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8日目

リッグたちを見送る時、よくある別れ際になってから失礼な事をした自分の罪悪感を紛らわすための

「話しかけた時ずいぶん失礼な態度をしてしまってすまなかった。少し気が立っていたんだ…」

なんて通り一遍なやり取りを済ませつつ、ジョニーはげんなりしていた。


やはり一般人相手だとこういう煩わしいやり取りが発生してしまう。

やれお前は信用できないだの、やれこれは自分が先に見つけただの物資は限られてるだのだなんて

ジョニーからすれば先の見えてる無駄な行為だ。

それでもまあリッグの罪悪感の解消に付き合ってやったのには理由があった。

話をすることで、リッグたちがこちらに逃げてくる際のある程度詳しい状況が確認できたからだ。


「最初は急に周りが真っ暗になったんで、必死になって逃げてきた。わずかな明かりを目指して

車を走らせていたら自分たちが巨大な崖の側面の道を走らせていることに気づいたんだ」

との事だ。


それを聞いてジョニーは準備を整え、南南東15kmに向かって行動を開始した。

結局現地に到着するまでに2.3日歩き回ることになった。

いくらでたらめに走り回っていたとしてもミニワゴンが走り回れる程度の道なら問題ない。

そう考えてたのだが、現地を見てその考えを改める事となる。


「まさか自分のいた場所が平地の上じゃなく、巨大な崖の上だったとはね…」

そうなのだ。

見渡す限り森と平地が続いていたと思われていた場所は、巨大な崖の上に形成された頂点の一角に過ぎなかった。

ほんの少し、車で道を踏み外せばところどころに形成されていたであろう巨大なクレーターのような崖の隙間に真っ逆さましていたであろう。


リッグたちが走っていたのはそういう崖の側道のような危なっかしい道だったわけだ。

もし周りの状況が把握できていたなら、車でこの道を走ることは躊躇したであろうそんな道を

ジョニーは慎重に降りて行った。


降りていくにつれ闇が深くなり、先が見えなくなっていく。

「ゾンビがいねえのが幸いなのか…もしくはゾンビじゃ登ってこれないような難所なのか…」

少なくとも車が這い上がってこれるのだから、それなりの開けた道になっているはずなのだが…


そんな中、ふと遠くから声が聞こえたような気がした。

「なんだ…?この中年が甲高い声でむせび泣くような声は…?」

気づくと崖の側面にある亀裂から声が伝わってきているようだった。

何か…叫んでいるような声に聞こえるが…

現状これが人の声なのか、ゾンビのうめき声なのか風が隙間を吹き抜けてそれっぽい声を上げているだけなのか分からなかったが…

もしこれが生きている人間の声であったらほっておくわけにもいかないだろう。


「おい!誰かいるのか!」

ジョニーは亀裂に向けて大声で叫んでみる。

すると一呼吸おいてから叫び声がより激しくなった。

亀裂は狭くはあるがなんとか人が通り抜けれそうなぐらいの大きさではある。


「しゃあねえ…鬼が出るか蛇が出るか知らねえが、行ってみるか…」

ジョニーは森で調達した道具類を亀裂に固定させ、ロープを括り付けた。

そしてそのロープを伝い、亀裂を伝って…その声の主に会いに行くことにしたのだった。

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