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強奪勇者物語  作者: ルスト
テラピア
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紳士を討伐しましょう

次話でテラピア出発。章分けしようかな?

 とりあえず私は一旦距離を取って前衛二人に牽制してもらう事に。……あのピンク色の物体、両手の回転しているカッター以外に武器がついてることは無さそうだよね。というか、あんなものがついた手で抱きしめられたら鎧を着こんでいても危ないよ!


「満たされない……」

「さて、どれほどの実力か確かめるか」

「抱きしめられたら終わりだから! 絶対に抱きしめられたら駄目だからね!」

「心しておく!」


 あんな物騒な物体にもやっぱり真っ向勝負を挑むグリーダー。……前衛って凄いよね。色々と。


「まあ、誰かが囮にならないといけませんしね」

「でも、これだけ距離を取ったら魔術が使えるよね。準備するから護衛お願い」

「分かりました」


 私は魔術の準備をしないと。あんな危険な物体早く処理しないと大変なことになっちゃうよ!


「愛を! 愛を!」

「愛だ愛だとうるせえんだよ!そんなに愛が欲しければなあ!」


 グリーダーが化け物の胸ぐらをつかんで何か言ってる。


「金で買い取れこの貧乏人があ!」

「ぎゃああ!?」

「愛はお金では買えないよね!?」


 そう言うなりいづなおとしをしかけたグリーダー。でも、さすがにお金で愛を買うのは不可能じゃないかな!?


「買えますよ。お金を目当てにしている人は多いですから、お金を釣竿につけて釣るんです」

「お金は釣竿につける物じゃないでしょ!?」


 そんな方法でそもそも釣れないよ!


「大丈夫です。結婚する人のほとんどはお金目当てに異性に取り入りますしね。お金をつけた釣竿をちょっとベランダから垂らせばほとんどの異性の人が飛びついてくるみたいです」

「それはもう愛じゃないよね! 欲望だよね!?」


 そんなものをしかける方も方だけど、飛びつく方も飛びつく方だよ……。


「愛なんて存在すると思ってるんですか? 若いですね」

「私16だし、若くて当たり前だよ!?」


 というか、愛が存在しないとそもそも世界は成り立たないよね!?


「何を言うんですか。世界が成り立つには、お金や物による取引関係があればいいんです。お金が欲しい若い人が身寄りのないお年寄りの貴族と結婚するでしょう? あれはまさにそうですよ。貴族の方が亡くなったら、遺産としてお金を持ってそのままどこかへ行くんです」

「夢も希望も無いこと言わないでよ! 愛があるから結婚するんでしょ!?」


 本当にそうだったら、とことん虚しい世界になるじゃない!


「夢や希望なんて存在すると思ってるんですか? この世の中には欲望しかないですよ? 人は皆何かの欲望によって動いていますから」

「それは私が知る限りジルとグリーダーだけだよ!?」


 二人だけにあてはめればそうだけど、実際はそんなことないよね!?


「それはともかく、詠唱しましょうよ」

「誰が邪魔してるの!?」

「私は何もしていないですよ? ただ、顔が良い人にしか物語に出てくるような愛は向けられないと言う話をしようとしていただけです」

「話がすり替わってるよ!? 全然違う内容になってるし!」

「そんなことは無いですよ。顔が悪い人はお金が無いと愛は買えませんしね」

「そもそも愛は買う物じゃないってば!」


 愛は与えるものであって買う物じゃないよ! 絶対違うよ!


「とか言っている間に向こうの戦況が変わりますね」

「え?」


 ジルが指さした方向を見ると、地面からようやく脱出したピンク色の人型モンスターがグリーダーの頭上から巨大な鉄のハンマーを落としてた。……って、どうやって投げたのあんなもの!?


「愛の結晶! お仕置き!」


 人型が叫ぶとグリーダーの居た場所に巨大な鉄のハンマーが前触れも無く出てきて落ちてきた。……どこから出てきてるのあのハンマー!? 後、愛とかお仕置きとか言ってるけどそれは当たったら確実に死ぬよね!? そんな物当たったら頭砕けちゃうよ!?


「くだらん! まだ本当の愛が分からんか!」

「うっ!?」


 もう一度グリーダーが人型を掴んだ。今度はどうするんだろ?


「愛と言うのはな……」


 って、首を締め上げてる!?


「愚かな弱者の首をへし折って、安楽死させることを言う!」

「コハッ!?」

「それはもう愛じゃなくてただの暴力だよ!? というか、ただの残虐行為だよ!?」


 首をへし折ってもあの人型は普通に動いてるけど。……あれ? あの人型の背中の部分、ちょっとおかしい気が……。


「あの部分に魔法を当てれば勝てるのでは?」

「何か光ってるし……あの部分だけ何か違いそうだしね」

「じゃあ、詠唱を。合図は私が出します」

「うん」


 あの人型の背中の部分、もしかしたら弱点かも? もしそうなら背後から魔術を当てれば倒せるよね?


「くたばれ怪物! 頭部ごと砕けろ!」

「ああっ! ……愛の力が……愛の力が……あれば……」

「グリーダーさんの一撃で怯んでこっちに背中を向けてますね。背中の光を狙うなら今です!」

「分かった! ファイアボール!」


 ジルの言うとおり、人型は地面にうずくまって怯んでいました。これなら上手く背中の光ってる場所に……当たった!


「ああっ!? くうっ……!」

「効いたようですね!グリーダーさん、背中の光っている物を破壊してください!」

「よし!」


 これでもう討伐できるよね。後はグリーダーが止めを刺してくれれば……。


「愛は不滅なの! 絶対に私の愛は負けないの!」

「まだくだらんことをほざくか! 愛など、その辺のアイテムにも劣る無駄な物よ! 愛など求めるくらいならば、金と資産のみを求めるのだな!」

「お金と資産だけ求めてたら、ものすごく寂しい人になっちゃうよ!?」


 そのままグリーダーが斧を人型の背中に叩きつけたら光が消え、人型の身体が崩れ出しました。これで依頼達成かな?


「愛が……愛が欲しいよ……私に愛を頂戴……」


 最期まで愛を求め続ける姿は台詞だけ聞くと少し悲しいけど、実際は奇妙なピンク色の人型モンスターが言ってるから全然悲しくもならないんだよね……。というか……。


「こんな怪物に言われても全然ときめきませんよね。やっぱり見た目は大事ですよ」

「外見が美少女であれば愛などその辺の男からいくらでも貰えただろうがな」


 二人が言ってることを否定したいけど否定できないよ。……それは良いけどさ……。


「ねえ、二人とも、ちょっといいかな?」

「何だ?」

「どうかしましたか?」

「何でピンク色の人型の残骸をせっせと集めて袋に詰め込んでるの!?」


 そんな奇妙な物持って行っても絶対売れないよ!


「何を言うんだ。こんな物体絶対に収集家なら飛びつくぞ?」

「薬として売りさばけば高く売れますよ?」

「どう考えてもあり得ないよ! 特に薬として売るなんて!」


 こんな怪物を薬として服用するなんてありえないよね!?


「この回転するカッターなど、投げつければ強力な武器になるぞ?」

「うっかり味方に当てたらどうする気なの!?」


 人型の腕についていたカッターも回収してました。……獣の皮や肉、骨ならまだしも、人型物体の身体みたいな変な物を集めても絶対売れないし、使い道に困るよきっと。


「その時は私が食べますよ」

「どう考えても食べられないよこれは!? 触った感触が何か粘土っぽいし、カッターなんか絶対食べられないからね!?」

金目当ての結婚と言えば熟年離婚。……書いてる途中で面白いかもとか思ってたけど、まさに誰得。


金目当てで熟年離婚を決行する酷い人間の話とか冗談抜きでえげつないし、需要以前の問題だよこんなの!

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