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16日目<未明その7>

そうして俺たちは元来た道を戻ることになった。

今度は横道などに全身全霊で注意を払いながら。


だが走るゾンビが現れた横穴どころか、今度は落石があった場所すら見当たらないのだ。

「とうとうイカれちまったのかなぁ、おれぁ」

なんて言いながらいつも通りエフィーが落胆しているがそれは放っておく。


むしろジョニーの心配はチェックの方だった。

武装ジープの横に並走するチェックに声をかける。


「相方の女の行方や帰り方も気になるだろうが、今はこのまま進もうぜ。きっとまた会えるさ」

「…?…あ、ああ大丈夫だ」

励ますつもりで声をかけたのだが突然すぎたのか上の空だったのか。

あまり気の乗っていない返事でチェックは苦笑して見せた。


次第に道は来た時とは裏腹に徐々に狭くなっていくように感じる。

次第には信じられない光景になっていった。


「おいおいおい…やけに見覚えがあるもんが出てきたと思ったら…」


なんと、数kmも進んでおらずそして目の前に現れたのは見覚えのある焼け焦げた扉の跡。

つまり姫騎士を逃がした避難通路。その元宝物庫への隠し扉だった。


「…こんな事がありえるのかぁ…?」

信じられないという面持ちでブルーズは独白して見せた。

ジョニー以外の全員からすれば一本道を戻ってきただけなのに何故か行き止まりになっていたようなものなので

その反応も当然と言えた。


火災の影響だろうか。

溶けた金銀がまじりあい扉があったと思われる場所を、塗り固めて封鎖されていたが、

間違いなくあの城の避難通路に間違いない。


その場を死守していたはずのマックスの事を思い出すとふと目元が緩む…がそうも言ってられないだろう。


「みんな信じられないだろうが…おかげで改めてここが常識が通用しないのがわかってもらえたと思う。

そして…俺も訳が分からねえが目的地にショートカットできちまったらしい」


やれやれといった体で大げさに手を広げて見せる。

こういった事ができるのもある意味、調子が戻ってきたからかもしれない。


「ミンナ!ここの隙間からナカに入れそうだヨ!」

チャッキーが崩れたがれきをかき分け、金銀で埋まった扉の横に人一人が通れそうな穴を見つける。

武装ジープから降りるのは少し気が引けたが、ここでまた引き返して別の場所に出てはたまらない。


意を決し、ジョニーたちはその穴から元宝物庫へ潜り抜けた。


「…!!あなたは異世界のっ!…そんなところからどうしたのですか?!」


宝物庫の中を潜り抜けると、そこには焼け焦げた宝物庫の中。そこでこちらを背にして

見張りに立っていた若い兵士から声をかけられた。


ジョニーのことはばっちりと覚えていたらしい。

恭しく話しかける兵士に照れながらも「おうっ」と軽く手を振ると周りからはヒューッという茶化すような

口笛が鳴り響いた。


他のメンツは初対面だが、来ている服やジョニーが異世界人であることから特に疑問はないらしい。

若い兵士は何も疑うことなくジョニーたちを姫騎士の元へ連れて行ってくれた。


「ジョニー!どうしたんだまた。宝物庫からじゃなく正門から来てくれれば出迎えにいったのに!」


と姫騎士が小走りで走り寄ってくる。

最初合った時とは態度も服装もえらい違いだ。当然ではあるが。


今は銀色の鎧姿ではなく、簡素ではあるもののワンピースに似たドレスにフリルのような装飾がついた物で

ジョニーが思わず「ぼふっ」と吹き出すのを我慢するしぐさをみて少しムッとして見せた。


「もう会えないかと思っていたが…元気そうだな。そちらはまた異世界の客人か?それなら恩人の客は

また恩人も同然だ。歓迎させてもらおう」

「オォーーウ、これは麗しいお嬢さんだ。初めまして、俺の名前はエフィー!…と申します以後宜しく昼も夜もねっぷりと」

と滑り込むようにエフィーが姫騎士の両手を握りしめ詰め寄っていた。


姫騎士もさすがに恩人の客に切りつけるわけにはいかないのか、顔がひくひく引きつりながら必死に笑顔を作っていたが

瞬間、ドレス姿でも腰に差していたナイフに手が伸びたのをジョニーは見逃してはいなかった。


大事になる前にチャッキーにエフィーを羽交い絞めにして引き離してもらいさっそく本題に入ることにする。


「戻ってきたのは、教えてもらいたことがあってきた。全てを話してくれ…隠し事はなしにだ」


そう詰め寄るジョニーに何のことだと反応に困られる…と思っていたのだが

意外に姫騎士の反応は如実にばつが悪そうな言いよどむ感じに顔を背けた。


「そうか…そうだな…あなたたちは私の国を救ってくれた。なら…隠し事は恩義に反する

…わかった。話そう、私が知りうる限りの全てを」


そう姫騎士は意を決して拳を胸元で握りしめながら、ジョニーを見つめ返したのだった。



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