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強奪勇者物語  作者: ルスト
テラピア
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暴食少女と戦ってみましょう

「俺の楽しみを奪い取ることは万死に値する! くたばれ小娘!」


 そう言ってグリーダーが斧を女の子の方に向けた瞬間、電撃光線が発射されて女の子を襲いました。ものすごい光で前が見えません。


「ふん……俺の邪魔をしなければもう少し生きながらえることができただろうに……」

「攻撃の理由がものすごく自分勝手で理不尽な気がするのは気のせいかな!?」


 グリーダーだから仕方ないのかもしれないけど。


「気は済みました? じゃあ帰ってください」

「何!? ……まだ終わらんか!」


 光と煙が収まると、中からさっきと全く変わらない様子の少女が出てきました。……どうやってあの電撃光線を防いだんだろ。


「さっさとくたばれ! 二連発ならどうだあ!」


 少女が平然と立ってたのを見たグリーダーがもう一度攻撃をしました。今度は電撃光線を二連発で発射しています。またもや光が前を塞ぐと思いきや……。


「いただきます」

「ええ!? 攻撃がフォークに当たった瞬間に無力化されてそのままあの子に食べられちゃった!?」

「何だと!?」


 女の子のフォークに当たった瞬間に電撃光線がフォークに絡めたパスタみたいになってしまい、そのまま食べられてしまいました。……何なのこの子!?


「私ですか? 自称世界救済の勇者兼何でも食べるグルメイーターです」

「少なくとも魔物や電撃はグルメじゃないよね!?というか、グルメハンターの間違いだよね!?」


 電撃なんて食べたら恐ろしいことになりそうだし。


「電撃が駄目ならこれならどうだ!」


 言うなり緑色の毒々しい液体入りの瓶を投げつけたグリーダー。そんな物何処に隠し持ってたの。それと、明らかにそれは人に投げたら駄目な物体だよね!?


「問題ありません」


 投げられた瓶から出てきた怪しい液体がこれまた女の子のフォークに吸い寄せられちゃった。……あのフォーク、一体何なの!?


「このフォークですか? 文字通り、なんでも食べられるようにする魔法のフォークです」

「魔法のフォークだと!? ……まさか……」

「知ってるのグリーダー?」


 あんなチートアイテム私の知ってる限りでは無かったし、もしかしたら異世界からの人間かもしれないけど。


「通販で10ゴールドで売ってた伝説のアイテムか!」

「安! あんな極悪アイテムがそんな値段って明らかに安すぎるよね!?」


 だってあのフォーク、なんでも吸い寄せて無効化しちゃうのに。


「安かったのでフォークを買ったら神器でした」

「いくらなんでもありえないよね!?」


 そんなありえない話が起きているなんて……。


「貴様……世界救済の勇者だと言ったな?」

「ええ。それが何か?」

「いくらなんでも勇者がもう一組居るなんて普通はありえないよね!?」


 あのバカ王まさかまた勇者を呼び出したの!?


「勇者が何組居てもおかしくないですよ? 魔王を倒すためには勇者は多ければ多いほど良いという話が国会に発表されて勇者は大量生産する物と言う法律がちゃんと成立してますし」

「国会って何!? この国は王政じゃなかったの!?」


 何か国の政治体制まで滅茶苦茶になってない!?


「そんなことは無いですよ。あなた達が旅立ってすぐに王政が革命によって潰されて民政に変わったんですから」

「どこにもそんな話無かったよ!?」


 いくらなんでも私達が旅立ってすぐに王政が潰れるなんてあり得ないよ!


「ついでに、私は勇者量産法によって召喚されてきた勇者第128番です」

「一体何人召喚してるの!?」


 この子が128番って事は、もうすでに128人以上召喚したって事!?


「と言う話は実は全て私のでまかせであって事実無根なんですが、私はとりあえず近隣の村人から強制的に食事やお金を寄付してもらうために自称ですが世界救済の勇者を名乗っています」

「全部嘘!? 騙さないでよ! というか、勇者は寄付を強制させたら駄目だからね!?」


 そもそも、強制させてる時点でおかしいよ! 寄付を強制してたらそれはもう寄付じゃなくて徴収だからね!?


「御託は良い! その妙なフォークがあろうとこれは防げまい! ロックスコール!」

「ちょっと!? こんなところで上から岩を降らせる魔法を使ったら天井が崩壊して……!」






 ピシピシピシ……ガラガラガラガラ!






「案の定天井が崩れて来たよ!」

「潰れろ小娘! 増量された岩の下敷きになるがいい!」

「それ以前に、こんなに岩を落とされると……」






 ドドドドドドド……ボン!






「天井が崩落した重みで床が抜けたよ!?」

「この辺りは坑道の通路ですしね。さすがに天井と魔法の重みには耐えられないですよ」

「冷静に言ってる場合なの!? って、こっちも足場が抜けて……!」

「ぬおお! 足元が崩れて足場が……貴様あああああ!」

「今回もグリーダーが悪いんだよ!? 全部グリーダーの責任だからね!?」

「巻き添えを食ってしまって私も奈落の底に落ちていきますね~……助かるんでしょうか、これ?」

「どうして私達はいっつもこんな目にばっかり遭うのかな~!?」


 私達全員、崩れた天井と天井に潰されて崩壊した床と一緒に奈落の底に落とされてしまいました。

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