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強奪勇者物語  作者: ルスト
テラピア
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自己紹介しましょう

「ふう。やっとごちそうにありつくことが出来ました……。手強いごちそうでした……」

「全くだ。この化け物め……まさかあれほどの強敵だとはな……」


 無事に魔物を倒したから良いんだけど、何でさっそく倒した魚をこの二人は平然と食べてるんだろう。あの魚、どう見ても魔物だと思うのに……。


「とか言っていますが、そういうあなたも平然と食べていますよ?」

「いくら化け物でも魚は魚だ。ただの焼き魚に変わりは無い」

「何でか知らないけど、私も一緒になって魔物を食べてるんだよね! どうしてか分からないけど!」


 うん。本当に、何で自分も魔物を食べてるのか分からないんだよ。でもまあ、魔物ってイメージの酷い味じゃなくて、至って普通の焼き魚の味だから美味しいんだけど。


「なんだかんだ言って強奪にも協力的だったしな」

「やっぱり勇者ですね。ちゃっかり強奪に協力している当たり、勇者の宿命は背負っているようですね」

「本当にどうして自分も一緒になってやってるのか分からないんだよ!」


 どうしてあの時グリーダーと一緒に相手の山賊の身ぐるみを剥がして捨ててたんだろう。今も一緒になって討伐した魔物を食べてるし。


「それが勇者だからな」

「強盗する上に平然と魔物を食すのが勇者なんて嫌だよ!」


 ますます勇者のイメージから乖離していっちゃうよ!


「そう考えると、本物の勇者に同行するのは中々よさそうですね……お金も食事も稼ぎ放題ですし」

「ああ。勇者は良いぞ? こいつと言う邪魔者が居るから残念ながらその辺の民家に押し入ることは不可能に近いが、襲いかかってきた敵の所持品は全て剥ぎ取って捨てても誰にも文句は言われず、首を締め上げて寄付金を要求すれば誰一人として断る人間は居ない」

「だからそれは勇者じゃなくて強盗か犯罪者だよ!? というか、誰が邪魔者なの!?」


 私はむしろ正しい事をしてるよね!?


「勇者でありながら金品を民家から強奪していかないのは悪手かと」

「金品を民家から強奪するのはそもそも犯罪だよ!?」


 この子も何を言ってるんだろ……。強奪自体犯罪と言っても良い行為なのに……。


「いえいえ。正義の名のもとに強盗した場合、それは強盗では無く相手方の善意によるありがたい寄付になるんですよ」

「ならないよ!?」


 まさかこの子もグリーダーと同じような思考をしてたなんて……。私の考えの方が正しいはずなのに。


「ほう。貴様分かっているな。貴様、実は勇者に憧れてるんじゃないか?」

「ええ。勇者の身分を活かせばお金にも食べ物にも困らないですし」

「身分を活かすって時点で勇者としてどこかおかしいよ!?」


 勇者って人に認められて初めてなれる物なのに!


「いや、金さえ積めば誰でも勇者の勲章は貰えるぞ。それにな……勇者の旅に同行すればそれだけで仲間は全員勇者扱いになるのだぞ?」

「お金さえあれば誰でも勇者になれますよ?」

「お金さえ積めば勇者になれるってそれはもう本来の意味の勇者じゃないよね!?」


 どんどん勇者の正義のヒーローのイメージが崩れていくよ……。


「所で、勇者の旅はどこまで行う予定なんですか?」

「ずっと東の地獄山脈だよ。魔王討伐が最終目標だし」

「と言う事は……道中、立ち寄った土地全てでその土地の食べ物を食べる機会が回ってきますよね……」

「間違いなく食べ物は回ってくるぞ? 道中ほとんどの村に立ち寄ってクエストの難易度5を完全制覇しながら進める旅だからな」

「つまり……ごちそうが食べられる機会が回ってくることも多い……と?」

「保障してやる」

「なるほど、分かりました。是非その旅に付き合わせてもらいましょう」

「ええ!? いくらなんでもいきなり過ぎない!?」


 というか、ごちそうのために旅に付き合うって……。


「大丈夫です。一般的な勇者の旅の同行者と違ってお金はそこそこ持っていますし、自分で財布も管理してますから」

「加入に際して問題が起きないな。なら加入は全然構わないな。装備や金も持たずに仲間になる輩の武器や防具にかかる金は甚大じゃないからな……」

「それはまた違う話だよね!? というか、一人旅してたならお金があって当たり前でお金が無いなんて重大な問題だからね!?」


 だってお金が無いと宿にも泊まれないし。野宿してたなら話は別だろうけど。


「でもそもそも、私たちの旅ってさっきみたいに強敵ばっかりと戦う未来しか見えないよ?」


 強敵と戦って強くならないと魔王なんて倒せないし。


「大丈夫ですよ。魔物なんてとりあえず食べればいいんですから」

「食べるのが前提!?」


 食べることに執着しすぎだよこの子。


「まあそれはともかく、とりあえず自己紹介しておきましょうか」

「その方が良いだろうな」

「そうだね。これから一緒に行くからね」

「じゃあ私から言わせてもらいます。私はジル。勇者を名乗って旅費を一般人から強引に寄付してもらいつつ世界中のごちそうを食べ歩く旅をしています」


 ……やっぱりこの子に正規に勇者を名乗らせたら不味いと思うよ。グリーダーと一緒に何かしでかす気配しかしないよ。


「俺はグリーダー。この世界のアイテムを全て俺の物にするべく異界より召喚された伝説の勇者だ。一応魔王を消し去る使命があったような気もするが、そっちは覚えていない」

「アイテムハンターですか。魔王討伐は勇者になる者の義務みたいなものですから忘れても問題ないです」

「忘れたら駄目だよ!?」

「そうだ。俺の本業はアイテムハンター。だから町民からアイテムを徴収することも仕事なんだが……こいつの妨害に遭って上手くいかん」

「大丈夫です。これからは私もいますし、二人でやれば強盗も上手くいきます」

「そもそもやっちゃ駄目だからね!? というか、強盗をするって堂々と言わないでよ!」


 何か私の負担がさらに増えるような……。


「私はルーチェ。本業は」

「とにかく魂の叫びをあげる絶叫係ですね。大丈夫です。分かってますよ」

「それは絶対分かってないよね!? 魔術師だよ!」

「正義だの犯罪だのとにかくうるさい姑だ」

「誰が姑なの!?」

「勇者の物資補給活動を妨害する最強の監視役ですね。分かります」

「犯罪だから止めてるだけだよ!?」

「それと、モノローグ担当だ」

「それは本編で言っちゃいけないことだよ!?」

祝!強盗団結成!


「強盗団じゃないってば! 勇者だよ!」


まあ、ある方に貰ったのど飴と水でも大人しく貰っておけ。話が進めばキャラが増えてますます叫ぶことになるんだからさ。


「それは貰っておくけど……普通のキャラは居ないの!?」


この話の味方側に普通のキャラなど居るわけ無いだろ。普通のキャラなど加入させても面白くないし。カオスギャグの味方側には勇者を体現したキャラやぶっ飛んだネタキャラ以外要らんわ!


「その発想がすでにおかしいよね!?」


安心しろ。突っ込みヒロインはほとんどの場合初代同様永遠に叫ぶだけだから。


「それもおかしいよね!?」

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