序章
これは東日本大震災をテーマにした、家族愛と恋愛が入り交じった物語です。
身勝手な個人的見解、設定を組み入れています。
現実ではそうでなかった緩い空気感や下らないギャグが混在している始末であります。
現実で苦い思いをされた方は、気分を害してしまうであろう物語ですので、読まないことをおすすめします。
それでも読んでくださった方、感謝とともに私の物語をお楽しみください。
――日本時間、二〇一一年三月一一日一四時四八分一八秒。
震源地、宮城県牡鹿半島東南東沖130 km の海底。マグニチュード九,〇。最大震度七。
日本周辺における観測史上最大の東北地方大平洋沖地震が北陸を襲った。
この地震により、場所によっては波高一〇メートル以上、最大遡上高四〇,一メートルにも上る巨大津波が発生し、東北地方 と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらす。
また巨大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって北海道南岸から東北を経て東京湾を含む関東 南部に至る広大な範囲で被害が発生し、各種ライフラインが寸断された。
地震から約1時間後、遡上高一四メートルの津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は、全電源を喪失して原子炉を冷却できなくなり、1号機と3号機で炉心溶融が発生。水素爆発により原子炉建屋が吹き飛び、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展した。チェリノブイリ原発事故に並ぶ世界最大の人災である。
このため、原発のある福島県浜通りを中心に、周辺一帯の福島県住民は長期の避難を強いられている。
震災または津波による死者・行方不明者は約一九〇〇〇人。
尊い命、輝かしい希望、望んだ未来、またはかけがえのない故郷をたった一日で奪われた。
日本列島に止まらず全世界に自然の脅威を再確認させ、被災者に過酷な試練を与えた今日の震災の総称を――
――《東日本大震災》と呼ぶ。