16日目<未明その1>
ジョニー率いる4人は着々と洞窟を奥へ奥へと進んでいた…のだが。
「…俺は夢でも見てるのか?」
思わずジョニーはそうつぶやく。
それほど目の前の光景は信じられない光景だった。
ブルーズのボクシングばりの拳闘でゴキゴキ音を立てながら殴り倒されネックホールドで
首をねじり殺されるゾンビを皮切りにチャッキーやエフィーですらほぼほぼ用意した武器を使わず
素手に近い状態でゾンビをぶち倒していた。
チャッキーなどコミカルに岩場の間間を動き回りその動きにゾンビが翻弄されているかのように見える。
むしろ何故かチャッキーを追ってたはずのゾンビがまるで生きているみたいに惑わされ
あっちへこっちへ引っ張りまわされているようにすら見える。
そうやって分断されたゾンビを殴る蹴るで体制を崩し、ブルーズがすかさず首をねじ切る。
エフィーはむしろ逃げまどっているのだが惑わされたゾンビに鉢合わせ
キャーッなんて甲高い声を上げながら手に持ってる松明をゾンビの口に突っ込んだ後
岩に叩きつけて勝ち誇ったりとまあそんな調子だ。
(正直貴重な松明が消えてしまうのでやめてほしいが)
元々一般人であるジョニーを戦わせたがらない3人だったが
そんなこんなでもうゾンビが多少増えようがどうともない状態になっていた。
それで3人がそんな調子で用意した武器を使わないもんだから
ジョニーは完全に荷物持ち要員と化していた。
両手に松明を持ちながらほぼほぼ棒立ちの状態だ。
そんな目の前の光景を眺めながら昔のハリウッド系カンフーアクションのワンシーンのようだなとか
のんきなことを考えていたぐらいだ。
ゾンビ物でもゲームでは素手で臓物をぶち抜く新聞記者などもいたがまあそれよりは
現実的なのかもしれないと無理やり自分を納得させる。
「それに…だ。おかげでもうすでに色んな事が分かりかけてもきた」
ゾンビに脅かされずに済む分、周囲に気を配る余裕が出ていたジョニーは進みながら情報を
整理していた。
まず。先に進めど進めど脇道がない事だ。
洞窟に入ってすぐ、道は平たんになり大人が何人か横並びでも通れるような広い通路につながった。
ブルーズたちと会った時に歩いたあの遺跡の中によく似た印象を受けるその『道』と
この場所は酷似している。
場所を考えると同じではないはずの『道』なのだが作りは同じ。広い一本道だ。
誰が?なぜ?こんな道を作ったのか。
よくよく思い出すと姫騎士に見せてもらった城からの避難通路にも似ているように感じる。
本来王族の逃走経路でもあったはずのそれは追っ手をごまかすために横道やダミーの壁が用意されていて
然るべきはずだ。
それがまるで避難するためだけそれだけにしか使われないことが分かり切ったような作りだった。
今通っているこの道もそうだ。
「(分かりきってたんじゃない…逆だ。避難するために後付けで作られたのだとしたらどうだ?)」
城の避難経路も今この『道』も。
異世界の住人が逃げるために作った避難経路だったのだとしたら?
『道』が『逃げるべき場所』に繋がっている事自体おかしい話ではない。
俺たちの世界に異世界の道が繋がってるのではなく
異世界から俺たちの世界に逃げ出すためにこの道が繋げられたのではないか?
「ジョニー!!前だ!」
ブルーズの叫ぶ声にはっと我に返ったジョニーに見えたのは眩く光る太陽が二つ。
それがこちらに向けて猛烈に迫ってくる光景だった。
「よけろぉぉぉぉぉ!!」
誰かとなく叫んだその声に4人は必死に体をよじりそれをよけようと翻した時。
布を無理やり切り裂くような金切り音が洞窟内を覆った。




