表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

第1話:闇獣の囁き



夜風が静かに吹き抜ける商店街。

アルバイト帰りの大学生、颯太は重い足取りで歩いていた。


「はぁ……今日も疲れたなぁ…」


遠くで、かすかに揉める声。

喧嘩か――いや、関わりたくない。

颯太は自称平和主義者を気取って、反対方向へ遠回りする。


そのとき、暗がりでひと際光るものが目に入った。

小さな腰ベルト――光沢のあるバックルに、3枚のカードがぎっしり収まっている。


――爪、牙、影。


「虎?狼?人型アサシン? ……え、何これ…?」


好奇心に駆られ、腰にベルトを巻く。


カチッ


装着音と共に、低く不気味な囁き声が耳元に響く。


『フフフ……お前も器となる……』


颯太は息を飲む。心臓の鼓動がいつもより早い。

――けれども、胸の奥が少しだけワクワクしていた。



---


初変身:クローモード


颯太はバックルから爪カードを引き抜き、ベルトに挿入した。


――《カード・イン……クローモード……》


白い虎型アーマーが全身を覆い、肩と腕に鋭い爪が出現。

鏡のように反射する窓に映る姿は、不気味で、でもどこかヒーローらしい。


「……虎になったみたいだ…」


腰ベルトの囁きが低く笑う。

『よく似合っている……だが、力はまだ序の口……』



---




路地に怪物が潜んでいた。

黒い肌、異様に長い手足、口からは低いうなり声が漏れる。


颯太はクローモードで立ち向かう。

通常攻撃では間に合わず、必殺技を発動――


――《クローブレイク……カード・イン!》


背後から虎型の召喚獣が現れ、力を宿す。

爪が光を帯び、一撃で怪物を切り裂く。


怪物は光に包まれ、無地のカードとしてバックルに吸収される。


『フフフ……これで、力を得る準備が整った……』


颯太はカードを眺める。

――無地カードに封じられた力を、再びベルトに挿入すれば特殊能力が使えるのだ。



---




颯太は心の中でつぶやいた。


「……つまり、倒した敵の能力を、自分の戦いに使えるってことか……?」


腰ベルトの囁きが、低く不気味に笑う。

『フフフ……それを理解したなら、次は楽しみだ……』


夜風が耳元を撫でる。

街は静まり返っているが、颯太の心は既に戦闘者として目覚めていた。


不気味さとヒーロー感が交錯する中、颯太の戦いは、まだ始まったばかりだった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ