雨の音
雨が
降っていた
空には黒い灰色が渦巻いて
昼の青い光も
夜の曖昧な闇も
塗りつぶしたのは
冷たい雨
窓に
アスファルトに
砕けて散った水の音が
耳を打ち
鼓膜を叩き
心臓の壁を突き抜ける
バラバラと落ちる雨粒に惹かれて
額を寄せたガラスの向こう
水の波紋で歪む世界に
地を這う雷の低い音が
落ちる雫を不穏に照らし
身体中を揺さぶる
木を揺らし
頭上で哭く風が
すべてを巻き上げていく
昼夜を失くし
色を失くし
秩序を失う世界の混沌に
目的も知らぬまま昂ぶる心は
崩壊に焦がれ
破壊を恐れ
その狭間に見つけたちっぽけな孤独
雨音に隠れた静寂の中
臆病な好奇心を隠す
嵐の一歩手前の雨を、静かな部屋の中から見ていたときに書いた詩を手直ししました。
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