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強奪勇者物語  作者: ルスト
テラピア
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次の依頼を受けましょう

「おう! 帰って来たか! で、どうだった?」


 傭兵はとりあえず倒した(と思う)ので、結果報告のためにテラピアギルドに帰ってきました。今回もいつも通りに強面の受付が出迎えてくれました。


「異界のなりきり傭兵は討伐したので、テラピア平原の冒険者が襲われることは無くなると思います」


 だって、最後にグリーダーが殴り飛ばして傭兵を空の彼方に吹っ飛ばしちゃったんだし。空の彼方に飛んだ以上もう帰って来ないから安心だと思う。


「そうか。今回の報酬がこっちだ」

「ありがとう」


 今回の報酬の60000ゴールドも受け取ったし、これで異界のなりきり傭兵討伐は終わりだよね。……もう一つ依頼を受けようかな?


「もう一つ依頼を受ける気か?」

「うん。この前みたいに疲れたわけじゃないしね」


 グリーダーと傭兵の攻撃が嵐のようにこっち目がけて飛んできたわけじゃないし。


「今の所……難易度5の依頼は二つ残ってるな」

「無念の紳士討伐と、魔物の討伐だっけ?」


 何で魔物の討伐が難易度5なのかは知らないけど、でも魔物討伐くらいならなんとかなるよね?


「よし。魔物討伐の依頼を受けるんだな?」

「はい」


 大軍で出てもグリーダーが居たら大丈夫だろうし、私だって広範囲攻撃は使えるしね。


「魔物の討伐場所は、テラピア公園の更に南にあるテラピア坑道だ」

「テラピア坑道? どこだそこは?」


 グリーダーは知らないよね。説明しておいた方が良いかな。


「テラピア山脈の地下に掘られた坑道で、金属採掘場だった場所だよ。ただ、最近は魔物が出てきて採掘が出来なくなったって聞いてるけど……」

「魔物が湧いて使えなくなった……。何ともはた迷惑な魔物どもだな」

「全くだ。あいつらのおかげで金属採掘がまともに出来ねえ」


 ここから出て行け! って言ったって魔物には通用しないしね。勝手に居座ってるなら追い払わないと。


「任せろ。邪魔な害獣どもは俺の手で皆殺しにしてやる」

「ああ、頼んだぞ!」


 さて、グリーダーもやる気になったし、テラピア坑道に向かおう。






ーーーー






「あ、テラピア公園跡地だ」

「なんだあれは? 工事か?」


 テラピア公園の跡地には沢山の人が集まって作業をしていました。鉄骨を運び入れたり遊具の設置をしているように見えます。


「復旧作業かな? この前の蛇退治で公園を派手に壊しちゃったしね」

「あの化け物め……なんてことをしたんだ……」

「半分はグリーダーの責任だよね!?」


 見るや否やいきなり突撃して大激戦を繰り広げたんだもん。私の方に攻撃の余波が飛んできたし……。


「何を言う。俺は何もしていないぞ? 悪いのは全部あの蛇だ」

「戦いを見ていた本人目の前にして良くそんなセリフが言えるよね!?」


 ホントこの人の頭の中はどうなっているんだろ。


「で、テラピア山脈はあれか?」


 グリーダーが公園の更に向こう側に見える山を指さして私に言いました。


「そうだよ。あの山のふもとに地下へ通じる坑道を掘って、そこから金属を掘り出してるんだって」


 確かあらゆる種類の金属が取れる場所だって聞いたけど……。


「ほう。あらゆる金属がねえ……。それは楽しみだな。鉱脈を見つけ次第その場で掘り返し、根こそぎ持っていくか」

「根こそぎ持って行ったら駄目だからね!? そもそも盗掘したら駄目だからね!?」


 テラピア坑道は一応王宮の所有物なんだし!

 

「何を言うんだ。王宮の所有物は俺たち勇者に奪われるために存在しているんだぞ?」

「そこまで行ったら私達は勇者じゃなくて勇者の皮を被った泥棒になっちゃうからね!?」


 冗談でも怖いけど、この人のことだから平気で実行しそうで怖いよ。


「金属ねえ……もし純金が大量に出て来たらどうする? それでも捨て置くか?」

「う……でも、坑道は王宮の物だし……」


 そりゃ私だって純金の指輪とか首飾りとか憧れちゃうし、金塊を売りさばいてお金持ちになんて考えちゃうけど、でも……。


「どうする? 坑道に入って探索してたら目の前に純金の塊が落ちてたりしたら……」

「……それは……」


 もし本当にそんな物が落ちてたら言うまでも無く拾っちゃうよ。純金の塊なんて喉から手が出るほど欲しいもん。純金って一生遊んで暮らせるくらい高い値段で取引されてるから、売ったら凄い値段になるしね。


「悪いことは言わない。落ちているお宝を見つけたら片っ端から拾っていく方が幸せになれるぞ?」

「……うん。しょうがないよね。拾えるところにそんなお宝を落としちゃった方が悪いんだもんね!」


 もし坑道内に落ちてる物を拾ったとしても、私たちは悪くないよね! 落とした方が悪いんだし!


「そういう事だ! さあ、急ぐぞ! 根こそぎ金属を掘り返して目指すは億万長者だ!」

「ちょっと!? 落ちてる物は拾うかもしれないけど掘り返すのはさすがに駄目だからね!?」


 ……この人の前でうっかり欲を出したのは不味かったかな? とりあえずテラピア坑道に突入しよう。早く魔物を退治しないといけないし。

ルーチェは「盗賊」の称号を得た!


グリーダー「良かったな! これでお前もめでたく盗賊の仲間入りだ!」

ルーチェ「そんな称号要らないよ! というか、私は盗賊じゃないからね!?」

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