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7日目<後半>

「車を見せろ、だって?そういいつつ車を奪う気じゃないだろうな?」

リッグはそう言って若干警戒心を強めたのか一歩後ずさる。

車には妻子が乗っているのだろうから当然の反応ではある。


「いやぁ、正確にはカーナビを見せてもらいたいのさ。なんならあんたが操作して確認してくれてもいい」

「…カーナビはつけていない」

「嘘つくなよ、家族連れの車で広いアメリカを片手に地図広げて横断でもしてきたのか?

いねえとは言わねえが…ゾンビに追われて逃げてきたにしちゃ悠長すぎるだろ?」


ジョニーには確信があった。

カーナビがついている事もそうだが、ある機能についてだ。


「走行軌跡…つまりあんたらがここに来るまでに実際に走行した走行ルート。

そいつを確認したいだけさ」

「カーナビの地図はしばらく前から白紙になってる。役には立たないぞ」

「へっ!やっぱあるんじゃねえか。地図が白紙でも構わねえよ。ここまでの走行距離と方角さえ確認出来りゃぁな。

ちと用事があってロスに戻らにゃならねえんだが、どうやってここまで来たのか分からなくてよ。

乗せてけとまでは言わねえ。帰り方を教えてくれればゾンビが周りにいない廃屋の場所を

教えてやれる…と言ったらどうする?」


こちらの真意を測りかねているのだろう。

仏頂面のままリッグは弱みを見せないように、注意深くジョニーを観察する。


ジョニーからしてもリッグらに丁寧にここは異世界でゾンビの原因どうだなんて説明してやる気は毛頭ない。

どうせ信じる信じないの応酬で余計な時間をとられるだけだからだ。


また姫騎士の元に連れて行くのもNGだ。

明らかに異世界感あふれる場所に連れて行ってもこのリッグという警察官ではすぐ頭がパンクしてしまいそうだからな。

教えるという廃屋もその姫騎士の前に寄った、村の方である。

あそこであればゾンビを掃討してからまだそう日はたっていないし、リッグらからしても

山奥の廃村と言われた場所に電気水道が通っていなくても文句の言える筋合いでもない。

屋根付きで横に寝られる場所があるだけでもありがたいはずだ。


それに…あそこにはまだジョニーらが保護できなかった姉妹が隠れている。

ジョニーたちでは警戒心を解くことはできなかったが或いはリッグら妻子なら大丈夫だろうと考えたからだ。

だいたい映画でも子供同士のほうが心通わせやすい。

リッグにしてもその妻にしてもこれから身を隠すであろう家の住人を無下にはしないだろう。


オマコンやジタンも気にしてたからな…

そう思うジョニーの気持でも察したのかリッグはジョニーの提案を飲んだ。


「…分かった。確認してそれを紙に書き写してあんたに渡す。それでいいか?」

「ああ、ああなんだって構わねえよ。紙でもスマホの写真でも正確ならなんでもな」

「だが…白紙の走行軌跡なんてどうする気だ?俺たちもずいぶん走り回ったがロスにいけるような

乗り物なんて見かけなかったぞ」

「ああそうだな…そんな便利なもんだったらいいんだが、な」


ジョニーの言っている意味が分からないんだろう。

リッグは終始いぶかしげな顔をしていた。

まあ当然だ。ジョニーにしたって「この異世界に来た方法」がわからないのだ。

異世界を行き来できる乗り物なんてあればもろ手を挙げて歓迎するのだが。


かくしてようやくジョニーは走行軌跡をリッグから手に入れることが出来た。


ジョニーは走行距離の一番最初の始点…

つまりはカーナビが白紙になって走行距離が初期値に戻されたであろう場所を見つめていった。

「これが今のところ唯一の手掛かりだ。何かみつかりゃいいけどな」

やれやれと言った体でため息をつきながらジョニーはその目指す始点。

南南東15kmを目指し出発した。

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