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強奪勇者物語  作者: ルスト
バグリャ
153/168

番外編 原案そのままのルーチェ達を見てみましょう

PV150000の番外編です。5月の時点で150000達成、今は190000超え。

その内PV200000達成ですね。ありがとうございます。

最初のテーマは「原案そのままのルーチェ一行だったら」です。

当初の想定よりあんまりな事になってますけど。

本編の彼女達とは外見以外別物で、キャラ崩壊も著しいので、閲覧の際はその点にだけお気を付け下さい。

「ルーチェ、新しい町が見えたぞ」


 先頭を歩いている全身からどす黒いオーラを放つ大男、グリーダーが町の存在を私に知らせる。

 グリーダーの言うとおり、目の前には新しい町が。

 遠目に見ると、巨大な建物が見えるけど……?


「ルーチェさん、今日からしばらく、あの町に滞在しましょうよ。きっとお宝が溢れてますよ?」

「滞在するのは構わない、というか、そのつもりだけど、何仕出かす気、ジル?」

「決まっています。勇者が貰うべきお宝ですよ? 回収するしかないでしょう?」

「泥棒は駄目だって言ってるよね!?」


 町に滞在しようと言ってきた銀髪の女の子、ジルは口を開くなり泥棒しようと遠まわしに言う。

 ……だから泥棒は駄目だってば!


「いいえ、違います。これは泥棒ではありません。私に全ての財産を明け渡すように、町の人を全員私のチャームで支配していくんです」

「余計悪いよ!」


 泥棒より悪質じゃない!

 駄目に決まってるでしょ!?


「まあまあ、ルーチェ。面白そうだから良いんじゃないかな? 最悪僕の薬で全員吹き飛ばせば、泥棒からただのお宝回収になるんだよ?」

「お願い! 火に油注がないでマディス!」


 あろうことかジルの問題発言に賛成してくる銀髪の男の子――――マディス。

 薬を作る腕は確からしく、どんな怪我でも瞬く間に治してくれる凄い腕の持ち主、なんだけど……。


「大丈夫大丈夫。ちょっとあの町で「実験」するだけだから。――――まあ、ルーチェが望むなら井戸の中に一口飲んだだけで全身が痺れて動けなくなる薬を入れたっていいし、最悪町全体を氷漬けにしたり竜巻で崩壊させても……」

「誰もそんなこと頼まないから! その物騒な劇薬はしまって!」


 人格に問題がありすぎるらしく、息を吸うように物騒な発言を連発する。

 しかもジルやグリーダーが……。


「よし、マディス。今日はあの町を襲うぞ。井戸の中に劇薬をぶち込むなり、風に乗せて劇薬をばらまくなりして全員昏倒させろ」

「アイテム回収日和ですね、グリーダーさん」

「ああ、今度こそ大儲け間違いなしだ」

「……やらせないからね?」


 こんな風に、すぐに強盗計画を立てて動き出そうとする。

 正直、一瞬でも気を抜いたら息を吸うように窃盗を繰り返すからこのメンバーの監視は気が抜けない。

 道を歩いていた冒険者の装備をジルが勝手に盗んで持ってきたり、グリーダーが夜中に抜け出して民家を襲撃して強盗行為を働いていた回数はもう数え切れない。

 その度に私はこの二人を魔術で制裁して盗んできた物を返してたんだけど……。


「いや~、見ていて飽きないから良いよね。面白い事なら大好きだよ?」

「止めてよ! どうしてマディスまでそっち側なの!?」

「え~? こんな面白い事止めるなんてとんでもないよ~。ルールなんて最初から無いんだからさ、僕達は僕達のルールに沿って行動すればいいんだよ」


 この歩く災害、マディスが加入してからますます大変なことになっちゃった。

 このマディス、退屈しない事なら何でも構わないらしく、ジルとグリーダーの強盗行為を止めるどころか、むしろ積極的に手伝おうとしてる。

 本人曰く「面白いから」との事だけど、止めるこっちからすると全然面白くないどころかかなり大変な状況になってる。

 二人を止めるために私が監視してたらいきなりマディスの薬で眠らされてそのまま縄でぐるぐる巻きにされたことだって数え切れない。

 ……ホント、頭が痛いよ。


「まあまあルーチェさん。この前教会から盗んできた聖水でも飲んで落ち着きましょうよ。ほら、美味しいですよ?」

「確か私が見つけて、全部返したはずだよね!? 何で持ってるの!?」

「その日の晩に全部取り返しに行きましたよ?」


 ジルが差し出してきたのは瓶詰にされた教会の聖水。

 勝手に盗んできたって自白したから全部返しに行ったのに、その日の晩にまた盗みに行くなんて……!


「俺達は勇者だからな。奪われた物を取り返す権利がある」

「先に奪ったのはジルとグリーダーじゃない!」


 堂々と宣言するグリーダー。

 この二人はどうしてこんなに堂々としているのか。

 呆れて物が言えない。


「良いですか? 勇者は、奪う事を許可されているんです。私達は世界を救うための勇者ですよ? 馬鹿正直に金を払って購入する必要などありません。全部盗むことを許可されてるんですから」

「勇者として仮に良かったとしても、人間として大問題だよ!」


 そんな事ばっかり繰り返して!

 お金には困ってないんだから、せめて普通に買い占めようよ!


「だが断ります!」


 そんな事ドヤ顔で言わないでよ!


「奪う事には、買うことでは味わえない喜びと達成感があってな……」

「ああもう! 本当にこの盗賊共は……!」


 どうしてこんな連中引き連れて魔王討伐なんてやる羽目に……。

 ああもう、頭と胃が痛い……。


「薬飲む?」

「……」


 マディスの差し出した薬に無言で手が伸びる辺り、私も末期なのかもしれない。

 けど、本当にどうしてこんな連中の面倒見ることになったんだろ……。

 全員確かに戦闘能力は高いけど、人間として欠陥品過ぎるよ……。


「王宮に捨てられたんですよね、ルーチェさん? 酷い話ですよ」

「俺への監視役だ。これまで何度妨害されたか分からん」

「本当に酷い話ですよねえ。姑を押し付けてくるなんて。活動への支障が大きすぎます」

「酷い話なのは私の存在の方なの!? 王宮に捨てられた方じゃなくて!」


 というか、私だって王宮に命令されてなかったらもう少しまともな人と旅したいよ!

 こんなの三人も面倒見きれないって!


「何言ってるんですか、ルーチェさん。こんな常識人が、三人も一緒ですよ?」

「これ以上常識的な人間は居ない。そう断言してやる」

「だよね~? 町中で薬をぶちまけることくらい、別に珍しいことじゃなかったし」

「その常識が根本的に間違ってるよ!」


 全員常識って言葉の意味を辞書で引いてきてほしいくらいだよ!

 どこをどう見たら常識人に見えるの!?


「こんな淑女、そうそういませんよ? どんな状況で会食に誘われても良いように、常にナイフとフォークと、後ドレスも持っています」

「……大剣と言っても過言じゃないような巨大テーブルナイフで会食に出席するの?」


 そんな淑女嫌だよ……。


「当たり前です。これは私の大事なテーブルナイフですよ?」


 そう言って身の丈ほどある巨大なテーブルナイフを私に見せてくるジル。

 テーブルナイフは所々魔物の返り血で赤く染まっている。


「そのテーブルナイフに魔物の血が染み込んでる気がするんだけど?」

「気のせいです。仮に魔物の血が染み込んでいたのだとしても、私が何も染み込んでいないと言えばそれは綺麗なテーブルナイフになるんです」

「何その屁理屈……」


 けどまあ、ずっと滅茶苦茶な暴論と屁理屈で動いてるような子だから当たり前の事なのかもしれない。

 ……聞いてるこっちは頭が痛くなるんだけど。


「ルーチェさんは頭痛持ちですよね……。ずっと頭を抱えていますけど」

「言うな、ジル。あいつはそういう持病を持ってるんだよ」

「どれだけ薬を飲んでも治らないなんてね~。僕の薬でどうにもならない病気って初めてだよ」

「どれだけ治そうとしても皆が頭痛の原因になってるんじゃ……!!」


 最後まで言い切る前に、後方から迫ってくる何かに気づき、振り返る。

 見るからに野盗と思しき集団が、馬に乗って迫って来ていた。

 ……町は目の前なのに……。


「丁度良いじゃないですか。鴨がゴールドと食料背負ってやってきましたよ」

「実験用のモルモットにするから、よろしくね~?」

「おい、後でこいつらのアジトも襲うぞ。根こそぎ奪って奪い尽くしてやるぞ」


 物騒な会話をしながら戦闘態勢を整える三人。

 もちろん私も準備を整える。


「へっへっへっ……そこのガキども、命が惜しかったら」

「はいはい、実験参加ありがとね~。投薬開始~」


 馬に乗った連中のリーダーが言葉を言い切るより早く、マディスが薬を投げつけた。

 毒々しい黒緑の物体が入ったガラス瓶が破裂し、野盗の群れを黒緑色の何かが包む。

 直後――――


「うっ……gかmwぽdhそfhどぃえお;msthdpんrs;あkん6hmbぉjvt;あmんlへsだjかv;yjkじゃs!?!?!?!?!?!?!?!?」

「をいkysrhdtfgさえjk5jtvkhlんfjlだfhkmgjづjhfjgvfdskjfrgくdfd……」


 言葉にならない悲鳴を上げ、野盗たちが次々に落馬していく。

 馬も同様に声にならない悲鳴を上げ、ものすごい勢いで地面を転がりまわっている。

 何も無かった平原は、瞬く間に地獄へと変わり果てた。


「ゾンビを人工的に作る薬のサンプルを作ったんだけど、どうかな? 薬を使われた感想とか聞きたいな~。ねえ、教えてくれない?」


 そう言って笑いながら、地面を転がりまわってもがき苦しむ野盗たちに近づいていくマディス。

 正直、こんな薬を何のためらいも無く使えるマディスの方が怖い。

 というか、少しでも使い方間違えたら私達まで餌食になったりしないかな……?


「ほらほら、ゴールド出しなさい。貴方に許された選択肢はゴールドを私達に渡すことだけですよ」

「命が惜しかったら……貴様の持っている物を、全て貰おうか」


 そして、略奪行為に走るジルとグリーダーが野盗を押さえつけて身ぐるみを剥がし始める。

 マディスの薬の影響があるかもしれないのに……。


「アアアアアア……苦しい、助け……」

「ほら、僕に薬の影響教えてよ? 頭の様子はどう? 意識は? ねえ?」


 喉を掻き毟る野盗の一人にマディスが詰め寄る。

 ……相手が野盗だからまだいいけど、こんなことを町中でも平気でやっちゃうからなあ……。


「アアアアアア……ウガアアアアアア!!!」


 マディスの薬の効果を受けた野盗達。

 突然豹変し、白目をむいて襲いかかろうとした。

 その肌の色は毒々しい緑色になっている。

 ……本当にゾンビになっちゃったの?


「わあ、本当にゾンビになっちゃった……? 実験は大成功だね~!」

「こら! 暴れないでくださいよ! 貴方の装備を根こそぎ剥がなければいけないんですよ!?」

「貴様の薄汚い装備が、勇者の資金になるんだからな! 大人しくしろ!」


 目の前で人がゾンビにされちゃったのに、そうしてこの三人は平然としてるんだろう……。

 薬を投与した張本人のマディスはともかく、ジルとグリーダーまで……。


「実験成功したから、もう君達はどうでもいいかな? じゃあね~!」

「いや、じゃあねって、マディス!?」


 ゾンビへと変貌した野盗にはもう興味が無くなったのか、そのまま背を向けるマディス。

 そのまま立ち去ろうとするマディスにゾンビは襲い掛かる。

 ――――ああもう!


「ファイアウォール!」

「ああっ! 待ってくださいよルーチェさん! まだそのゾンビの剥ぎ取りが……」

「空気読め! まだ回収してないだろうが!」


 マディスに襲い掛かってきたゾンビを排除するために、ファイアウォールで壁を張る。

 ゾンビはそんなことお構いなしに突っ込んでくるため、次々に炎の壁に突っ込んで灰になった。

 ジルとグリーダーが文句を言ってるけど、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!


「ああっ……私のゴールドが!」

「勿体ないな……なんて真似をしたんだ」

「そんなこと言ってる場合!?」


 二人の中ではマディスの安全<ゴールドなの!?


「そんな簡単にマディスが死ぬか」

「ですよね」

「……」


 ああもう、駄目だこの二人。

 ううん、マディスも含めて三人、か。

 ……頭と胃が、また痛くなってきたよ……。

 本当にこんなパーティで、魔王討伐なんて果たせるのかな……?

本編との比較

外見と戦い方は全くの共通で


ルーチェ…そのまま


グリーダー…強盗まっしぐら。ルシファーは無かった。


ジル…良心の欠片も無くなってて、窃盗でも洗脳強盗でも平気でやる。まさに盗賊


マディス…文字通りのマッドサイエンティストで、普段から劇薬を平気でばらまく。良心の欠片も無い


……パーティとして既に破綻してるかも。ルーチェは最後の良心ですね。

戦闘力は本編そのままなので、実力があるだけヒローズやバグリャ一行より質が悪いですね。

しかし、こっちの方が強盗の名前にはふさわしいです。

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