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プロローグ:予言
時を見る魔法使いは語る。
討魔歴18年。
血に濡れた王座。
そこに倒れ伏す少年の姿。
少年は夜空のような漆黒の髪と瞳を持ち、そこには星々が輝いている。
2房、髪が跳ねておりツノのようにも見える。
美しい少年は、しかし虚な目をしている。
身体中は血に染まり、心の臓は動かない。
駆けつけるは勇者。
己の息子の亡骸を見た勇者は、嗚咽を漏らす。
ーーー
夜が明けた。
我は着替えを済ませ、鏡の前に立つ。
夜空のような黒髪には星々が輝いている。
瞳も同様に夜空を描いており、空の遥か彼方に思いを馳せる。
ツノのように跳ねた2房の髪は、生まれ変わる前のツノを思い起こさせる。
「フォルク様、朝食のお時間です」
「すぐ行く」
食事を終えて、母上に挨拶をする。
「いってまいります、母上」
「いってくるよ、マル」
「ブレス、フォルク、気をつけてね」
馬車に乗り向かうは、アマジア魔法学校。
勇者の息子たる我は、憂鬱な気分で馬車に揺られていた。