16日目<未明その6>
「…戻ろう」
全員がしばらく壁際で嘔吐し続け…それなりの時間がたち落ち着いた後のジョニーの第一声がそれだった。
「俺もそいつにゃぁ賛成だが一応理由を聞いていいか?」
今更戻るのかよ!という文句をエフィーが言いかけたのを制しながらブルーズは問いただす。
「残念だが、チェックが案内してくれるはずだった道とここは違う道だ
このまま直進しても出口にたどり着くとは到底思えない。なので仕切り直したい」
その台詞に了解したと頷いてくれるチャッキーとチェック。
ある程度理由が推察されたとしてもこういった意思の統合というか確認は大事だ。
ことこういったトラブルではだ。
ただ…チェックまでどうもついてきてくれるようだが本当にいいのだろうか?
彼は相方の女のモトクロス乗りとここを調査に来ただけのはずだ。
無理してついてきてもらうわけにもいかない。
「チェックは…いいのか?俺たちと一緒で」
相方の女を探しに行ったり、元の場所に帰ったりはしないのか?というニュアンスを含めて聞いてみたが
元は自分が案内すると言い出してこうなったのだから、しばらく付いていくと言ってくれた。
「それに…元の道もわからないしな」
そうつぶやき辺りを見回すが、もはや途中で見かけたような人工物感は薄れ
ただ地面が比較的平らなだけのただの洞窟のような景色になっていた。
こうなると勘違いだとかそういうレベルの問題じゃない。
「確かに一本道だった…はずだがこれだけ景色が変わっちまうと自信は持てない」
そういってチェックはかすかに肩をすくめて見せた。
「いや…おそらく一本道で間違いはなかったんじゃないかと俺は思う」
自信がなさげなチェックを励ますようにジョニーは続ける。
「これだけデカく長い一本道だ。しかも暗闇、確かに他にも道はあったかもしれない…
さっきのゾンビが出てきたような脇の穴とかならな。だがここは異世界だ。俺たちの常識では
図れないような事があっても不思議じゃないと思う」
「とイウト…?」とチャッキー。
「チェック以外には話してあったと思うが…ここに来る前にこの異世界の住人である姫騎士を
ゾンビから逃がしたことがある。まさにこの通路みたいな避難路から城を脱出させたんだ」
だいぶ内容を省略したが大まかには間違いはない。ジョニーは続ける。
「その時に使った通路…それとここの作りは似通っている…いや正確には作りがというか雰囲気なんていうあいまいな直観みたいなものだが…さっき逃げてる時にここもそうかもって思ったんだ」
「ツマリ…ここも何かニ備えた避難通路ダッテことかな?」
「ああ…それも民族大移動みたいな大規模な…な。万里の長城やピラミッドみたいな何百年もかけて
作られ…そしていつしか存在が忘れられた…そんなものじゃないかと思う」
一呼吸おいて。ジョニーは続けた。
「正直ゾンビに関しては誰にも負けねえ自信はある!…だが異世界に関してはとんと詳しくない。
そんな状況でとりあえず現代に帰ろうってのがまず間違いだった。
何が起こるかわからない場所でやみくもに動くなんてのはゾンビ物でも御法度だってな」
「つまりぃ…あれか。その姫騎士とやらのところに」「そうだ」
ブルーズの台詞に食い気味に頷く。
「姫騎士の下に戻る。この世界のあらましから何から…全てを聞きにな」




