Part7(End of chapter)
もちろん、料理となると味噌由来以外の塩分が入っている可能性が高いが、微量だろうし、もう無視することにした。それほど、減塩食に耐えかねていたのである。
本日食べた料理の他にも、味噌味のものは、たくさんある。味噌ラーメン、豚汁うどん、サバの味噌煮、もろきゅう、味噌おでん等々┄┄。何より食べられるメニューの幅が広がって、続きそうな気がしてきたのが大きかった。
数日後、運動療法改も始まった。
通っているスポーツクラブには、ジムエリアの他にスタジオエリアが受付カウンターの横に併設されている。受付を通るたび、ガラス越しにちらちら見ていたのだが、ヨガをやったりダンスを踊ったりキックボクシングとかもやっていて、いつも何やら楽しそうだった。
私は、有酸素運動をランニングからダンスに切り替えることに決めた。数あるスタジオプログラムからダンスを選んだ理由は、単純に参加する人が少ないからだ。筋肉隆々のマン&ウーマンには、あまり人気がないのだろう。せせこましく動くより、広いスペースで踊った方が、気分が良いはずだ。
ダンスは全身運動で、全体の筋肉に刺激を与える。踊る前にストレッチをするので、怪我もしにくい。プログラムの中で、振りがどんどん変わるから、記憶力強化にも役立つ。いいことばかりだ。
むろんダンスは未経験だが、エリアの後ろの片隅で踊っていれば、他の人たちに迷惑を掛けることもないだろう。そのうち、うまくなるさ。ダンスをうまく踊るには、運動神経よりもセンスが大事らしいしな。自分にそのセンスが有るかどうかは、まあ、やってみなきゃ分からないし。
というわけで、私はダンスを始めた。ダンスプログラムは、ジャンル別にほとんど毎日組まれている。平日の夜とか休日の昼間の時間帯なので、行きやすかった。
始めてみると、見よう見まねながら、やっていくうちに少しずつ上達していくのが、自分でも判る。リズムに合わせて体を動かすのが楽しい。クラブに行く日も多くなった。
そのおかげで、筋トレの改善もできた。今までは一度に全身を鍛えていたのだが、日々部位を分けてトレーニングするようになった。痛みが分散されて、体がだいぶ楽になった。
私は、高血圧に対する薬無し治療の、挫折の危機から脱することができたのだった。あとは、これを続けていけばよい。
カリウムという栄養素は、塩分をおしっこで体外に排出してくれる力があるらしい。ありがたい栄養素があったものだ。カリウムを多く含んでいる食品で身近なものといえば、バナナだろう。
私は会社からの帰り道に駅前のスーパーに行って、バナナを一房買ってきた。夕食の後のデザートということになるが、一度に食べるわけにもいかないので、一本だけ。
しかし、これは続かなかった。毎日食べ続けなければ、効果がなさそうだったし、何よりも糖質が多いので、血糖値が心配だった。
続いて、最もカリウムを多く含んでいるドライトマトを一袋、通販で取り寄せて、食してみた。味がなくパサパサで、何でも食べるさすがの私も、そのままではとても無理だった。手料理のサラダやスープに入れて使うらしいのだが、あいにく私は自炊を一切しない身だ。しばらく我慢して食べ続けていたが、やがて何でも受け付けるゴミ箱の餌食となった。
そんな失敗もしながら、二つの病に悩み続けた夏が、足早に過ぎて行った。




