫騎士はそう話し始めた。


「メイド長が幼少時の私によく話してくれた話がある…私たちはいつか別の世界へ旅立つのだよと」


話は本当におとぎ話のようだった。

この世界には7人もの偉大な大魔術師がいた。今では考えられないような強大な力を持ち

腕を一振りすれば山がえぐれ、息を吹きかければ雨雲が吹き飛び空が晴れるという。


「ジョニーたちの世界ではどうだか知らないが…こちらの世界の『魔法』はそんな簡単に使えないものなんだ。

例えば火を起こすために数種の道具が必要になり、儀式が必要になる」

どうやら姫騎士はこちらの武装バンやジープを『魔法』の一種だと思っていたらしい。

思い出せば確かに飛び込んできた武装バンに驚きこそすれ武装バンそのものの事を問いただされたことはなかった気がする。


「強大な魔法を使おうとすればするほど複雑な工程が必要になる。一部の仕事に必須な魔法を除き

この世界では魔法は廃れてしまった」

「ツマリ…ゾンビを一瞬で消し飛ばしたり人を迷わせタリ…まして移動させタリする魔法は…」

「そんな魔法は使えるものは昨今存在しないだろうな」

チャッキーの疑問に肯定するように姫騎士が補足する。


「メイド長のおとぎ話に話は戻るが…その偉大なる7人の大魔導士たちはこの世界の終わりを予言していたという。

そして全世界の人間が別世界に移動できる『道』を作ってくれているのだと。

亡き父からあの脱出用の避難通路の話を聞いた時は、この道の事を言っていたのか!と大はしゃぎしたものだ」


だが実際は、こっそりその道に忍び込んでも城から離れた森に出ただけだと自虐的に笑って見せた。

父とメイド長にこってり叱られたのだと懐かしそうに顔をゆがめる。


「だが、実際に俺たちはここから何十キロと離れてたはずの崖からこっちまでワープしちまった…

姫騎士がそう感じたのもあながち嘘じゃねえんじゃねえか?」

そういってジョニーも姫騎士の話を肯定して見せた。


「これは魔法が廃れた一因でもあるが…魔法は生き物、特に人間のような知能ある個体には効きづらいものだったそうだ…

魔法の存在を信じる人間ほど効きやすく、信じない人間ほど効きにくい…

魔法が廃れるにつれどんどん信じない人間が増え、また魔法が廃れるという悪循環だったらしい」

「まるで催眠術みてえだな」とこれはエフィー。


「それじゃぁよ…もし仮にその『道』とやらが俺たちが迷い込んでた洞窟の事だとして…

そこにかかってたであろう『魔法』が俺たちをここまで飛ばしたってんなら条件はなんなんだろうな」

というブルーズに、一同は唸ってしまった。

ここにオマコンがいれば、びしっといい仮説をぶち上げてくれていたのだろうが。

あいにくここには中年男性5人と少女1人。結論はでなかった。


「わからねえことだらけだ、だが結局あの道を戻るしか手がねえ…」

「おいおいおいおい懲りねえなアンタも!死にかけたばっかだろ!それよりせっかく屋根付きのお城にいるんだもっとゆっくりしていこうぜぇ」

「トニカク準備はしておくベキだとボクもオモウ」

「準備といったってどうする?ここには銃弾も武器庫もありゃしないぜぇ」


と話はまとまる様子はなかった。


「…あー。今日はこの辺にしとこう…」


結局最後にいったジョニーの一言でその日は一度解散となった。

朝だったはずの外はもう日暮れ近くまで日が落ちかけていた。


「あんたも済まねえな…いろいろ忙しかっただろうに付き合わせて」

律儀にずっと居合わせてくれた姫騎士にジョニーはいたわりの声をかける。

それにちょっと照れながら、大丈夫だと姫騎士は答えた後。


「実はどうしても伝えたいことがあったからジョニー1人になるのを待っていたんだ

…こことは別の村で…ジタンらしき人間を見かけたことがあるという話があった」

「なんだって?!」


姫騎士たちを逃がすため、避難通路で1人奮闘した元医者ジタン。ジョニーの最初の仲間。

やつが…生きてる?

そう聞いてジョニーは涙が出るやらうれしいやら顔をぐちゃぐちゃに歪めそうになる。


「どこだ?!どこで見かけたってんだ?!」


確認しなくては気が済まない。

というように姫騎士の両肩をひっつかみグワングワン揺らす。

それに対して姫騎士が揺られながら答えた場所はジョニーにも見知らぬ場所ではなかった。


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