キッス・オブ・キッス
僕はカナタ。大学1年生。彼女無し。彼女にしたい女の子は1人いる。
土曜日の夜、シヅルと2人で僕の部屋で映画を見るのが通例になって3ヶ月になる。
シヅルとは大学の映画サークルで気があって、女の子が苦手な僕の初めての彼女?なのかな。
ショートカットでサバサバしてて男っぽいというのが、皆の彼女の評価だけど、僕はキュートで可愛いらしいと思ってる。ミラ・ジョボビッチみたいだ。フィフス・エレメントの彼女みたい。僕は、ブルース・ウィリスみたいにかっこ良く彼女を守りたいといつも想像している。
シヅルも僕もホラーやアクション映画が好きだ。今日も2人で並んで映画を観てる。エンディングロールが流れ始めて、僕はミッションの続きを遂行する。
ミッション 1. 手を繋ぐ。
ミッション コンプリート。少し怖いホラー映画だからシヅルは不安を紛らわす為に手を繋がずに入られないだろう。予想の通り映画の序盤ほどには彼女は僕の手を握り、今でも離さない。
ミッション2.ハグをする。
ミッション コンプリート。ふふ。これも計算済みだ。あのタイミングでゾンビが出れば女子は抱きついてしまうのは予想できる。ややタイミングが早かった気がするのは僕の気のせいだろう。
ミッション3.キスをする。
ミッション アンコンプリート。
僕は頭の中のチェックリストを再確認する。
口臭良し。
シチュエーション良し。
対象固定よし。僕は両手で彼女の肩に手を添えた。
対象確認よし。僕は彼女の目を見つめる。彼女は僕を見つめ返す。
コンセントレーション開始。
集中だ。ミスは許されない。
感情確認。俺はシヅルが好きだ。大切にする。俺は彼女のウィリスになる。よし。
カウントダウン開始。3.2…
チュ。
カウントダウンの終了前に、僕は留めを刺されてしまった。
「もう!ターゲットを仕留めるには、チェックリストよりタイミングだよ。もっと勉強する?」
まいったな。彼女の方がよっぽどヒーローっぽいじゃないか。




