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01章:我が勇者の息子だと!?

ああ!、実に忌々しい!

今が何年かわかるか?


討魔歴18年。

魔王が討たれ、世の安寧が約束されて18年だそうだ。

忌々しいと思わないか!?


そう、あれは18年前のことだった。


魔王が世界に戦線布告した。

もちろん世界は反発し、我に従わない多くの魔物たちと人間が反旗を翻した。

特に人間どもの勇者一行の活躍は素晴らしく、魔王の四天王を全て撃破し、本陣に切り込んできた。


あの戦いは別格だった。

全ての魔力、全ての技、全ての形態変化を駆使して勇者どもと戦い、それでもなお追い込まれた。

奥の手を解放して勝負を挑むも、紙一重の差で敗れた。

あれは実に良い戦いだった。

我は勇者の放つ、眩く輝く魔力の奔流に飲まれながらも満足しながらこの世を去った...はずだった。


しばらく光の中をさまよっていると声が聞こえた気がした。

目を開けると見知らぬ天井だった。

まさか、死にそこなったのか?

そう思い、周りを見ると妙に体が小さいことに気付く。

そして愕然とした。

我を抱くのは勇者一行の魔法使い、マル。そして目の前で我をのぞき込むは勇者ブレス。

愕然として叫び声をあげるが、それは泣き声として出力された。


そう...我は...我は、勇者の息子に転生していたのだ!!!


...


って違う違う!話がそれた!


魔王として討たれる、それはいい。


だが!


我が倒れたことが年号として制定されるなどと!

一体、誰が想像できる?

全くもって不愉快だ。我をなんだと思っているのだ!


ん?我は何者かって?

わからぬか!?

我こそ魔王!全ての力の頂点に立ち、全ての生物は…


「どうしたフォルク?顔が強張っているぞ?」

「…父上、なんでもありません」

「はは、緊張しているのかい?」

「いえ、そういうわけでは…」


はぁ…

我…もとい僕はフォルク。

勇者である父ブレスと、その旅のお供である魔法使いマルの間に生まれた子供。

全く、一体全体どういうことなのだ!?

何かの呪いか?それとも罰か?

意地悪な神が、我の魂を勇者の元に送り込んだのか!?


その上だ!

今の我は15歳の子供!

全盛期の力の、そうだな...1/100の力もないだろう。


そんな状況で、勇者の息子フォルクが魔王だとバレてみろ?

再び討たれるに決まっている。

いや討たれるのはまだよいのだ。あの戦いをもう一度できるのなら、それもまんざらではない。

だが、この体では満足に戦えない...


最悪、勇者ブレスに子殺しの業を背負わせることになるやもしれん!

それだけは絶対に避けねばならん!

強敵たるブレスの生涯に、無用な傷をつけるのは我が許さない!


…というわけで我、もとい僕フォルクは猫を被り、勇者の息子としてつまらない日々を送っているのだ。

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