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強奪勇者物語  作者: ルスト
テラピア
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魔物を倒しましょう

 グリーダーの攻撃によってまたもや下に落とされることになりました。本当に、どうしてこんな目にばっかり遭うのかな……。グリーダーは強いけど、私まで巻き込むような攻撃を連発するからなあ……。


「くそ! ここはどこだ!?」

「坑道の最深部に落とされたみたいですね」

「ああもう……災難だよ……」


 かなりの高さから落ちたのに何故か無傷だから恐ろしいけど。そう言えば、ここってどこなんだろ?坑道から落ちたのは覚えてるんだけど……。


「!? ……何かいるな?」

「えええ!? まさか魔物!?」

「……みたいですね。私も魔物を全部食べたわけじゃないですから」


 落とされた挙句に魔物が出てくるなんて……。そう思っている間に魔物が姿を現しました。


「……」

「!? ……魚か!?」

「空を飛ぶ魚……こんなの居るんですね……」

「何で魚が空を平然と移動してるの!? それ以前に、魚は水のある場所に居るはずだよね!? ここ水なんか無いよね!?」


 私たちの前には、水辺でもないのに平然と空中を移動する巨大な魚の姿が。……何で坑道の奥地に空を飛ぶ魚が居るのかな……。ホント、この世界の生態系ってどうなってるの……。


「俺の獲物! さあ、死合おうぜ化け物よ!」

「邪魔はさせません。私が食べるんです!」

「こんな時に対抗しあってる場合なの!?」


 戦闘への執着と食への執着でいがみ合っている二人。魔物を目の前にしてるとは思えません。そして二人が魚目がけて突っ込んでいった直後、魚が回転し、その尾ひれで二人を吹き飛ばしちゃいました。


「ぐはあ!? ……この魚……出来る! こんな強敵横取りされるわけにはいかんな……」

「ううっ!? ……かなり強力なごちそうですね……私が何としても仕留めなければ……」


 二人とも無事みたいだけど、相手が強いって分かったらとりあえず協力しようよ……。


「くたばれ!」

「大人しく私の胃袋に収まってください!」


 グリーダーと女の子が斧やフォークから電撃を放ちますが、魚には全く効いていないようです。……私の魔法、この魚にちゃんと効くのかな?


「サンダー!」

「!? ……!?」


 ためしに魔法を頭に撃ちこんでみたら、効いたみたい。じゃあこのまま……


「(怒)」

「って、こっちに向かってきた!? しかも速いよ!」


 さっきの雷の当たり所が悪かったのか、私にターゲットを絞って向かってきた魚。……どうして私の時だけこうなるの!? 追いかけてくる魚はかなり速いし!


「貴様は俺の獲物だ! 俺から逃げるんじゃねえ!」

「私のごちそう! 逃げないでください!」


 私が魚に狙われて追いかけられてるだけなんだけど!?


「ええい! 逃げるな魚! ルーチェ! こっちに魚を連れてこい!」

「逃げないでください! むしろ魔物をこっちに押し付けてください!」

「攻撃しても反応しないし追いかけても追いつけないからって狙われてる私をルアーに使わないでよ!」


 そこまで言うなら押し付けるよ! というか、このままじゃ私まともに魔法が使えないから言われなくても多分押し付けるよ!


「よし! 後は俺がこいつを仕留めるのをそこで見ていろ!」

「獲物は私がいただくんです!」


 二人の間を駆け抜けてそのまま後方に下がります。とりあえず距離を取らないと。あの魚がいつ突っ込んでくるか分からないしね……。


「死ね魚! 貴様の顔面にこの一撃を叩き込んでやるわ!」

「さっさと倒れて私のご飯になってください!」

「!? ……!!」


 今度は魚が正面から突っ込んできたから二人の電撃が上手く顔に当たったみたい。……というか、倒すのが目的の人と食べるのが目的の人だったら、別に魔物の取り合いにはならない気がするんだけど私の気のせいかな!?


「ようやく効いたか! さあ、この一撃で消えるがいいわ!」

「このナイフとフォークでおいしくいただきます!」

「ちょっと!? 怯んだからって無闇に突っ込んだら危ないよ!?」


 私がそう言った直後、怯んでいた魚が口を開け、魚目がけて突っ込んだ二人目がけて水を吐き出しました。……思いっきり吹き飛ばされたけど、あの二人大丈夫なのかな!?


「……それでこそ強者よ! この痛みが、貴様に与えた攻撃の手ごたえが、俺を更に戦闘に駆り立てる!」

「……一筋縄ではいかないですね……食べるのが大変なごちそうほど、無事に食べられたときの喜びも大きいですけどね!」


 ……あの二人の欲望はどこまで強いんだろ。ものすごい勢いで吐き出された水鉄砲をもろに食らって岩壁に叩きつけられたのに全然平気そうだよ。……根性で動いてるのかな?


「……と言ってみたものの、強者相手に戦う喜びはあるのだが、このまま何度もこいつの攻撃を食らうとこっちの体が危険だな……。いっそのこと、脳天を貫いてさっさと止めを刺すか……」

「ここまで抵抗が激しいと、先に私の身体に限界が来ますし、それ以前に生きたまま食せないですね……仕方ないので先に止めを刺してからゆっくり料理しましょうか……」


 根性で動いてただけみたい。……いくらグリーダーでも魚の尾ひれや水鉄砲をまともに食らって岩に叩きつけられたりしてたら相当ダメージが残ってるだろうけど。……というか……。


「仕方ない。先に魚に止めを刺すか」

「そうですね。先に魚を食べるのは諦めて、止めを刺してから、ゆっくり料理します」

「初めから止めを刺そうよ!?」


 あんな危険な魚を生きたまま食べようとしてたりしてる辺り、命知らずも良いところだよ……。


「ルーチェ! 電撃で怯ませろ! その間に首を落とす!」

「一旦怯ませたら、後はこっちで止めを刺します!」

「分かった! サンダー!」


 もう一回雷を魚に落として怯ませて……。


「首ごと落ちろ!」

「覚悟してください!」


 二人が突っ込んで斧とナイフで切り付け、怯んだ魚の首をそのまま叩き落としました。……もう動かないよねこの魚?


「ようやく倒したか。……貴様はここで美味しく焼き魚になるのだ! 火炎放射を食らうがいい!」

「焼き魚ならこの特性油を塗って美味しくしないとだめです!」


 グリーダーが倒した魚目がけて手から火炎放射を放ち、女の子が魚目がけて油をぶちまけてるけど……一ついいかな!?


「種族も体質も生体も一切わからない魚を食べて本当に大丈夫なの!?」

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