表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/49

16日目<未明その5>

「うぉおおおおおおおおっ!!」

落石の雨あられがフロントガラスに衝突し、堪らずブルーズが叫んだ。

落石の雨とそれに衝突した事でフロントガラスがひび割れていく。


「くそっ!これじゃ前が見えねえぞぉ!」

降りしきる大小の岩々が容赦なく武装ジープに降り注ぐ。

およそ10m近くは上の天井から降り注いだ岩々は、あるものは直接、あるものは地面をワンバウンドし

鋭利な断面の刃物のようになりジープの側面に、切り裂いたような傷跡を作り出す。


「おいおいおいおいおい!このジープ本当に大丈夫かぁ?!」

先ほどまでの気楽な気持ちは吹き飛んだのかいつもの焦り顔でエフィーが騒ぎ出す。

チャッキーは無言ではあるが何か案はないか必死で考えている。


そして当のジョニーは…必死で頭を回転させて考えるも解決策が思い浮かばずにいた。

岩のせいで減速したジープとモンスターゾンビ集団の距離は確実に狭まっている。

しかし悲しいかな。こういう差し迫った時、必要に迫られた時、追い詰められた時ほど

頭を回転させているようで思考停止してしまう。違う、正確には打つ手がないためそうせざる得なくなる。


だからこそのプロフェッショナル。だからこそのゾンビマニア。だからこそここで活躍すべきなのだ。

だがそれら心を追い詰めるプレッシャーは何の糧にもなりはしない。

思考停止の時間が長引くだけだ。むろん意味もなく、周囲を見回してもおろおろする自分に自己嫌悪して

余計にドツボにはまってしまうだけだろう。


だからジョニーは目を閉じた。


外部の情報をシャットアウトして、自分が今まで見てきたゾンビ映画たちを思い出していた。

それがどんなに都合がいいことでもいい。過去見てきたゾンビ映画の先人たちはどうやってこの状況を逃れてきた?

都合よく抜け道があったか?崖があって飛び越えて助かったか?それとも偶然車にいいものがあったか?


そうしてふっと自分の座席のボタンに手を触れる…これだ!


「ブルーズ!俺の合図でハンドルを思いっきり回してくれ!」

「なぁにぃ!?何いってやがる?!」

当然だろう。ブルーズがぎょっとした声で叫ぶが、すぐ目をひん剥いた。


「正気か?」

「さぁな」

にやりと笑うジョニーだがすぐ後方に目を移す。モンスターゾンビ軍団がもはやすぐ目の前まで迫っていた。


「やれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!」

ジョニーが叫ぶと同時にブルーズは思いっきりハンドルを右に回す。

車は急速ターンをし、だが同時に勢いを急速に落としていく。

そこにモンスターゾンビ軍団が飛び掛かってくる…が。


「これで…へばりついていられるか?!」

ジョニーは座席のボタンを思いっきり押し込んだ。


その瞬間。


白煙を巻き上げた武装ジープはそのターンした状態のまま急速回転をしだす!

まるでレースゲームで他の車を跳ね飛ばすスピンのように猛烈な勢いで回りだした武装ジープは

今にも飛び掛かろうとしていたモンスターゾンビ軍団を、跳ね飛ばす!


ヒギィ・・・ウギィィィ!


まるで断末魔のような声をあげながら四方八方の壁にたたきつけられるモンスターゾンビたちは

あるものは天井にたたきつけられ、後から飛んできたゾンビに巻き込まれ肉塊と化す。

またある者はジープの武装した突起に高速で引き裂かれ真っ二つになり地面にたたき落された。


ダメ押しに強烈スピンした武装ジープの分厚いタイヤがきれいにそれらをひき肉へと変える。


白煙が収まった頃には追いかけてきたゾンビはすべて地面のシミへと変わっていた。


「だ、大丈夫か?!」


一部始終を外から見ていたチェックが、ようやく回転を止めた武装ジープに走り寄るが誰も出てくる様子もない。

だがチェックには何が起こったのかは白煙の匂いですぐ分かった。


ジョニーはニトロを使ったのだ。


と、言っても爆薬のニトログリセリンではない。

レーサーやトラックで一時期流行っていた加速装置のようなものだ。

窒素ガスをエンジンに吹かすことで冷却と燃焼の活性化を同時に促すそれはエンジンを痛めるという事で

最近は見かけないものだが、なるほど。ゾンビから逃げ出すにはもってこいの装置なのだろう。

おそらくはジープ本体に元々備わっていたか…元の持ち主がそれを踏まえてこのジープを武装ジープへと

改造したのかもしれない。


そのガスが巻き上げたエンジンオイルの匂いがあたりに充満していた。


白煙がようやく収まろうかという頃、煙に紛れてようやく4人は車からはい出てきた。


「よかった…無事だった…?」


と走り寄ろうとするチェックを押しのけ一斉に飛び出す4人。


は、隅の方に行儀よく並びながら辺り中におっさん4人の嘔吐音を鳴り響かせ

それはしばらく止むことはなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ