表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強奪勇者物語  作者: ルスト
テラスト
37/168

2/14特別編 リア充を爆殺しましょう

リア充断罪!祝福物だと思ったか?……ばかめ!私がリア充を祝福するなど、絶対にありえないのだ!


特別編なので本編との関係は一切ありません。

「ルーチェさん。手紙が届いてますよ」

「本当だ。一体どこから?」


 ルーチェです。宿で休んでいた私たちの所に突然手紙が届きました。文通をするほど親しい相手も居ないのに、誰からの手紙なのかな?


「読んでみますね。……ジャスティスローグを有力な冒険者と見込んで依頼がある。「リア充」というモンスターが町中に大繁殖してあちこちで人の迷惑を考えず動き回るので皆大迷惑している。駆除する手伝いをしてもらいたい。とのことです」

「リア充? どんなモンスターなのかな?」


 聞いたことが無いモンスター名だけど……。


「詳細は不明ですが、魔物退治の依頼ですね。難易度5です。どうしますか?」

「どんな魔物か知らないけど、人に迷惑をかける魔物は駆除しないといけないよね」

「ですよね。行きましょう」


 あれ、ところで、場所は?


「ああ、場所ですね。異界の町と言う場所らしいです。異界の町のギルドが依頼を受ける場所になっていますよ」

「初めていく場所だよね。地図はあるの?」

「ここに入っていますよ。早速グリーダーさんを呼んできて、出発しましょう」

「そうだね」


 リア充……どんな魔物かは知らないけど、魔物であるなら退治しないといけないよね。


ーーーー


 異界の町に着きました。……何なの、このあまりにも不快な空気……。


「全体的に甘苦しい感じがしますよね」

「ああ、居るだけで苛立ってくる感じだな」

「なんていうか、自分が欲しいけど、持っていない物を相手に思いっきり自慢されている気分かな?」


 本当に何なんだろ、この空気……。


「大好きなあなたにこれあげる! 徹夜して作った私の愛だよ!」

「あ! ずるい! 私があげるの! 私のこれの方が百倍美味しいから!」

「こういう耳障りな声を出す存在、これがリア充でしょうか?」

「いや、違うだろう。おそらく、この「物を貰っている」相手だ」

「ありがとうな! ……行ったか。いや~全く、モテる男って辛いねえ~。こんなに大量にもらっちゃったよ~。……食いきれないからほとんど捨てるんだけどな~……まあいっか」


 唐突に聞こえてきた頭のおかしな声。……うん、間違いない。きっとの声の主がリア充って魔物だよね。


「ほう……この怒りを増幅されるような感覚、あの声の主がリア充とやらか」


 グリーダーがこう言ってるし、間違いないかも。食いきれないから捨てるって言ってるのを聞いたところで何でか知らないけど私もちょっと怒りが湧いたし。


「今はギルドに向かう事が優先です。リア充は一刻も早く駆除しなければいけませんが、勝手に動くのは良くないでしょうし」

「そうだね。行こう」


 それにしてもさっきの声の主……一体何なのかな……。


ーーーー


「異界の町、ギルドに良く参った。私が依頼主のイナテモだ」

「ルーチェです。依頼の手紙を受けてきました。……まず何が起きているのか教えてもらえませんか?」


 一体何が起きてるんだろ。……さっきの声と言い、何なのかな……。


「この異界の町は、何故か毎年この時期になるとどこかから「リア充」なる魔物が集まり、同じく集まってきた……これまたどこから来たのか分からん女どもからチョコレートを大量にもらい、その事を周囲に自慢しながらうろつきまわると言う迷惑行為を行っているのだ。これだけであれば煩いだけで済んだのだが……」

「い、一体何なんですかその魔物は……」


 外でやればいいのにわざわざ町の中に入って来てそんなことをするの? この辺には何故か全く魔物は居なかったのに……。


「どうも奴ら、自分たちがこの地域の住民よりも優れていると誇示したいらしくてな。家の壁をぶち破ってまでそういう事を一人一人に自慢して回ろうとする。その上奴らが集まるとこの町の空気は今のように恐ろしいほどに淀んでしまうのだ」

「何なんですかその迷惑行為……」


 この町の人に自慢して嫌がらせしたいのか、それともこの町の空気を滅茶苦茶にしたいのか……。


「ゆ、許せませんね……ルーチェさん。これは一刻も早く何とかするべきなのでは?」

「同感だ。勇者たる者、こういう愚かな行為をする輩に制裁を加えるのも仕事だ」

「う、うん……」


 さすがに、こんな迷惑行為は放っておけないよ。これでも一応王宮付きの魔術師だし、治安を乱す存在には対処しないと。


「奴ら「リア充」を討伐できるなら手段は問わん! 焼いても殺しても構わない! 奴らは魔物だ!」

「は、はあ……善処します……」


 何でここまで怒るのかな……この人。まあ、リア充の迷惑行為を受けている被害者だからやむを得ない、のかな? そう考えていたら、いきなりギルドの建物の壁がぶち抜かれて一人の男が入ってきた。


「はっはっはっ! 今年は129個貰ったぜ! お前らには絶対に手に入らないだろうな! 悔しかろう? 悔しかろう?」


 な、何なのこの非常識な男……。いきなり壁をぶち破って入って来たかと思ったら、全身に包みを張り付けて何か偉そうに言ってくるんだけど……。


「ええい! 害獣め! よくもギルドの建物の壁を!」

「おお、怖い怖い。モテない男は辛いねえ~! 悔しいか? ん?」

「ルーチェさん、何ぼけっと突っ立ってるんですか? あんなモンスター早く排除しましょう」

「あ、うん……」


 まさかあんな痛い人を相手にするの……? 何かずっとヘラヘラ笑ってるし、如何にも不真面目そうな男だけど……。


「貴様……愚民の分際でその態度は何だ?」

「あ? 何だ? 僻みか? モテない男の嫉妬かよ?」

「勇者が守らねば何も出来ん愚民の分際でその横柄な態度、万死に値する!」

「んなあ!?「コキャ」ああ……」


 そう言った直後、グリーダーがリア充……だっけ?の首を締め上げ、へし折っちゃった。……って、また!? 山賊の時もそうだけど、何でいきなりこういう事をするの!?


「決まっている。愚民の中の愚民――――家畜以下の畜生には裁きが必要だ」

「裁き=殺すってどうなの!? 説得くらいしようよ!」

「リア充め……ああいう輩が町の中にうじゃうじゃいるのだ。俺はこの壁を直さなければならんから、どうにかしてくれ!」

「愚民のために動くなど気にくわんが、特別だ! 家畜にも劣る畜生の奴らにこれから天罰を与えてきてやろう!」

「同感です! 行きますよ! ルーチェさん!」

「え!?」


 気づいたらジルに頭の上まで持ち上げられて運ばれていた。


「積荷じゃないんだから降ろしてよ!」

「いえ、ルーチェさんは大事な武器です。リア充――――あの害獣どもにぶつける射程1~2の優秀な飛び道具ですよ。ちなみに分類は剣です」

「そういう事言う前にそもそも投げないでよ!」

「無理ですよ、ルーチェさん。先ほどのリア充――――魔物の姿を見ていると、あなたを手剣にして投げつけて倒すしかストレスを発散できる方法はありません」

「滅茶苦茶だよね!?」


 そもそも投げる物他にあるでしょ!?


「何を言うんですか。投げる物なんてありませんよ。私の武器もグリーダーさんの武器も投げる事には適していません。ゆえに、投げつけるのに適しているのはルーチェさんだけです」

「何で武器からいきなり私になってるの!?」


 その前に要らない道具とか……!


「道具ですか? 例えガラクタであっても、それを投げるのはとんでもない! ですよ、ルーチェさん」

「そうだ。たとえガラクタ……空き缶や長靴、タイヤであっても、手紙にプレゼントとして付属して村の住人に送り付けてやればいいのだからな」

「ゴミをプレゼントにするなんて最低だよ! 事もあろうに、何でゴミを送り付けるの!?」


 そもそもゴミはプレゼントにしたら駄目だよ! ゴミ捨て場に置こうよ!


「何言ってるんですか。動物の家の周りに不法投棄しまくって如何にも近づきたくなくなるような状態にするための物でしょう?」

「釣り場の近くに勝手に家を作って違法にもかかわらずしつこく居座る鬱陶しい動物をなるべく村から叩き出すための作戦だからな。何故か最低4~5体は出て行かずに居座り続けやがるが」

「嫌がらせしてまで叩き出さないといけない物なの!?」


 その動物には罪はないよね!?


「何言ってるんですか。釣り場の近くに家を作る動物は、存在自体が罪なんですよ、ルーチェさん」

「酷くない!?」


 居るだけで罪って決めつけられるなんて酷いよ!


「……ルーチェさんで遊んでいる場合ではありません。我々の目標はリア充の殲滅、そのためにも早くリア充捜索をしなければ」

「ああ、ルーチェの戯言に付き合っている暇はない」

「そういう事言う前に降ろしてよ!」

「何言ってるんですか? 私からルーチェさんを解放するには装備を武装解除しなければだめですよ」

「武装解除のスキルでも持ってくるんだな」

「そんなのどこにあるの!?」


 聞いたことも無いような物出さないでよ!


「ちなみに盗もうとしても無駄ですよ。装備品:ルーチェには鍵マークをつけました」

「鍵マークって何!?」

「他者の手に絶対に渡らない所有物につけられるマークだ。絶対に盗まれないように、接着剤や頑丈な鎖でくっつけられてると考えればいい」

「ほら。ルーチェさんには鎖がくっつけられているので絶対に盗まれません」

「何で勝手に私に鎖を括り付けてるの!? 外そうと思っても取れないよ!」


 いつの間にか私の身体に鎖が括り付けられてるよ!


「当たり前です。盗難防止用の鎖ですから、さあ、リア充をルーチェさんで倒しに行きますよ」

「ああ」

「私「で」倒すって時点ですでにおかしいよね!? 何でこうなるの!?」


ーーーー


「居ましたね。リア充とチョコレートとかいう物を渡す女の群れです。やってしまいましょう」

「準備は良いか?」

「はい。ルーチェさんは……聞くまでもないですよね」

「聞いてよ! というか降ろしてよ!」

「ルーチェさん……あなたの返事はそもそも聞いてないです!」

「酷い!」

「何だ? お前も俺たちに」

「覚悟してください。手剣「ルーチェ」の威力、存分に味わいなさい! せえい!」


 直後に討伐対象の真っただ中に投げ込まれて……集団の真っただ中で私に括り付けられてる鎖が突然爆発しました。鎖の爆風に飲まれて意識が飛ぶ寸前、周囲の男の貰っていたチョコレートが跡形も無く消し飛び、男も女も皆何かを叫びながら空の彼方へ吹っ飛んでいく光景が見えました。


「せっかくの幸せが~! 俺のチョコが~!」

「何で……こんな……ことに……」

「貰ったチョコレートが全部消滅した! あんまりだー!」

「リア充爆発しろ! とはこのことですね」

「鎖に火薬を仕込んで投げつけ、爆発させたのか。やるな」

「さて、ルーチェさんを修理しますか。と言っても、特効薬一本でリサイクルできますけどね」

「ああ。勿体ないからとりあえずリサイクルしなければな」

「今年も貰っちゃったぜ。お前らには縁がないよな?」

「グリーダーさん! リア充です!」

「リア充は滅びろ! 首を折られて死ぬがいい!」

「ぐあっ!? リア充ばんざ~い……ぐふっ」


ーーーー


「え? ここどこ!?」

「起きましたか、ルーチェさん。もうリア充撲滅はほとんど終了しましたよ」

「ああ、大活躍だったな」

「アレは大活躍とかじゃないよね!?」


 何で人間爆弾なんかしなきゃいけないの!?


「ルーチェさんだからです」

「酷いよ!」

「ですが、ルーチェさんの捨て身の攻撃のおかげでリア充の大部分はチョコレートをすべて失い、絶望したままお星さまになりました」

「残ったリア充も軒並み首をへし折っておいたからな。来年に繁殖でもしない限り問題あるまい」

「繁殖とか言わないであげようよ! というか、チョコレートをすべて失わせるだけで良かったんじゃないかな!?」


 わざわざここまでしなくても良いような……。


「何言ってるんですか。残ったリア充は全員捕まえられ、リア充が貰ったチョコレートは全て没収、目の前で全て焼却処分されたうえでお星さまにされるんですよ? これに比べれば我々の取った手段はいかにも慈悲深い物だと思いますよ?」

「連中のアイデンティティーも全て奪ったうえでの抹殺と、何も気にしない慈悲深い殺害。どちらがいいのかなど言うまでもない」

「せめて更生させる方法とか探そうよ!」


 こんな方法で始末するなんて……。


「いえ。連中は人の形をした魔物ですから、何の問題もありませんよ」

「どう考えても魔物じゃ……壁をぶち抜いてきた人が居たから魔物なの? ……うーん……」


 なんだか妙な依頼だったなあ……。


「さあ、ようやくリア充に鉄槌を下せる時間がやってきた!」

「リア充爆殺! リア充爆殺! リア充爆殺!」

「な、何なのこの声!?」


 町を出ようとしたら突然聞こえてきた妙な大声。一体何!?


「リア充に対する鉄槌でしょう」

「そのようだな」

「長年、我々は迷惑な害獣「リア充」による被害に苦しめられてきた。だが、それももう終わりだ! 連中のチョコレートは我々が没収して連中の目の前で全て焼却処分したのだからな! 見ろ、連中の唖然とした表情を! リア充共の絶望こそ、我々の幸福なのだ!」

「リア充撲滅! リア充爆殺! リア充絶望して死んでゆけ!」

「どれだけリア充が憎いの!? 絶望して死んでゆけとか言ってる時点で相当恨んでるよね!?」

「さあ、覚悟は良いな? リア充共! 断罪の時だ! 我々から貴様らに大量の長靴、空き缶、タイヤをプレゼントしてやろう! チョコの代わりにそれらを持って、どこか遠くの地へと飛んでゆくがいい!」


 直後、大きな筒のような物が北の空を目がけて飛んで行った。後は報酬を受け取って帰るだけ、何だけど……本当に、何だったんだろ、この依頼。


「リア充に裁きを与える事のみを目的とした依頼ですしね。リア充が居なければもうここに来ることはないでしょう」

「さあ、報酬を受け取ったら帰るぞ」

「う、うん……」


 何か、対応が思いっきり間違った方向に進んでいるような気がするんだけど、気のせいなのかな……。でも、これで受けた依頼は無事に達成できたんだから、めでたしめでたし、なのかな……?

リア充の貰うプレゼントなど、その辺の動物に与えるタイヤ、空き缶、長靴で十分だ!というか、仮にプレゼントを送り付けたとしたら、便箋の分の代金を1つにつき30000上乗せして返してもらうよ!


「妙な雰囲気に飲まれて流されちゃったけど……何考えてるの!?」


リア充爆殺!リア充爆殺!リア充爆殺!


「いい加減に正気に戻ってよ!」


だいじょうぶだ……おれは しょうきに もどった! やつらを せいさいするはなしをかくことが おれの しめいだ!


「全然正気に戻ってないよね!? 危険な方向に進んでるよ!」


積もり積もった憎しみと怨念と怒りと嫉妬と羨望に身を任せて書けばまあこうなってしまうでしょう。リア充は皆滅びてしまえばいいんだ!リア充が仮にこれを見てどれだけ気分を害そうと!私は!絶対に!リア充共には!謝らないっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ